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25.10.07

アプリ開発費の勘定科目と会計処理を徹底解説:自社利用・販売目的まで網羅

アプリ開発費の勘定科目と会計処理を徹底解説:自社利用・販売目的まで網羅
アプリ開発は、企業規模や開発目的によって発生する費用が大きく変動します。そのため、適切な勘定科目を選び、正確に仕訳を行うことが欠かせません。特に自社での利用を目的とする場合と、外部への販売を目指す場合では、それぞれ異なる会計処理が求められます。

アプリ開発にかかる費用を資産として計上できるかどうかは、将来的な収益化の可能性や使用状況に応じて判断されます。費用計上する場合と資産計上する場合をしっかり整理しておくことにより、法人税や管理コストを最適化できる可能性があります。

本記事では、勘定科目の選び方や仕訳の注意点から、資産計上の基準、償却の方法までを網羅的に解説します。アプリ開発と会計の基本を押さえることで、開発投資の評価や企業経営に役立つ情報を得られるようになるでしょう。

目次


アプリ開発と勘定科目の基本
 アプリ開発費は費用か資産か?繰延資産やソフトウェアとの関係
 ソフトウェア仮勘定の概要とアプリ開発費との違い
アプリ開発費の勘定科目分類と仕訳のポイント
 開発費に含まれる主な費用内訳
 人件費・労務費の取り扱い
 外注費やサービス利用料の勘定科目
資産計上が必要なアプリ開発のケース
 自社利用目的のアプリ開発費の会計処理
 販売目的のアプリ開発費の会計処理
アプリ開発費の償却方法と償却年数
 定額法・均等償却の仕組みと選択基準
 任意償却の活用と注意点
金額別に見るアプリ開発費の仕訳例
 【例①】10万円以下のケース:少額減価償却資産との扱い
 【例②】10万円超20万円未満・30万円未満のケース:一括償却資産の考え方
 【例③】30万円以上のケース:繰延資産として償却する方法
アプリ開発における会計処理上の注意点
 労務費の正確な把握とプロジェクト管理
まとめ:正しい会計処理でアプリ開発の価値を最大化しよう

アプリ開発と勘定科目の基本



アプリ開発は多様な費用が発生するため、どの勘定科目に割り振るかを理解しておくことが基礎となります。

勘定科目は、企業が行う取引を分類して財務諸表に反映するための重要な仕組みです。アプリ開発においては、設計費用や開発費用、外部委託費用、人件費などが複雑に絡み合います。それぞれを適切な勘定科目に分類することで、正確な原価計算や経営分析が可能になります。

アプリ開発費用の会計処理は、大きく費用計上と資産計上に分かれます。開発プロジェクトで生まれた成果物が企業に経済的利益をもたらすと見込める場合や、長期間にわたって使用が想定される場合は、ソフトウェアとして無形固定資産に計上できることがあります。一方で、一時的な研究開発や小規模プロジェクトの場合には費用として計上するケースが多いです。

また、外注費やクラウドサービスの使用料などは状況によって異なる勘定科目が使われます。どの科目を用いるかは、企業の会計方針や国税庁が示す基準などを考慮して決定する必要があります。正しい分類を行うためにも、まずは基本的な仕組みを理解しておきましょう。

アプリ開発費は費用か資産か?繰延資産やソフトウェアとの関係


アプリ開発費を費用として計上するか、資産として計上するかは、開発の目的や使用期間によって判断されます。例えば、自社の業務効率化を目的とするアプリであり、継続的に企業利益を生み出す見込みがある場合は、無形固定資産としてソフトウェアに計上することが可能です。開発段階で使い切りになる研究費や実験的なプロジェクトなどは、費用として処理する場合が多いでしょう。

企業規模や予想される収益、開発にかかる費用総額などによっても扱いは異なります。特に大きな投資を伴う場合には、繰延資産やソフトウェア勘定として登録し、将来的な償却処理が必要になります。アプリ開発費をいつ費用化するかは税務リスクにも直結するため、経営判断の精度が重要となります。

ソフトウェア仮勘定の概要とアプリ開発費との違い


ソフトウェア仮勘定は、開発中のソフトウェアに一時的に費用を集計するための勘定科目です。開発が進行中の段階では、成果物がまだ確定していないため、どの程度資産価値があるかを判断しづらいことが多いのです。そこで、完成後にその価値を評価し、正式にソフトウェア勘定へ振り替えるという流れをとります。

