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25.10.03

システム開発の要件定義とは?進め方や手順、流れをわかりやすく解説

システム開発の要件定義とは、プロジェクトの成功を左右する極めて重要な工程です。
この段階で、開発するシステムに必要な機能や性能を明確に定めます。

本記事では、システム開発における要件とは何かという基本から、具体的な進め方や手順、全体の流れについて、初心者の方にも分かりやすく解説します。
適切な要件定義の進め方を理解することで、プロジェクトを円滑に進行させることが可能になります。

目次


まずは基本から!システム開発における要件定義の役割
システム開発の土台となる「要件定義」の概要
「要求定義」とは何が違うのか?それぞれの目的を解説
要件定義で失敗するとどうなる?プロジェクトへの影響
手戻りや追加開発で開発コストが増大する
システムの仕様が固まらずスケジュールが遅延する
完成したシステムが業務内容に合わない
要件定義書に盛り込むべき2つの重要項目
初心者でもわかる!要件定義を進める5つのステップ
要件定義を成功に導くための4つのポイント
要件定義で求められる担当者のスキルセット
まとめ

まずは基本から!システム開発における要件定義の役割



システム開発における要件定義は、プロジェクト全体の方向性を決定づける羅針盤のような役割を担います。
この工程の目的は、発注者がシステムに求めることと、開発者が作るべきものの認識を合わせ、開発のゴールを具体的に設定することです。
後続の設計や開発といった全工程は、ここで定められた要件定義に基づいて進められるため、プロジェクトの土台となる非常に重要なプロセスと言えます。

システム開発の土台となる「要件定義」の概要


要件定義は、システム開発プロジェクトの最上流工程に位置づけられ、システムに実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にする作業です。
発注者(ユーザー)が抱える課題や要望をヒアリングし、それを基に「システムで何を、どこまで実現するのか」という範囲を具体的に定めます。
ここで決定した内容は、システムの画面設計や機能設計を行う基本設計フェーズのインプット情報となります。
したがって、要件定義の精度がプロジェクト全体の品質やスケジュール、コストを大きく左右するため、非常に重要な工程とされています。

「要求定義」とは何が違うのか?それぞれの目的を解説


要件定義と混同されやすい言葉に「要求定義」があります。
要求定義は、要件定義の前に行われる工程で、ユーザーがシステムに対して「こうだったらいいな」「こんな機能が欲しい」といった要望や課題を自由に洗い出す段階です。
目的は、システム化によって実現したいことを網羅的に収集することにあります。

一方、要件定義は、その集まった要求の中から、予算や技術的な実現可能性を考慮して、システムとして具体的に実装するべき仕様、つまり「要件」に落とし込む工程です。
要求はユーザーの希望、要件は開発するシステムの仕様と整理すると分かりやすいでしょう。

要件定義で失敗するとどうなる?プロジェクトへの影響



要件定義の失敗は、プロジェクト全体に深刻な影響を及ぼします。
この工程で定義が曖昧だったり、関係者間の認識にズレがあったりすると、後々の工程で様々な問題が噴出します。

例えば、開発コストの想定外の増加や納期の遅延、最悪の場合には完成したシステムが全く使えないといった事態を招きかねません。
ここでは、要件定義の失敗が引き起こす具体的な影響について解説します。

手戻りや追加開発で開発コストが増大する


要件定義が不十分な場合、開発の途中で仕様の変更や機能の追加が頻発します。
これにより、すでに作成した設計書やプログラムを修正する「手戻り」が発生し、余計な工数がかかります。
当初の見積に含まれていなかった作業が増えるため、開発費用は必然的に増大します。
特に、成果物の完成を約束する請負契約の場合、契約範囲外の追加開発は別途費用が発生し、発注者と開発者の間でトラブルになることも少なくありません。
初期段階で要件を固めることが、予算超過のリスクを抑える上で極めて重要です。

システムの仕様が固まらずスケジュールが遅延する


要件定義が曖昧だと、後工程を担当する設計者や開発者は、どのような機能を作ればよいのか判断できません。
その結果、仕様に関する確認作業が頻繁に発生し、個々のタスクが停滞してしまいます。
一つ一つの遅れは小さくても、積み重なることでプロジェクト全体のスケジュールに大きな遅延をもたらします。
特に、開発の終盤で定義漏れの要件が発覚した場合、大幅な設計変更や追加開発が必要となり、納期を守ることが極めて困難になるでしょう。
明確な要件は、プロジェクトを計画通りに進めるための道標となります。

