25.09.28
アプリ開発の流れを徹底解説!個人で進める7つの手順も紹介

アプリ開発に挑戦したいと考えているものの、何から手をつければ良いか分からず悩んでいませんか。
アプリ開発には、企画からリリース、運用まで決まった流れが存在します。
この記事では、企業における一般的な開発の流れと、個人が開発を進める際の具体的な手順を分かりやすく解説します。全体像を把握することで、初心者でも計画的に開発を進められるようになります。
はじめに知っておきたい!アプリ開発で用いられる2つの手法
①計画に沿って着実に進めるウォーターフォール開発
②仕様変更に柔軟に対応しやすいアジャイル開発
【全7工程】企業における一般的なアプリ開発の進め方
工程1:アプリの目的やターゲットを明確にする企画
工程2:実装する機能や性能を具体化する要件定義
工程3:ユーザーの操作画面やシステムの動作を決める設計
工程4:設計書に基づいてプログラムを作成する開発(実装)
工程5:アプリが正常に動作するかを検証するテスト
工程6:各アプリストアへ申請して一般公開するリリース
工程7:不具合の修正や機能追加を行う運用・保守
個人でアプリ開発に挑戦する際の7つのステップ
STEP1:作りたいアプリのアイデアを具体的にする
STEP2:競合アプリの状況や市場のニーズを調査する
STEP3:搭載するべき必要最低限の機能を洗い出す
STEP4:画面のレイアウト構成案(ワイヤーフレーム)を作る
STEP5:開発に必要なツールやプログラミング言語を選ぶ
STEP6:実際にコーディングを行いアプリを形にする
STEP7:ストア公開に向けた審査の準備を進める
アプリ開発を始める前に準備しておくべき3つのこと
①開発作業を行うパソコンと動作確認用のスマホ
②プログラミングスキルを習得するための学習費用
③アプリを公開するためのデベロッパー登録費用
アプリ開発をスムーズに進めるための注意点
最初から多機能を目指さずシンプルな構成から始める
開発を外注する際は見積もりの内訳まで確認する
アプリストアの審査ガイドラインを事前に読んでおく
まとめ
アプリ開発を始める前に、代表的な2つの開発手法について理解しておくと、プロジェクトの特性に合った方法を選べるようになります。
一つは、計画通りに工程を順番に進めていく「ウォーターフォール開発」です。
もう一つは、短いサイクルで開発を繰り返し、仕様変更に柔軟に対応する「アジャイル開発」です。
それぞれの特徴を知ることで、開発の進め方を具体的にイメージできます。
ウォーターフォール開発は、水が上から下に流れるように、企画、要件定義、設計、開発、テストという各工程を順番に進めていく手法です。 前の工程が完了しないと次の工程には進めないため、プロジェクト全体の計画が立てやすく、進捗管理がしやすいというメリットがあります。
一方で、後の工程で仕様変更が発生した場合、前の工程まで戻って修正する必要があるため、手戻りのコストが大きくなる点がデメリットです。
大規模なシステム開発や、仕様が最初に固まっているプロジェクトで採用される傾向にあります。
アジャイル開発は、「計画→設計→実装→テスト」という一連の流れを短い期間のサイクルで繰り返し、機能単位で開発を進めていく手法です。 「アジャイル」とは「素早い」という意味を持ち、その名の通り、優先度の高い機能から迅速にリリースすることを目的とします。
各サイクルの終了時にフィードバックを得て、次の開発に反映させるため、途中の仕様変更や新たな要望に柔軟に対応できるのが最大の特長です。
市場のニーズが変化しやすい新規事業や、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねたいサービス開発に向いています。
企業がアプリケーションを開発する場合、一般的に7つの工程を経て進められます。
まず、アプリの目的を定める「企画」から始まり、必要な機能を定義する「要件定義」、そして具体的な仕様を決める「設計」へと続きます。
その後、プログラムを作成する「開発」、動作を検証する「テスト」を経て、ストアで公開する「リリース」を迎えます。
公開後も「運用・保守」を行い、アプリケーションの価値を維持・向上させます。各工程の役割を理解することが、開発全体を把握する第一歩です。
企画は、アプリ開発の方向性を定める最初の工程です。 ここでは、なぜそのアプリケーションを開発するのかという理由や目的を明確にします。
例えば、「若年層の顧客獲得」や「社内業務の効率化」といった目的が挙げられます。
同時に、誰に使ってもらいたいのかというターゲットユーザーや、そのユーザーが抱えるどのような課題を解決するのかを具体化します。市場の需要や競合アプリの動向を調査し、プロジェクトの全体像とゴールを設定する、開発の根幹をなす非常に重要なフェーズです。