アプリ開発費との違いは、ソフトウェア仮勘定があくまで開発途上の状態で仕掛品のように扱う点にあります。一方、アプリ開発費をすでに費用勘定や無形固定資産として計上する場合は、開発の区切りや完成見込みによって扱い方が明確化します。実務では、まずソフトウェア仮勘定に集計し、完成のタイミングで適切な分だけ資産計上や費用計上を行うケースが多いです。

アプリ開発費の勘定科目分類と仕訳のポイント



アプリ開発で実際に発生する費用をどの科目に仕訳するのか、ポイントを押さえておくと管理がスムーズです。

アプリ開発における費用は多岐にわたりますが、一度整理しておくことで資産計上や費用計上の判断が容易になります。開発フェーズに応じて必要な費用項目を洗い出し、正確な勘定科目を割り当てることで、プロジェクト全体の原価を把握しやすくなります。

例えば、自社スタッフの給与や外部委託費用、ライセンス料などを個別に追跡することで、より正確にコストドライバーを分析できます。仕訳においては、勘定科目だけでなく、当該期間にどれだけの制作工数がかかったかなど、プロジェクト進捗管理とリンクさせることが重要です。

特に外注先に支払う費用やクラウドサービスの利用料などは、その性質によって費用科目が変化します。これらを明確に分類しておくと、将来的な監査や税務調査でもスムーズに対応できるでしょう。

開発費に含まれる主な費用内訳


アプリ開発費には、大きく分けて人件費、外部委託費、ソフトウェアライセンス費用などが含まれます。人件費にはエンジニアやデザイナーがプロジェクトに費やした労務コストが該当し、外部委託費には開発企業やフリーランスへの支払いが当てはまります。また、アプリ開発に必要なプラットフォームやサブスクリプション型の開発ツールの利用料も、開発費の一部としてカウントされることが多いです。

これらの費用をまとめて計上するか、項目ごとに細分化して計上するかは、社内の会計ポリシーやプロジェクト管理の精度によります。より細かく分類しておくと、後々の分析や税務申告時にトラブルを防ぎやすくなるメリットがあります。

人件費・労務費の取り扱い


自社社員が行うアプリ開発業務にかかる人件費や労務費は、プロジェクトに直接紐づくものであれば開発費として計上できるケースがあります。この際、給与や賞与、社会保険料などをどの程度開発に充てたかを把握しておく必要があります。実務では工数管理ツールなどを利用し、担当者がプロジェクトに費やした時間を集計する方法が一般的です。

ただし、日常運営や保守的な業務と明確に切り分けられていない場合は、結果的に費用として一括処理されることもあります。特に、開発期間と運用期間が並行して進むプロジェクトでは、どの部分が機能追加や新規開発に該当するのかを区分することが会計上のポイントとなります。

外注費やサービス利用料の勘定科目


アプリ開発を外部企業やフリーランスに委託する場合、支払う報酬や業務委託費は「外注費」や「開発委託費」として勘定科目を設定することが多いです。クラウドサービスやサーバー利用料、API利用料なども、「サービス利用料」や「通信費」などに区分して仕訳します。金額が大きい場合や長期にわたる契約の場合は、契約書やサービス仕様を確認し、資産計上が可能かどうかも合わせて検討します。

また、月額固定費用か都度払いかによって取り扱いが変わる点にも注意が必要です。サブスクリプションモデルで開発ツールを利用する場合は、基本的に継続課金となるため、月ごとの経費として計上するのが一般的です。一方、買い切り型のライセンス料で一定期間以上の使用権を取得する場合には、無形固定資産に計上する可能性があります。

資産計上が必要なアプリ開発のケース



アプリ開発費が資産として計上されるかどうかは、開発目的と将来的な収益効果がポイントとなります。

自社利用や将来的な販売を見越して開発するアプリの場合、資産計上することで長期的に費用を償却しながら、投資を計画的に管理できます。一方で、単なる試験的プロジェクトや期間限定の新機能開発である場合には、資産化せず費用として処理するケースもあります。

企業がアプリ開発を行う際には、どのようなビジネスモデルが想定されているかが重要です。自社内でのみ使用が完結するアプリであっても、業務効率化によるコスト削減効果が見込めるなら資産として扱う場合があります。販売や提供を目的とするアプリであれば、外部との取引が発生するため、ソフトウェア勘定での計上や償却が必要となることが多いです。