完成したシステムが業務内容に合わない


要件定義で失敗する最も深刻なケースは、完成したソフトウェアが実際の業務で役に立たないことです。
ユーザーの業務フローや本当の課題が正しく理解されないまま開発が進むと、操作性が悪かったり、必要な機能が不足していたりするシステムが出来上がってしまいます。
どんなに最新の技術を使ったソフトウェアであっても、業務効率の改善につながらなければ導入する意味がありません。
結果的に、多額のコストと時間をかけて開発したシステムが全く使われず、投資が無駄になってしまうリスクがあります。

要件定義書に盛り込むべき2つの重要項目



要件定義で決定した内容は、要件定義書というドキュメントにまとめられます。

この要件定義書は、発注者と開発者の間で何を作るのかという合意を形成するための公式な資料となります。
その内容には様々な項目が含まれますが、特に重要となるのが、システムが提供する機能を定める機能要件と、システムの品質や性能を定める非機能要件の2つです。
この2つの要件を明確に区別して記載することが、認識の齟齬を防ぐ上で不可欠です。

システムに搭載する機能を決める「機能要件」


機能要件とは、システムがユーザーに提供する具体的な機能に関する定義です。
例えば、販売管理システムであれば「商品登録機能」「在庫管理機能」「受注管理機能」「請求書発行機能」などが該当します。
ユーザーが業務を遂行するために、システム上で「何ができるか」を明確にする項目です。
この機能要件を定義する際は、業務フローと照らし合わせながら、必要な機能を漏れなく洗い出すことが重要です。
ユーザーの要求を直接的に形にする部分であり、開発するシステムの根幹をなす仕様といえます。

システムの性能や品質に関わる「非機能要件」


非機能要件とは、機能要件以外でシステムが満たすべき性能や品質に関する定義を指します。
具体的には、システムの応答速度(パフォーマンス)、24時間365日稼働できるか(可用性)、将来のユーザー数増加に対応できるか(拡張性)、情報漏洩を防ぐ仕組み(セキュリティ)などが含まれます。
これらの要件は、システムの使いやすさや安定性、安全性に直結するため、機能要件と同じくらい重要です。
どんなに便利な機能があっても、「動作が遅い」「頻繁に停止する」といった状態では、ユーザーは快適にシステムを利用できません。

初心者でもわかる!要件定義を進める5つのステップ



要件定義を体系的に進めることは、プロジェクト成功の鍵となります。
闇雲に作業を始めるのではなく、確立された手順、フローに沿って進めることで、抜け漏れや手戻りを防ぎ、効率的に要件を固めることができます。

ここでは、システム開発の初心者にも理解しやすいように、要件定義の基本的なプロセスを5つのステップに分けて具体的に解説します。
この流れを意識することで、一連の作業をスムーズに進められるようになります。

STEP1:関係者へのヒアリングで現状の課題を洗い出す


要件定義の第一歩は、新しいシステムを利用するユーザーやプロジェクトの関係者から話を聞くことから始まります。
このヒアリングを通じて、現在の業務の流れ、どのような点に不便を感じているか、システムに何を期待しているかといった情報を収集します。
これが要件を定義するための重要なインプットとなります。
この段階では、解決策を限定せず、まずは現状の課題やニーズを幅広く聞き出すことに注力します。
現場の担当者や管理者など、様々な立場の関係者から意見を集めることで、多角的な視点から問題を把握できます。

STEP2:ヒアリング内容を整理・分析して要求を明確化する


ヒアリングで集めた情報は、そのままでは断片的で整理されていないことがほとんどです。
次のステップでは、これらの情報を整理し、分析することで、ユーザーが本当に解決したい課題、つまり「要求」を明確にしていきます。
収集した要望をグルーピングしたり、関連性を明らかにしたりしながら、なぜその要望が出てきたのかという背景を深掘りします。
例えば、「入力作業を楽にしたい」という漠然とした要望があれば、具体的にどの作業にどれくらい時間がかかっているのかを分析し、問題の核心を突き止めます。
これにより、漠然とした希望が具体的な要求へと変わります。