要件定義は、企画で定めた目的を達成するために、アプリケーションにどのような機能や性能が必要かを具体的に洗い出し、定義する工程です。
例えば、「ユーザー登録機能」「商品検索機能」「決済機能」といった機能要件や、「地図情報をスムーズに表示できる」「1秒以内に応答する」といった非機能要件を明確にします。
ここで定義された内容は「要件定義書」というドキュメントにまとめられ、開発チーム全体の共通認識となります。開発の全体像を示す地図のような役割を担い、後の工程での認識のズレを防ぐために不可欠です。
設計は、要件定義で定められた内容を、どのように実現するかを具体的に決める工程です。 この工程は大きく二つに分かれます。
一つは、ユーザーが直接目にして操作する画面のレイアウトやデザイン、ボタンの配置、画面遷移などを決める「基本設計(外部設計)」です。
もう一つは、ユーザーの目には見えない部分、例えばデータベースの構造やサーバーとの通信方法、処理の流れといったシステムの内部構造を定める「詳細設計(内部設計)」です。この設計工程で作成される設計書が、次の開発工程の指示書となります。
開発は、設計書をもとにプログラマーがプログラムのコードを記述し、アプリケーションの機能や画面を形にしていく工程です。実装とも呼ばれます。 このフェーズで、設計段階では机上の空論だったものが、実際に動作するソフトウェアとして生み出されます。
開発にはプログラミング言語が用いられ、例えばAndroidアプリではKotlinやJava、iOSアプリではSwiftなどが使用されます。開発チームの規模やプロジェクトの特性に応じて、適切な言語やフレームワークが選択され、効率的に作業が進められます。
テストは、開発されたアプリケーションが設計書通りに正しく動作するか、不具合がないかを確認するための重要な工程です。
個々のプログラムが単体で正常に機能するかを調べる「単体テスト」、それらを組み合わせた際に連携がうまくいくかを見る「結合テスト」、そして実際の使用環境に近い状態でシステム全体を検証する「総合テスト」など、段階的に行われます。
開発者のローカル環境だけでなく、テスト専用のサーバーなどを用いて多角的な検証を実施し、品質を保証した上でリリースへと進みます。
リリースは、開発とテストが完了したアプリケーションを、AppStore(iOS)やGooglePlay(Android)といったプラットフォームで一般に公開するための工程です。
各ストアが定めるガイドラインに従って、アプリのアイコン、説明文、スクリーンショットなどの必要情報を準備し、審査を申請します。
審査では、アプリの品質や安全性、コンテンツなどがチェックされ、通過するとストアに公開されます。このリリース作業を経て、ユーザーがアプリをダウンロードし、利用できる状態になります。
アプリケーションはリリースして終わりではなく、公開後も継続的な運用・保守が必要です。
運用では、サーバーの監視やデータのバックアップ、ユーザーからの問い合わせ対応などを行います。
保守では、OSのアップデートに伴う動作不良の修正や、リリース後新たに発見された不具合の改修、セキュリティの脆弱性への対応などを行います。
また、ユーザーのフィードバックや利用状況の分析結果を基に、新しい機能を追加したり、使いやすさを改善したりするアップデートもこの工程に含まれます。
個人でスマホアプリ開発に挑戦する場合、企業での開発とは異なるアプローチが有効です。
アイデアを形にするためには、より実践的で身軽な手順を踏むことが成功の鍵となります。
ここでは、アプリのアイデア出しからストアでの公開準備まで、個人開発者が一人で進めることを想定した7つのステップを紹介します。
この流れに沿って進めることで、初心者でも着実にスマホアプリ開発を進めることが可能になります。
個人でのアプリ開発は、作りたいという情熱が原動力になります。
まずは、自身の日常生活における不便や、「こんなものがあったら便利なのに」という気づきからアイデアを探してみましょう。
アイデアが浮かんだら、「誰の、どのような課題を、どうやって解決するのか」を具体的に言語化することが重要です。
例えば、「毎日の服選びに悩む20代女性のために、手持ちの服を登録し、最適なコーディネートを提案するアプリ」のように、ターゲットユーザーと提供価値を明確にすることで、開発の軸が定まります。
自分のアイデアが本当にユニークで需要があるのかを確認するため、市場調査を行います。
まずはAppStoreやGooglePlayで、似たようなコンセプトの競合アプリが存在しないか検索してみましょう。
もし競合が存在する場合は、そのアプリの機能、デザイン、レビュー、ダウンロード数などを分析します。