開発の段階から資産計上を視野に入れ、必要書類や会計上のエビデンスを整理しておくことが、後の監査や税務でのトラブルを回避する手立てとなります。

自社利用目的のアプリ開発費の会計処理


社内の業務管理システムや効率化アプリなど、自社のみで使用するアプリ開発費は、完成後はソフトウェアとして無形固定資産に計上することが一般的です。これにより、開発費を一度に費用として計上せず、複数年にわたって償却する形をとり、期間利益の平準化を図ることができます。

ただし、あくまで長期間にわたって使用する見込みがある場合に限られます。プロトタイプや短期的な検証だけに使われるアプリであれば、開発費用を費用計上することも珍しくありません。資産に計上するかどうかは、将来的な使用予定や経営方針との整合性をよく検討する必要があります。

販売目的のアプリ開発費の会計処理


販売や提供サービスとして利用するアプリは、外部に対して取引価値を持つため、無形固定資産として計上したうえで、売上が発生するタイミングで原価を振り分けていくことになります。完成前の時点ではソフトウェア仮勘定を用い、完成した段階で正式にソフトウェアとして計上する流れが一般的です。

特に販売見込み数量が明確な場合は、その数量を基準にした償却方法も検討されます。また、実際の販売数量が当初の見込みと大きく異なる場合は、ソフトウェアの評価を見直す必要が出てくるため、販売状況の緻密なモニタリングが求められます。

アプリ開発費の償却方法と償却年数



開発費を資産計上した場合は、償却方法や償却年数の選択が企業の財務状況を大きく左右します。

アプリ開発費をソフトウェアとして計上した場合、法定耐用年数や企業の会計方針に基づいて償却スケジュールを決定します。一般的には定額法の利用が多いですが、販売目的のアプリなどにおいては予定販売数量を基準にした方法も検討されることがあります。

償却期間は、自社利用目的のアプリなら5年程度を採用するケースが多く、販売目的のソフトウェアなら3年程度とされることも少なくありません。これは法令や会計基準に準じて決定されるため、実際の開発内容やライフサイクルをふまえて検討することが重要です。

また、償却方法を柔軟に選択することで、毎期の費用配分をコントロールし、損益計算書に与えるインパクトを調整することが可能になります。経営戦略上、どの方法が最適かを事前に検討しておきましょう。

定額法・均等償却の仕組みと選択基準


定額法は資産の利用価値が一定であるとみなし、毎期同じ償却費用を計上する方式です。アプリが長期間にわたって安定して利用される場合に採用することが多く、利益を平準化しやすいメリットがあります。一方、価値の変動が想定されるアプリには適していないケースも考えられます。

企業の会計方針や税務上の規定により、無形固定資産の償却には定額法以外の方法を選べる場合もあります。しかし、実務では定額法を選択するケースが圧倒的に多く、資産計上から償却までの処理が比較的シンプルに行える利点があります。

任意償却の活用と注意点


任意償却は、法定耐用年数内であれば、ある年度にまとめて償却費を計上するなど、柔軟に対応できる方法です。企業業績に応じて費用化のタイミングを調整できる利点があるため、節税策として活用される場合もあります。しかし、税務上の要件や会計監査の観点から、正当性を証明する資料が求められることが多い点には注意が必要です。

また、任意償却の適用は、企業が長期的な見通しを持って設備投資や開発計画を行う場合に有効です。過度に任意償却に頼ると、利益の変動が大きくなり、ステークホルダーへの情報開示が歪む可能性もあるため、適度なバランスを保つことが重要です。

金額別に見るアプリ開発費の仕訳例



アプリ開発費用は金額に応じて処理方法が変わる可能性があるため、具体的な区分を確認しておきましょう。

特に少額の支出であれば、そのまま費用として処理して問題ないケースが多い一方、一定額を超えると無形固定資産や繰延資産として扱わなければならない場合があります。手続きや償却ルールが異なるため、事前に社内規定や税法の範囲内で方針を定めておくことが大切です。

また、開発が段階的に進行する場合は、合計費用がどの程度になるかを予測しながら会計処理を行う必要があります。見込み違いで途中から資産計上に切り替えると、追加の修正仕訳や税務対応が必要になることもあるため、入念な予算策定とモニタリングが求められます。