STEP3:システムで実現する機能・非機能要件を定義する


明確化された要求をもとに、それをシステムでどのように実現するかを具体的に定義する工程です。
このステップで、システムに実装すべき「機能要件」と、システムの性能や品質に関する「非機能要件」を決定します。
例えば、「顧客情報を素早く探したい」という要求に対して、「顧客名や電話番号で検索できる機能」という機能要件を定めます。
同時に、「検索結果は3秒以内に表示する」といった非機能要件も定義します。
予算や開発期間、技術的な実現可能性を考慮しながら、実装する要件の範囲と優先順位を決定することが重要です。

STEP4:要件定義書としてドキュメントにまとめる


定義したすべての要件を、関係者全員が正確に理解できるよう文書化します。
この成果物が「要件定義書」です。
この資料には、システムの開発目的、全体像、業務フロー、そして定義した機能要件と非機能要件の一覧などを詳細に記載します。
文章だけでなく、図や表を効果的に用いることで、より分かりやすいドキュメントを作成することが可能です。
要件定義書は、発注者と開発者の間の公式な合意文書となり、後の設計・開発工程における仕様の基準となるため、誰が読んでも解釈に違いが生まれないよう、明確かつ具体的に記述する必要があります。

STEP5:関係者と内容をすり合わせ合意を得る


完成した要件定義書は、作成者だけで完結させるのではなく、必ずすべてのプロジェクト関係者と共有し、レビュー会を実施します。
この場で、記載内容に抜け漏れや誤りがないか、ユーザーの要求が正しく反映されているかなどを、それぞれの立場から入念に確認します。
発注者側は「自分たちのやりたいことが実現できるか」、開発者側は「この内容で技術的に実現可能か」といった視点でチェックします。
レビューで出た指摘事項を修正し、最終的に全員が内容に納得した上で合意を形成します。
この合意が、後のトラブルを防ぎ、プロジェクトを円滑に進めるための基盤となります。

要件定義を成功に導くための4つのポイント



要件定義は、決められた手順を踏むだけで成功するとは限りません。
プロジェクトを成功に導くためには、プロセスの中で意識すべきいくつかの重要なポイントがあります。
特に、関係者間の円滑なコミュニケーションや、認識のズレをいかに防ぐかといった点が、要件定義の質を大きく左右します。
ここでは、要件定義の精度を高め、失敗のリスクを低減させるために実践したい4つのポイントを解説します。

ユーザーの業務内容や現行システムを深く理解する


質の高い要件定義を行うための大前提は、開発するシステムが使われる現場の業務内容を深く理解することです。
ユーザーが「誰で」「どのような目的で」「どのような手順で」業務を行っているのかを把握しなければ、表面的な要望に振り回され、本質的な課題解決には至りません。
業務フロー全体を理解することで、ユーザー自身も気づいていない改善点や潜在的なニーズを掘り起こすことが可能になります。
既に何らかのシステムが稼働している場合は、その機能や使い方、問題点を分析することも、新しいシステムに求められる要件を考える上で非常に重要です。

5W1Hを活用してヒアリングの精度を高める


関係者へのヒアリングは、要件定義における情報収集の要ですが、漠然と話を聞くだけでは十分な情報を得られません。
ヒアリングの精度を高めるためには、「5W1H(When:いつ、Where:どこで、Who:誰が、What:何を、Why:なぜ、How:どのように)」のフレームワークを活用することが有効です。

例えば、ある機能について要望が出た際に、
「なぜ(Why)その機能が必要なのですか?」「どのような人(Who)が、どのような使い方(How)を想定していますか?」と深掘りして質問することで、要望の背景や目的が明確になり、より具体的で的確な要件定義が可能になります。

プロトタイプや図を用いて認識のズレを防ぐ


要件定義の内容を文章だけで伝えると、読み手によって解釈が異なり、認識のズレが生じるリスクがあります。
こうしたズレを防ぐためには、視覚的な資料を積極的に活用することが非常に効果的です。
例えば、業務の流れを図で示す業務フロー図や、システムの画面イメージを簡易的に作成したプロトタイプを提示することで、関係者全員が同じ完成イメージを共有できます。
特に画面のサンプルなどを見せることは、ユーザーにとってシステムの使い勝手を具体的に想像する助けとなり、「完成したら思っていたものと違った」という事態を未然に防ぎます。