ユーザーがどのような点に満足し、何に不満を感じているかを把握することで、自分のアプリが提供すべき価値や差別化のポイントが見えてきます。
市場のニーズを理解することは、独りよがりな開発を避けるために不可欠です。
アイデアをすべて詰め込もうとすると、開発が長期化し、挫折の原因になります。
そこで重要になるのが、アプリの核となる「課題解決に必要最低限の機能」を見極め、それだけを搭載したバージョン(MVP:Minimum Viable Product)を最初に開発するという考え方です。
例えば、料理レシピアプリなら、レシピ検索と表示機能が最低限必要です。
お気に入り登録や買い物リスト機能は、後から追加できます。これはWebアプリやWebアプリケーション開発でも同様で、まずはコア機能に絞ってリリースし、ユーザーの反応を見ながら改善を進めるのが成功への近道です。
実装する機能が決まったら、次はアプリの画面設計図であるワイヤーフレームを作成します。
ワイヤーフレームとは、各画面にどのような情報やボタンを配置し、それらがどのように連携して動作するのかを示した骨組みのことです。手書きのスケッチや、無料のツールを使っても作成できます。この段階では色やフォントなどの細かなデザインは考えず、機能の配置と画面遷移の流れに集中します。
ユーザーが直感的に操作できるか(UI/UX)を意識して構成を練ることで、後の開発工程での手戻りを減らせます。
作りたいアプリのプラットフォームに合わせて、開発環境を整えます。
iOSアプリを開発する場合は、Apple社のMacパソコンと、開発ツールであるXcode、プログラミング言語のSwiftが必要です。
一方、AndroidアプリはWindowsまたはMacのパソコンで、開発ツールのAndroidStudioとプログラミング言語のKotlin(またはJava)を用いて開発します。どちらのOSにも対応するアプリを作りたい場合は、一つのコードで両OSに対応できるクロスプラットフォーム開発という選択肢もあります。自身のスキルや目的に合わせて最適な環境を選びましょう。
ここまでの準備が整ったら、プログラミング(コーディング)の工程に入ります。 作成したワイヤーフレームと設計に基づいて、選定したプログラミング言語を使い、コードを記述していきます。個人開発において、この工程が最も時間と根気を要する部分です。
最初はエラーとの戦いになることも多いですが、エラーメッセージを読み解き、一つずつ問題を解決していくことで、徐々にアプリが形になっていきます。
開発途中で迷った際は、STEP3で決めた「必要最低限の機能」に立ち返り、目的を見失わないように進めましょう。
アプリケーションが完成したら、AppStoreやGooglePlayで公開するための準備を始めます。
まず、ストアに掲載するためのアプリ名、説明文、アイコン、スクリーンショット画像などを用意します。 特にスクリーンショットは、ユーザーがダウンロードするかどうかを決める重要な要素です。
また、各ストアが定める審査ガイドラインを遵守しているか、最終的な確認を行います。
個人情報を扱う場合はプライバシーポリシーの作成も求められます。これらの準備を万端に整えた上で、開発者アカウントからアプリの審査を申請します。
アプリ開発は、アイデアと情熱だけで始められるものではありません。開発に着手する前に、機材や費用について準備しておく必要があります。特に個人開発では、これらを事前に把握しておかないと、途中で計画が頓挫してしまう難しさがあります。
ここでは、アプリ開発をスムーズにスタートするために、最低限準備しておくべき機材、学習コスト、そして公開費用という3つの重要な要素について解説します。
アプリ開発には、一定以上の性能を持つパソコンが必須です。特にiOSアプリを開発する場合、Appleの統合開発環境であるXcodeがmacOSでしか動作しないため、Macのパソコンが不可欠となります。Androidアプリであれば、WindowsでもMacでも開発可能です。
また、開発中のアプリが実際のスマートフォンでどのように表示され、動作するかを確認するために、動作確認用の実機を用意することが強く推奨されます。
パソコン上のシミュレータでもある程度は確認できますが、最終的な操作感やパフォーマンスは実機で検証するのが確実です。
プログラミング未経験からアプリ開発を始める場合、スキル習得のための学習期間と費用を見込んでおく必要があります。学習方法は多岐にわたり、数千円の技術書を購入して独学する方法や、月額制のオンライン学習サービスを利用する方法があります。
より体系的に短期間で学びたい場合は、数十万円の費用がかかるプログラミングスクールに通うという選択肢も考えられます。