以下では、具体的な金額区分に応じた仕訳の考え方を整理していきます。少額資産の扱い方や繰延資産の償却方法など、金額に応じた実務イメージをつかみましょう。

【例①】10万円以下のケース:少額減価償却資産との扱い


10万円以下のアプリ開発費用やアプリ購入費用は、少額減価償却資産として一度に費用処理できる場合があります。たとえば短期間の試作アプリを開発する際のライセンス料や、小規模な機能追加にかかる費用が該当するかもしれません。社内規定によっては消耗品費として扱うこともあるため、事前に決めておくことが望ましいでしょう。

ただし、少額だからといって何でも一括費用計上できるわけではなく、開発の目的や使用期間をよく考慮する必要があります。短期で使い切る前提なら問題ありませんが、長期にわたり使い続けるソフトウェアである場合には、無形固定資産として計上することも検討しましょう。

【例②】10万円超20万円未満・30万円未満のケース:一括償却資産の考え方


10万円を超えても30万円未満のアプリ開発費用は、一括償却資産として3年間で均等償却する方法が適用できます。これにより、高額の投資を短期間で費用化しやすくなる一方、正確な償却計画を立てておかないと、後々の会計処理に混乱をもたらす可能性があります。

また、中小企業では特例が適用できるケースもあり、要件を満たせば少額減価償却資産として処理できることがあります。企業規模によって税制上の優遇措置が異なるため、制度の最新情報をチェックしながら最適な会計処理方法を選択してください。

【例③】30万円以上のケース:繰延資産として償却する方法


30万円を超えるアプリ開発費は、無形固定資産として計上し、法定耐用年数や利用実態に合わせて償却するケースが一般的です。完成前の段階ではソフトウェア仮勘定に集約し、完成後に正式にソフトウェア勘定へ振り替えるプロセスが必要になります。

繰延資産として扱う場合は、将来にわたって効果を及ぼす投資として認識されるため、開発の実態と使用状況を正確に把握しておくことが求められます。大規模プロジェクトであれば、定期的に開発費用を見直して、資産価値が変化していないかを検証する手続きも重要です。

アプリ開発における会計処理上の注意点



多岐にわたる費用と長期的なプロジェクト管理が必要なアプリ開発では、会計処理体系の整備が欠かせません。

アプリ開発は、仕様変更や機能追加が頻繁に発生することが多く、費用の増減が予想外に大きくなる場合があります。そのため、プロジェクト開始時点で詳細な予算と工数管理計画を立て、適宜アップデートしていく仕組みが重要です。追加の開発費用や改修費用がどの勘定科目へ割り振られるのか、混乱しないように仕組み化しておきましょう。

また、外部委託先との契約形態も多様で、出来高払い契約なのか、定額請負契約なのかで費用の発生時期や会計処理が変わってきます。契約書の内容を十分に把握し、正確に会計処理へ反映させることで、後から修正が発生する手間を減らすことができます。

さらに、プロジェクトが複数年度にまたがる場合は、進捗に応じた費用配分や資産計上の見直しが必要となります。開発フェーズごとの成果物が企業の経済的利益に貢献し始めるタイミングを把握することで、正確かつ合理的な会計処理が可能になります。

労務費の正確な把握とプロジェクト管理


開発プロジェクトにかかる人件費を正確に算出するには、担当者ごとの作業時間とタスクの内容をきめ細かく記録する必要があります。プロジェクト管理ツールや勤怠管理システムを活用すれば、業務の実態を可視化でき、正確な労務費配分が可能となります。

さらに、正確な工数管理は、新規開発や機能追加のオファーがあったときに見積精度を高めるためにも役立ちます。実績データを残すことで、将来の開発コスト予測やプロジェクト計画がより正確になり、結果として企業の経営戦略をサポートする重要な指標となるでしょう。

まとめ:正しい会計処理でアプリ開発の価値を最大化しよう



アプリ開発費の会計処理は、費用か資産かの判断、勘定科目の選定、償却方法の選択など、企業の財務戦略に大きな影響を与える重要なテーマです。
正しい処理を行うことで、税務リスクの回避や投資評価の最適化につながり、開発プロジェクトの価値を最大限に引き出すことができます。

インプルでは、React NativeやFlutterなどの先進技術を駆使した豊富なアプリ開発実績をもとに、「先進技術で革命を起こす」という企業理念のもと、開発フェーズから会計処理・資産計上のご相談まで、実務に即した支援をワンストップで提供しています。

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