関係者全員で要件定義書のレビューを徹底する


要件定義書が完成したら、プロジェクトに関わる全ての関係者でレビュー(内容の確認・検証)を行う機会を設けます。
発注者側の業務担当者、承認者、そして開発者側のプロジェクトマネージャー、設計者など、それぞれの専門的な視点から内容を多角的にチェックすることで、一人では気づけなかった矛盾点や考慮漏れ、リスクを発見できます。
このレビュープロセスを通じて、記載された要件に対する全員の理解度を深め、内容への合意を形成します。
この徹底したレビューが、後工程での手戻りを防ぎ、プロジェクト全体の品質を高めることにつながります。

要件定義で求められる担当者のスキルセット



要件定義は、単純な作業ではなく、多様な能力が求められる専門性の高い業務です。
担当者には、技術的な知識はもちろんのこと、ビジネスサイドの要求を正確に理解し、それを具体的なシステムの仕様に落とし込み、関係者間の利害を調整する高度なスキルが要求されます。
ここでは、要件定義を成功に導くために担当者が備えておくべき、代表的な4つのスキルセットについて紹介します。

課題を的確に引き出すコミュニケーション能力


要件定義の担当者に最も求められるスキルの一つが、コミュニケーション能力です。
特に重要なのが、ユーザーとの対話を通じて、彼らが抱える本質的な課題や、言葉になっていない潜在的なニーズを引き出すヒアリング能力です。
相手の話に真摯に耳を傾ける傾聴力と、的確な質問で話を深掘りする質問力が不可欠です。
また、システム部門とユーザー部門、あるいは発注者と開発者といった異なる立場の関係者の間に立ち、双方の意見を調整し、円滑な合意形成を促進するファシリテーション能力も極めて重要になります。

要件を論理的に整理し文書化するスキル


ヒアリングなどを通じて収集した、雑多で断片的な情報を整理し、体系立てて構造化する論理的思考力が求められます。
ユーザーからの様々な要望を分析し、それらの関係性や優先順位を明確にし、矛盾なく整理する能力が必要です。
そして、整理した内容を「要件定義書」というドキュメントに、誰が読んでも誤解が生じないよう明確かつ具体的に記述する文書作成スキルも欠かせません。
論理的で分かりやすい文書を作成する能力が、関係者間の認識のズレを防ぎ、プロジェクトを円滑に進行させる基盤となります。

開発するシステムの技術的な知識


ユーザーから出された要望が、技術的に実現可能なのか、また、どのような技術を使えば最も効率的に実現できるのかを判断するためには、システム開発に関する幅広い技術知識が必要です。
プログラミングやデータベース、ネットワーク、セキュリティなどに関する基本的な知識がなければ、実現性の乏しい要件を定義してしまったり、開発者との円滑な意思疎通ができなかったりする可能性があります。
技術的な裏付けを持って要件を定義することで、後工程での手戻りやトラブルを未然に防ぎ、プロジェクトの実現可能性を高めることができます。

顧客の業務や業界に関する深い知見


効果的なシステムを定義するためには、そのシステムが使われる顧客の業務内容や、その業界特有のルール・慣習に関する深い知識が不可欠です。
業務知識がなければ、ユーザーが話す専門用語や課題の背景を正しく理解できず、的外れな要件定義をしてしまう恐れがあります。
業界や業務に精通していれば、ユーザーの言葉の裏にある本質的なニーズを汲み取り、より付加価値の高い提案を行うことも可能です。
技術的な視点だけでなく、ビジネスの視点からシステムのあるべき姿を考えるために、この知見は極めて重要です。

まとめ



システム開発における要件定義は、プロジェクトの成否を決定づける土台となる工程です。
ユーザーからの要求を整理し、機能要件と非機能要件を明確に定義することで、開発の方向性が定まります。
このプロセスは、ヒアリングによる課題の洗い出しから始まり、要求の分析、要件の定義、要件定義書への文書化、そして関係者間の合意形成という一連の手順で進められます。
担当者には、コミュニケーション能力や論理的思考力、技術知識、業務知見といった多岐にわたるスキルが求められます。
これらの要点を確実に押さえることが、プロジェクトの失敗リスクを低減させます。

インプルでは、業務課題の整理から要件定義書の作成支援まで、企業の状況に合わせたサポートを行っています。
「自社でどう進めるべきか分からない」「要件定義の段階から相談したい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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25.10.03