自身の予算や生活スタイル、目標達成までの期間を考慮し、最適な学習方法を選び、必要な費用を事前に準備しておきましょう。
開発したアプリをApp StoreやGoogle Playで公開するには、各プラットフォームで開発者登録が必要です。Apple Developer Program(iOSアプリ用)は年間99米ドルの費用がかかり、毎年更新が必要です。
一方、Google Play Developer(Androidアプリ用)は、初回登録時に25米ドルの登録料が必要ですが、年間の更新費用は発生しません。
これらの費用は、アプリをストアで公開する上で考慮すべきコストとなるため、開発計画の段階で予算に組み込んでおくことが重要です。登録手続きには時間がかかる場合もあるため、リリースの計画に合わせて早めに済ませておきましょう。
アプリ開発の全体像と手順を理解しても、実際に進める中では様々な壁にぶつかることがあります。特に初心者は、計画段階での見込みの甘さや、ストアのルールに関する知識不足から、手戻りや失敗を経験しがちです。
ここでは、開発プロジェクトを円滑に進め、成功の確率を高めるために意識しておきたい3つの注意点を解説します。これらのポイントを押さえることで、無駄な労力を避け、効率的に開発を進めることが可能になります。
初心者がアプリ開発で挫折する最も一般的な原因は、最初から完璧を目指し、多くの機能を盛り込もうとすることです。
機能が増えれば増えるほど開発の複雑性は増し、完成までの期間が長引いてしまいます。
まずは、ユーザーが抱える最も重要な課題を解決できる、核となる一つの機能に絞り込んで開発をスタートさせましょう。
シンプルな構成で一度リリースし、ユーザーからのフィードバックを元に改善や機能追加を重ねていくアプローチが、個人開発においては現実的で成功しやすい進め方です。
自身での開発が難しい場合、専門の開発会社に外注するのも一つの手段です。
その際は、複数の会社から見積もりを取得し、金額だけで安易に決定しないように注意が必要です。見積書を確認する際は、総額だけでなく、「企画」「デザイン」「開発」「テスト」といった各工程にどれくらいの費用がかかるのか、その内訳が明確に記載されているかを必ずチェックします。
作業範囲が曖昧なまま契約すると、後から追加費用を請求されるなど、予期せぬトラブルに発展する可能性があるため、慎重な確認が求められます。
開発したアプリを公開するには、AppStoreとGooglePlayがそれぞれ定めている審査ガイドラインを通過しなくてはなりません。このルールには、禁止されているコンテンツの種類、個人情報の取り扱い、課金システムの仕様など、遵守すべき項目が詳細に定められています。
開発を本格的に始める前に、ターゲットとするストアのガイドラインに一通り目を通しておくことが非常に重要です。ガイドラインに違反する仕様で開発を進めてしまうと、完成後に審査で却下され、大幅な修正が必要になるリスクを避けられます。
アプリ開発は企画から始まり、要件定義、設計、開発、テスト、リリース、そして運用・保守という一連の流れで進められます。開発手法には計画を重視するウォーターフォール開発と、柔軟性を重視するアジャイル開発が存在します。
個人で開発に挑戦する場合は、アイデアの具体化、市場調査、そして必要最低限の機能への絞り込みといった初期段階のステップが特に重要となります。
開発を始める前に必要な機材や費用を準備し、シンプルな構成から着手することや、ストアのルールを事前に把握しておくといった注意点を押さえることで、開発プロジェクトの成功率を高めることが可能です。
株式会社インプルはReactNativeやFlutterに強いアプリ開発会社です。 アプリ開発において最新技術を駆使し、クロスプラットフォームアプリケーションの開発に数多くの実績を持っています。リソースやスキル面において個人での開発が難しい場合はお気軽にご相談ください。
ご相談は こちら。
アプリ開発には、企画からリリース、運用まで決まった流れが存在します。
この記事では、企業における一般的な開発の流れと、個人が開発を進める際の具体的な手順を分かりやすく解説します。全体像を把握することで、初心者でも計画的に開発を進められるようになります。
目次
はじめに知っておきたい!アプリ開発で用いられる2つの手法
①計画に沿って着実に進めるウォーターフォール開発
②仕様変更に柔軟に対応しやすいアジャイル開発
【全7工程】企業における一般的なアプリ開発の進め方
工程1:アプリの目的やターゲットを明確にする企画
工程2:実装する機能や性能を具体化する要件定義
工程3:ユーザーの操作画面やシステムの動作を決める設計
工程4:設計書に基づいてプログラムを作成する開発(実装)