アプリ開発におけるフローチャートの全体像と導入メリット

アプリ開発において、作業工程やプログラムの流れを明確にすることは、スムーズかつ高品質な開発を行ううえで欠かせない要素です。
複数の工程を結び付ける際、概念を可視化しやすいフローチャートを取り入れることで、要件の取りこぼしや認識のずれを最小限に抑えることができます。
フローチャートは、アプリの機能面だけでなく、開発プロセスや不具合の原因追及にも応用可能です。
工程を順序立てて表現することで、全体像から詳細な処理手順まで一目で把握できます。

本記事では、フローチャートの基本的な書き方から代表的な記号の使い方、さらにアプリ開発の各フェーズでの活用例や無料ツールの紹介まで、必要なポイントを網羅して解説します。
ぜひ参考にして、アプリ開発を成功へ導いてください。

目次


フローチャートとは何か
アプリ開発でフローチャートが果たす役割
プロセス可視化によるチーム内共有の重要性
アプリ開発の基本手法
ウォーターフォール開発の流れ
アジャイル開発の流れ
アプリ開発にフローチャートを活用するメリット
①要件定義やタスク管理の効率化
②プログラム処理の可視化
③円滑なコミュニケーションの実現
フローチャート作成の基本:代表的な記号と書き方
開始・終了(Terminal)
処理(Process)・入力/出力(Input/Output)
条件分岐(Decision)と結合(Merge)
あらゆるフェーズにおけるフローチャート活用例
要件定義・設計段階
開発・テスト段階
リリース・運用段階
フローチャート作成に役立つ無料ツール
①draw.io
②Lucidchart
③Google Drawingsやその他オンラインサービス
無料のフローチャート作成ツールで不十分な場合の有料版検討
外部企業へ開発を依頼する際に確認すべきポイント
まとめ:フローチャートを効果的に取り入れアプリ開発を成功させよう<

フローチャートとは何か



フローチャートの定義を知り、なぜアプリ開発に欠かせないのか概要を把握しましょう。

フローチャートは、業務工程やプログラムの処理手順を視覚的に表現するための図式です。矢印でつながれた記号を使うことで、複雑な流れを整理しやすくなり、問題の発生源を見つけやすくする特徴があります。
アプリ開発においては、要件定義や設計段階で機能の全体像を共有するためによく利用されます。
フローチャートを用いることで、段階的なアプローチを取りやすくし、手戻りを減らすことに寄与します。

プログラマーだけでなく、プロジェクトオーナーやデザイナーといった関係者全員が同じ認識をもてる点も大きな魅力です。
工程が可視化されるため、話し合いの際に具体的なイメージを持ちやすくなります。

アプリ開発でフローチャートが果たす役割



アプリ開発では、機能を実装する際に複数の入力や条件分岐が存在する場合が多くあります。フローチャートによってこれらの分岐をわかりやすく図示することで、開発者だけでなくプロジェクト全体がスムーズに進行します。

大規模なアプリになるほど要件も複数にわたるため、要件の抜け漏れやタスクの重複を防ぐ必要があります。
フローチャートを作成すれば、どのタイミングでどの処理が行われるかが明確になり、適切にタスクを割り振りやすくなります。

また、フローチャートは基本設計だけでなく詳細設計の段階でも活用されます。アルゴリズムや処理手順を可視化するため、プログラミング前にロジック上の問題点を洗い出しやすくなる点で大きな役割を果たします。

プロセス可視化によるチーム内共有の重要性



フローチャートを用いてプロセスを可視化すると、担当者の異なるメンバー同士でも開発における意図や前後のつながりを把握しやすくなります。話をするときに曖昧な点が減り、作業時間の短縮にもつながります。
視覚的に理解できるフローチャートは、エンジニア以外のメンバーやクライアントにも説明しやすいツールです。
特にミーティングの場で活用することで、時間をかけずに認識を合わせることが可能になります。

その結果、開発全体のコミュニケーションロスが減り、手戻りや修正依頼も少なくなります。フローチャートが全員の共通言語となることで、開発の効率と品質が向上します。

アプリ開発の基本手法



アプリ開発を円滑に進めるためには、代表的な開発モデルの特徴を理解しておくことが重要です。
アプリ開発の成功には、開発手法の選択が大きく影響します。
代表的な方法としてウォーターフォール型とアジャイル型が挙げられ、それぞれに異なる利点と注意点があります。

ウォーターフォール型は設計からテストまでを一方向に進め、仕様や要求が明確な大規模プロジェクトに適しています。
一方で変更が生じた場合、後戻りしづらいため十分な初期計画が求められます。

アジャイル型では、小さな機能を連続して実装・テストしながら、状況に応じて方向修正を加えるのが特徴です。
不確実性が高い案件や、ユーザーの要望に柔軟に対応したい場合に非常に有効な手法です。

ウォーターフォール開発の流れ



ウォーターフォール型では、要件定義から設計、実装、テスト、リリースまでを段階的に行います。
それぞれの工程を完了してから次に進むため、進行管理はしやすいですが、後戻りが発生するとコストがかかりやすいのが特徴です。
明確な要件をあらかじめ定義できる場合には大きなメリットがあります。大規模な業務システムや、公的機関の厳密な仕様が求められる場合によく採用されています。

フローチャートを活用することで、それぞれの工程でのタスクと処理の流れを広い視野で確認できます。
特に要件定義段階で作成したフローチャートを後続工程に引き継ぐことで、チーム全員の理解度を高められます。

アジャイル開発の流れ



アジャイル開発は、設計と実装を短いサイクルで繰り返し、問題や改善点をその都度検証しながら進める開発手法です。
小規模の機能単位でリリースを行い、ユーザーからのフィードバックを素早く取り入れる特徴があります。

不確定要素が多い開発案件や、仕様変更の可能性が高いプロジェクトに特に適しています。
ウォーターフォール型に比べ、方向軌道修正がしやすい点が大きな利点です。

フローチャートをアジャイル開発に取り入れると、短いスプリントごとの成果物を即座に可視化できます。
早い段階でチームやクライアントと認識をすり合わせ、必要な修正をタイムリーに行うことが可能です。

アプリ開発にフローチャートを活用するメリット



フローチャートの活用で得られる利点を整理し、開発全体を効率的に進める方法を探りましょう。

フローチャートを導入すると、業務フローとプログラム処理が視覚的に整理され、抜け漏れや重複が見つけやすくなります。
特にメンバーが多い開発チームでは、一つのプロセスを図として見せることで、全員の理解を統一できます。

また、タスク管理の観点でもフローチャートは効果的です。
処理の優先度を示しやすくなり、次にどの工程に着手すべきかが明確になるため、管理者もプロジェクトの進捗を把握しやすくなります。

さらに、クライアントや他部門とのやり取りでも、スムーズに情報を伝達できるのが利点です。
図として説明できるため専門用語が伝わりにくい場面でも、イメージベースで構造を理解してもらいやすくなるでしょう。

①要件定義やタスク管理の効率化


初期段階の要件定義では、チャートを使うことでアプリに必要な機能や連携を見落としにくくなります。
複雑なフローを断片的に考えるよりも全体を可視化した方が、抜け漏れが起こりません。
タスク管理の面でも、フローチャートを用いたプロセス設計は有用です。
どのフェーズでどの処理が必要かが明示されるため、優先度が高い部分から着手しやすくなります。
また、フローチャートを頻繁にアップデートしながら作業を進めると、後から追加された機能や要素をすぐに共有できます。
結果的にレビュー時の混乱も防ぎ、プロジェクトの進行を円滑にします。

②プログラム処理の可視化


プログラムのロジックを図示することで、早い段階で矛盾や重複を見つけやすくなります。
特に細かなバグや例外処理の漏れは文章だけでは見落としがちですが、図にすることで抜け漏れを発見しやすくなります。
さらに、大規模なアプリではモジュール間の連携が複雑になるため、フローチャートを使うと関連部分の結合テストも進めやすくなります。
テストの観点でチェックリストが作りやすくなるのもメリットです。
結果として、開発ステップごとの検証作業が効率化し、不具合を早期に修正する土台が整います。
品質の向上とともに、開発後の保守作業もしやすくなるでしょう。

③円滑なコミュニケーションの実現


フローチャートは、部門や職種を越えて情報を共有する際に大きな武器になります。
技術的な知識の浅いメンバーやクライアントにも、全体像を迅速に説明できるためです。
また、会議や打ち合わせの資料にフローチャートが加わると、議論の焦点がはっきりします。
視覚情報を前提に話し合いが進むので、不明瞭な点をすぐに洗い出して解決しやすくなります。
このように、フローチャートにより情報伝達の正確性とスピードが向上するため、プロジェクトを進めるうえで欠かせないコミュニケーション・ツールという評価を得ています。