工程5:アプリが正常に動作するかを検証するテスト
工程6:各アプリストアへ申請して一般公開するリリース
工程7:不具合の修正や機能追加を行う運用・保守
個人でアプリ開発に挑戦する際の7つのステップ
STEP1:作りたいアプリのアイデアを具体的にする
STEP2:競合アプリの状況や市場のニーズを調査する
STEP3:搭載するべき必要最低限の機能を洗い出す
STEP4:画面のレイアウト構成案(ワイヤーフレーム)を作る
STEP5:開発に必要なツールやプログラミング言語を選ぶ
STEP6:実際にコーディングを行いアプリを形にする
STEP7:ストア公開に向けた審査の準備を進める
アプリ開発を始める前に準備しておくべき3つのこと
①開発作業を行うパソコンと動作確認用のスマホ
②プログラミングスキルを習得するための学習費用
③アプリを公開するためのデベロッパー登録費用
アプリ開発をスムーズに進めるための注意点
最初から多機能を目指さずシンプルな構成から始める
開発を外注する際は見積もりの内訳まで確認する
アプリストアの審査ガイドラインを事前に読んでおく
まとめ
はじめに知っておきたい!アプリ開発で用いられる2つの手法
アプリ開発を始める前に、代表的な2つの開発手法について理解しておくと、プロジェクトの特性に合った方法を選べるようになります。
一つは、計画通りに工程を順番に進めていく「ウォーターフォール開発」です。
もう一つは、短いサイクルで開発を繰り返し、仕様変更に柔軟に対応する「アジャイル開発」です。
それぞれの特徴を知ることで、開発の進め方を具体的にイメージできます。
①計画に沿って着実に進めるウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発は、水が上から下に流れるように、企画、要件定義、設計、開発、テストという各工程を順番に進めていく手法です。 前の工程が完了しないと次の工程には進めないため、プロジェクト全体の計画が立てやすく、進捗管理がしやすいというメリットがあります。
一方で、後の工程で仕様変更が発生した場合、前の工程まで戻って修正する必要があるため、手戻りのコストが大きくなる点がデメリットです。
大規模なシステム開発や、仕様が最初に固まっているプロジェクトで採用される傾向にあります。
②仕様変更に柔軟に対応しやすいアジャイル開発
アジャイル開発は、「計画→設計→実装→テスト」という一連の流れを短い期間のサイクルで繰り返し、機能単位で開発を進めていく手法です。 「アジャイル」とは「素早い」という意味を持ち、その名の通り、優先度の高い機能から迅速にリリースすることを目的とします。
各サイクルの終了時にフィードバックを得て、次の開発に反映させるため、途中の仕様変更や新たな要望に柔軟に対応できるのが最大の特長です。
市場のニーズが変化しやすい新規事業や、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねたいサービス開発に向いています。
【全7工程】企業における一般的なアプリ開発の進め方
企業がアプリケーションを開発する場合、一般的に7つの工程を経て進められます。
まず、アプリの目的を定める「企画」から始まり、必要な機能を定義する「要件定義」、そして具体的な仕様を決める「設計」へと続きます。
その後、プログラムを作成する「開発」、動作を検証する「テスト」を経て、ストアで公開する「リリース」を迎えます。
公開後も「運用・保守」を行い、アプリケーションの価値を維持・向上させます。各工程の役割を理解することが、開発全体を把握する第一歩です。
工程1:アプリの目的やターゲットを明確にする企画
企画は、アプリ開発の方向性を定める最初の工程です。 ここでは、なぜそのアプリケーションを開発するのかという理由や目的を明確にします。
例えば、「若年層の顧客獲得」や「社内業務の効率化」といった目的が挙げられます。
同時に、誰に使ってもらいたいのかというターゲットユーザーや、そのユーザーが抱えるどのような課題を解決するのかを具体化します。市場の需要や競合アプリの動向を調査し、プロジェクトの全体像とゴールを設定する、開発の根幹をなす非常に重要なフェーズです。
工程2:実装する機能や性能を具体化する要件定義
要件定義は、企画で定めた目的を達成するために、アプリケーションにどのような機能や性能が必要かを具体的に洗い出し、定義する工程です。
例えば、「ユーザー登録機能」「商品検索機能」「決済機能」といった機能要件や、「地図情報をスムーズに表示できる」「1秒以内に応答する」といった非機能要件を明確にします。
ここで定義された内容は「要件定義書」というドキュメントにまとめられ、開発チーム全体の共通認識となります。開発の全体像を示す地図のような役割を担い、後の工程での認識のズレを防ぐために不可欠です。