フローチャート作成の基本:代表的な記号と書き方



フローチャートを正しく作成するために、基本となる代表的な記号と書き方を理解しましょう。

フローチャートを描く上で、まずは主要な記号の意味を把握することが必須です。
開始・終了、処理、条件分岐など、それぞれの記号が示す役割を正しく理解することで、スムーズに図を組み立てられます。
記号を矢印でつないでいく際には、左から右、または上から下へ一方向に進むルールを守りましょう。
視覚的に流れを追いやすくなるだけでなく、後から見返すときのわかりやすさも高まります。

フローチャート作成のコツとして、無駄な枝分かれは極力減らすことが挙げられます。
複雑なロジックの場合は、一旦サブフローとして別図にまとめるなど、可読性を高める工夫が必要です。

開始・終了(Terminal)


開始と終了を示す記号は、フローチャート全体の入り口と出口を示す重要なポイントです。
多くの場合、楕円形や丸みを帯びた長方形で表されます。
この記号を明確にすると、複雑に見えるプロセスでも全体の始まりと終わりを一目で把握できます。
作図ツールによっては「Start」「End」と文字を入れる場合もあります。
プロジェクトの途中で追加の開始終端が生じる場合は、サブチャートとして扱うか、入出力記号などを用いて再設計すると整理がしやすくなります。

処理(Process)・入力/出力(Input/Output)


処理を示す四角形は、フローチャートの中でも最も頻繁に使われる記号です。特定のデータ操作や画面処理など、具体的なタスクをここに書き込んでいきます。
一方、入力/出力は平行四辺形や台形で表すことが一般的です。ユーザーの入力やファイルへの書き込みなど、データの流れを明示するのに便利です。
処理と入力/出力を明確に区別しておくと、後から見てもロジックの流れが把握しやすくなります。
特に複雑な要件を扱うアプリ開発では、説明不足や誤解を防ぐためにも重要です。

条件分岐(Decision)と結合(Merge)


条件分岐を表すひし形は、プログラム上の「if文」や「switch文」のイメージに対応します。YES/NO、TRUE/FALSEなどの判定結果でフローが分かれるときに使用します。
分岐先が複数ある場合は、それぞれの矢印に条件を明記しておくとわかりやすいです。
複雑な条件の場合は、詳細をコメントとして補足したり、別チャートで補完する工夫も有効です。
分岐後のフローを再び一つに統合するタイミングが結合(Merge)です。
通常は同じひし形を使用するか、ツールに応じて独自の記号を用いる場合もありますが、明確に「この先は共通処理に戻る」という意図が伝わるようにしましょう。

あらゆるフェーズにおけるフローチャート活用例



要件定義からリリース・運用まで、フローチャートがどのように役立つのか具体的に紹介します。

フローチャートは、単にプログラムの処理を視覚化するだけでなく、開発の初期段階から運用に至るまで幅広く活用できます。
アプリ開発全体の工程やリソース管理を把握しやすくする点は大きな魅力です。

要件定義段階では、データフローや画面遷移を明示し、関係者がアプリの仕組みを共通認識として持ちやすくなります。
設計段階では機能同士の関連性を整理することで、望まれる機能が実装されているかを判断しやすくなるでしょう。

リリースや運用段階に入ってからも、障害発生時の対処手順や機能追加時の検討フローを迅速に設計・共有できます。
メンテナンスや拡張を考慮した開発にもフローチャートは欠かせないツールです。

要件定義・設計段階


要件定義では、利用者がどのようにアプリを使うのか、多岐にわたるケースを洗い出す必要があります。
フローチャートを活用すれば、機能とそれを必要とする理由がつながった形で整理できます。
画面設計やDB設計を行う際にも、どの処理がどのデータに対して実行されるのか一目でわかる図があると、後の大幅な仕様変更を最小限に抑えやすくなります。
この段階で明確なフロー図を作成することは、設計ミスやコミュニケーション・エラーを軽減する有効な手段です。
最終的に、完成度の高い仕様書を作る基盤にもなります。

開発・テスト段階


実際にコードを入力し始める前に、フローチャートでロジックを固めておくと効率的です。
特に複雑な条件分岐やAPI連携などを含む場合でも、どのように情報が流れるかを先に記述することで実装ミスを減らせます。