工程3:ユーザーの操作画面やシステムの動作を決める設計
設計は、要件定義で定められた内容を、どのように実現するかを具体的に決める工程です。 この工程は大きく二つに分かれます。
一つは、ユーザーが直接目にして操作する画面のレイアウトやデザイン、ボタンの配置、画面遷移などを決める「基本設計(外部設計)」です。
もう一つは、ユーザーの目には見えない部分、例えばデータベースの構造やサーバーとの通信方法、処理の流れといったシステムの内部構造を定める「詳細設計(内部設計)」です。この設計工程で作成される設計書が、次の開発工程の指示書となります。
工程4:設計書に基づいてプログラムを作成する開発(実装)
開発は、設計書をもとにプログラマーがプログラムのコードを記述し、アプリケーションの機能や画面を形にしていく工程です。実装とも呼ばれます。 このフェーズで、設計段階では机上の空論だったものが、実際に動作するソフトウェアとして生み出されます。
開発にはプログラミング言語が用いられ、例えばAndroidアプリではKotlinやJava、iOSアプリではSwiftなどが使用されます。開発チームの規模やプロジェクトの特性に応じて、適切な言語やフレームワークが選択され、効率的に作業が進められます。
工程5:アプリが正常に動作するかを検証するテスト
テストは、開発されたアプリケーションが設計書通りに正しく動作するか、不具合がないかを確認するための重要な工程です。
個々のプログラムが単体で正常に機能するかを調べる「単体テスト」、それらを組み合わせた際に連携がうまくいくかを見る「結合テスト」、そして実際の使用環境に近い状態でシステム全体を検証する「総合テスト」など、段階的に行われます。
開発者のローカル環境だけでなく、テスト専用のサーバーなどを用いて多角的な検証を実施し、品質を保証した上でリリースへと進みます。
工程6:各アプリストアへ申請して一般公開するリリース
リリースは、開発とテストが完了したアプリケーションを、AppStore(iOS)やGooglePlay(Android)といったプラットフォームで一般に公開するための工程です。
各ストアが定めるガイドラインに従って、アプリのアイコン、説明文、スクリーンショットなどの必要情報を準備し、審査を申請します。
審査では、アプリの品質や安全性、コンテンツなどがチェックされ、通過するとストアに公開されます。このリリース作業を経て、ユーザーがアプリをダウンロードし、利用できる状態になります。
工程7:不具合の修正や機能追加を行う運用・保守
アプリケーションはリリースして終わりではなく、公開後も継続的な運用・保守が必要です。
運用では、サーバーの監視やデータのバックアップ、ユーザーからの問い合わせ対応などを行います。
保守では、OSのアップデートに伴う動作不良の修正や、リリース後新たに発見された不具合の改修、セキュリティの脆弱性への対応などを行います。
また、ユーザーのフィードバックや利用状況の分析結果を基に、新しい機能を追加したり、使いやすさを改善したりするアップデートもこの工程に含まれます。
個人でアプリ開発に挑戦する際の7つのステップ
個人でスマホアプリ開発に挑戦する場合、企業での開発とは異なるアプローチが有効です。
アイデアを形にするためには、より実践的で身軽な手順を踏むことが成功の鍵となります。
ここでは、アプリのアイデア出しからストアでの公開準備まで、個人開発者が一人で進めることを想定した7つのステップを紹介します。
この流れに沿って進めることで、初心者でも着実にスマホアプリ開発を進めることが可能になります。
STEP1:作りたいアプリのアイデアを具体的にする
個人でのアプリ開発は、作りたいという情熱が原動力になります。
まずは、自身の日常生活における不便や、「こんなものがあったら便利なのに」という気づきからアイデアを探してみましょう。
アイデアが浮かんだら、「誰の、どのような課題を、どうやって解決するのか」を具体的に言語化することが重要です。
例えば、「毎日の服選びに悩む20代女性のために、手持ちの服を登録し、最適なコーディネートを提案するアプリ」のように、ターゲットユーザーと提供価値を明確にすることで、開発の軸が定まります。
STEP2:競合アプリの状況や市場のニーズを調査する
自分のアイデアが本当にユニークで需要があるのかを確認するため、市場調査を行います。
まずはAppStoreやGooglePlayで、似たようなコンセプトの競合アプリが存在しないか検索してみましょう。
もし競合が存在する場合は、そのアプリの機能、デザイン、レビュー、ダウンロード数などを分析します。
ユーザーがどのような点に満足し、何に不満を感じているかを把握することで、自分のアプリが提供すべき価値や差別化のポイントが見えてきます。
市場のニーズを理解することは、独りよがりな開発を避けるために不可欠です。
STEP3:搭載するべき必要最低限の機能を洗い出す
アイデアをすべて詰め込もうとすると、開発が長期化し、挫折の原因になります。
そこで重要になるのが、アプリの核となる「課題解決に必要最低限の機能」を見極め、それだけを搭載したバージョン(MVP:Minimum Viable Product)を最初に開発するという考え方です。
例えば、料理レシピアプリなら、レシピ検索と表示機能が最低限必要です。
お気に入り登録や買い物リスト機能は、後から追加できます。これはWebアプリやWebアプリケーション開発でも同様で、まずはコア機能に絞ってリリースし、ユーザーの反応を見ながら改善を進めるのが成功への近道です。
STEP4:画面のレイアウト構成案(ワイヤーフレーム)を作る
実装する機能が決まったら、次はアプリの画面設計図であるワイヤーフレームを作成します。
ワイヤーフレームとは、各画面にどのような情報やボタンを配置し、それらがどのように連携して動作するのかを示した骨組みのことです。手書きのスケッチや、無料のツールを使っても作成できます。この段階では色やフォントなどの細かなデザインは考えず、機能の配置と画面遷移の流れに集中します。
ユーザーが直感的に操作できるか(UI/UX)を意識して構成を練ることで、後の開発工程での手戻りを減らせます。
STEP5:開発に必要なツールやプログラミング言語を選ぶ
作りたいアプリのプラットフォームに合わせて、開発環境を整えます。
iOSアプリを開発する場合は、Apple社のMacパソコンと、開発ツールであるXcode、プログラミング言語のSwiftが必要です。
一方、AndroidアプリはWindowsまたはMacのパソコンで、開発ツールのAndroidStudioとプログラミング言語のKotlin(またはJava)を用いて開発します。どちらのOSにも対応するアプリを作りたい場合は、一つのコードで両OSに対応できるクロスプラットフォーム開発という選択肢もあります。自身のスキルや目的に合わせて最適な環境を選びましょう。
STEP6:実際にコーディングを行いアプリを形にする
ここまでの準備が整ったら、プログラミング(コーディング)の工程に入ります。 作成したワイヤーフレームと設計に基づいて、選定したプログラミング言語を使い、コードを記述していきます。個人開発において、この工程が最も時間と根気を要する部分です。
最初はエラーとの戦いになることも多いですが、エラーメッセージを読み解き、一つずつ問題を解決していくことで、徐々にアプリが形になっていきます。
開発途中で迷った際は、STEP3で決めた「必要最低限の機能」に立ち返り、目的を見失わないように進めましょう。
STEP7:ストア公開に向けた審査の準備を進める
アプリケーションが完成したら、AppStoreやGooglePlayで公開するための準備を始めます。
まず、ストアに掲載するためのアプリ名、説明文、アイコン、スクリーンショット画像などを用意します。 特にスクリーンショットは、ユーザーがダウンロードするかどうかを決める重要な要素です。
また、各ストアが定める審査ガイドラインを遵守しているか、最終的な確認を行います。
個人情報を扱う場合はプライバシーポリシーの作成も求められます。これらの準備を万端に整えた上で、開発者アカウントからアプリの審査を申請します。
アプリ開発を始める前に準備しておくべき3つのこと
アプリ開発は、アイデアと情熱だけで始められるものではありません。開発に着手する前に、機材や費用について準備しておく必要があります。特に個人開発では、これらを事前に把握しておかないと、途中で計画が頓挫してしまう難しさがあります。
ここでは、アプリ開発をスムーズにスタートするために、最低限準備しておくべき機材、学習コスト、そして公開費用という3つの重要な要素について解説します。
①開発作業を行うパソコンと動作確認用のスマホ
アプリ開発には、一定以上の性能を持つパソコンが必須です。特にiOSアプリを開発する場合、Appleの統合開発環境であるXcodeがmacOSでしか動作しないため、Macのパソコンが不可欠となります。Androidアプリであれば、WindowsでもMacでも開発可能です。
また、開発中のアプリが実際のスマートフォンでどのように表示され、動作するかを確認するために、動作確認用の実機を用意することが強く推奨されます。
パソコン上のシミュレータでもある程度は確認できますが、最終的な操作感やパフォーマンスは実機で検証するのが確実です。
②プログラミングスキルを習得するための学習費用
プログラミング未経験からアプリ開発を始める場合、スキル習得のための学習期間と費用を見込んでおく必要があります。学習方法は多岐にわたり、数千円の技術書を購入して独学する方法や、月額制のオンライン学習サービスを利用する方法があります。
より体系的に短期間で学びたい場合は、数十万円の費用がかかるプログラミングスクールに通うという選択肢も考えられます。
自身の予算や生活スタイル、目標達成までの期間を考慮し、最適な学習方法を選び、必要な費用を事前に準備しておきましょう。
③アプリを公開するためのデベロッパー登録費用
開発したアプリをApp StoreやGoogle Playで公開するには、各プラットフォームで開発者登録が必要です。Apple Developer Program(iOSアプリ用)は年間99米ドルの費用がかかり、毎年更新が必要です。
一方、Google Play Developer(Androidアプリ用)は、初回登録時に25米ドルの登録料が必要ですが、年間の更新費用は発生しません。
これらの費用は、アプリをストアで公開する上で考慮すべきコストとなるため、開発計画の段階で予算に組み込んでおくことが重要です。登録手続きには時間がかかる場合もあるため、リリースの計画に合わせて早めに済ませておきましょう。
アプリ開発をスムーズに進めるための注意点
アプリ開発の全体像と手順を理解しても、実際に進める中では様々な壁にぶつかることがあります。特に初心者は、計画段階での見込みの甘さや、ストアのルールに関する知識不足から、手戻りや失敗を経験しがちです。
ここでは、開発プロジェクトを円滑に進め、成功の確率を高めるために意識しておきたい3つの注意点を解説します。これらのポイントを押さえることで、無駄な労力を避け、効率的に開発を進めることが可能になります。
最初から多機能を目指さずシンプルな構成から始める
初心者がアプリ開発で挫折する最も一般的な原因は、最初から完璧を目指し、多くの機能を盛り込もうとすることです。
機能が増えれば増えるほど開発の複雑性は増し、完成までの期間が長引いてしまいます。
まずは、ユーザーが抱える最も重要な課題を解決できる、核となる一つの機能に絞り込んで開発をスタートさせましょう。
シンプルな構成で一度リリースし、ユーザーからのフィードバックを元に改善や機能追加を重ねていくアプローチが、個人開発においては現実的で成功しやすい進め方です。
開発を外注する際は見積もりの内訳まで確認する
自身での開発が難しい場合、専門の開発会社に外注するのも一つの手段です。
その際は、複数の会社から見積もりを取得し、金額だけで安易に決定しないように注意が必要です。見積書を確認する際は、総額だけでなく、「企画」「デザイン」「開発」「テスト」といった各工程にどれくらいの費用がかかるのか、その内訳が明確に記載されているかを必ずチェックします。
作業範囲が曖昧なまま契約すると、後から追加費用を請求されるなど、予期せぬトラブルに発展する可能性があるため、慎重な確認が求められます。
アプリストアの審査ガイドラインを事前に読んでおく
開発したアプリを公開するには、AppStoreとGooglePlayがそれぞれ定めている審査ガイドラインを通過しなくてはなりません。このルールには、禁止されているコンテンツの種類、個人情報の取り扱い、課金システムの仕様など、遵守すべき項目が詳細に定められています。
開発を本格的に始める前に、ターゲットとするストアのガイドラインに一通り目を通しておくことが非常に重要です。ガイドラインに違反する仕様で開発を進めてしまうと、完成後に審査で却下され、大幅な修正が必要になるリスクを避けられます。
まとめ
アプリ開発は企画から始まり、要件定義、設計、開発、テスト、リリース、そして運用・保守という一連の流れで進められます。開発手法には計画を重視するウォーターフォール開発と、柔軟性を重視するアジャイル開発が存在します。
個人で開発に挑戦する場合は、アイデアの具体化、市場調査、そして必要最低限の機能への絞り込みといった初期段階のステップが特に重要となります。
開発を始める前に必要な機材や費用を準備し、シンプルな構成から着手することや、ストアのルールを事前に把握しておくといった注意点を押さえることで、開発プロジェクトの成功率を高めることが可能です。
株式会社インプルはReactNativeやFlutterに強いアプリ開発会社です。 アプリ開発において最新技術を駆使し、クロスプラットフォームアプリケーションの開発に数多くの実績を持っています。リソースやスキル面において個人での開発が難しい場合はお気軽にご相談ください。
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