また、テスト段階では分岐先ごとに異なるシナリオが発生するため、フローチャートをもとにテストケースを洗い出しやすくなります。
結果として、テスト漏れやバグを早期発見して修正できる可能性が高まります。
開発者同士が仕様をすり合わせる場面でも、視覚化されたロジックがあると理解にかかる時間が短縮されます。
結果的に、開発とテストの効率がグッと向上するでしょう。

リリース・運用段階


リリース後も、運用フローや障害対応手順をフローチャートで示しておくことで、保守担当者や運用スタッフの作業がわかりやすくなります。
問題発生時のエスカレーション経路も明確化しやすいです。

大規模アプリの場合、運用段階で機能追加や仕様変更が行われるケースは少なくありません。
フローチャートを見直しながら新たな機能を組み込むことで、既存の動作への影響を最小限にとどめられます。
ドキュメントとしても有用で、将来的に別の担当者が引き継ぐ際にも短時間でシステム構造を把握できます。
長期運用やバージョンアップを想定する現場では、必須の仕組みと言えます。

フローチャート作成に役立つ無料ツール



フローチャートを簡単に作成できる無料ツールの特徴と活用方法を見ていきましょう。

フローチャートを作成するツールは数多く存在し、無料のものだけでも豊富に選択肢があります。
ブラウザで使えるものからインストールが必要なものまで、自分の作業環境とプロジェクト規模に合わせて選びましょう。
複数人で同時編集できるクラウド型のツールを選択すると、他のメンバーとリアルタイムでフローチャートを更新し、意見交換が可能になります。リモートワークが増えた現在では、その利便性はさらに高まっています。

また、テンプレートが豊富に用意されたツールを使えば、フローチャート作成にかける時間を大幅に短縮できます。
使い勝手と機能性、コラボレーションのしやすさなどを基準に選ぶのがおすすめです。

①draw.io


draw.ioは、直感的なUIと豊富な図解テンプレートを備えた無料のクラウド型作図ツールです。
ブラウザから簡単にアクセスできるため、普段使っているPC以外でも作業できる柔軟性を持ちます。

GoogleドライブやDropboxなどとの連携が可能で、作成したフローチャートの共有も容易です。
共同編集機能により、チームメンバーとの同時編集もスムーズに行えます。
シンプルな操作性でありながら、さまざまなビジネス向けテンプレートを備えているため、フローチャート以外の図解にも幅広く対応できます。

②Lucidchart


Lucidchartは、プロジェクト管理やソフトウェア設計など、多用途に利用できるオンライン作図サービスです。
共同編集のしやすさや、チャットツールとの連携が充実しているのが特徴です。
テンプレートギャラリーからフローチャートの型を選ぶことができ、初心者でも短時間で分かりやすい図を作成できます。
履歴機能を使えば、誤った修正があってもいつでも過去のバージョンに戻せます。
無料プランでもある程度の機能が利用できますが、ページ数や保存容量などに制限があるので、大規模なドキュメントを扱う際には有料版へのアップグレードも検討するとよいでしょう。

③Google Drawingsやその他オンラインサービス


Googleアカウントを持っていれば、すぐにGoogle Drawingsを使い始められます。
ドキュメントやスプレッドシートと併用もできるので、チームでまとめて管理できる利便性があります。
シンプルな機能構成のため、大掛かりな図を作成するのには向きませんが、軽めのフローチャートを作る分には十分です。
リアルタイム共同編集も可能な点は大きな強みです。

その他にも、CacooやMiroなどグラフィカルに作図できるオンラインサービスが存在します。
いずれも無料プランが用意されており、試しやすい環境を提供しています。

無料のフローチャート作成ツールで不十分な場合の有料版検討



無料ツールでカバーしきれない高度な要件やセキュリティ要件がある場合、各社の有料版を検討しましょう。

大人数での共同編集や、高度なテンプレート管理、データの暗号化などが必要になるケースもあります。
そのような場面では、無料プランでは不十分な機能制限に直面するでしょう。

また、企業として正式に採用するツールであれば、サポート体制が充実している有料版への移行が安心です。
問い合わせサポートや機能追加のリクエストを受け付けてもらえる場合もあります。
要件や予算に応じて、有料ツールへの移行タイミングを計画的に検討しましょう。
プロジェクトの規模拡大や長期運用を見据えるなら、セキュリティとサポート体制が整った有料プランが結果的にコストパフォーマンスを高めることもあります。

外部企業へ開発を依頼する際に確認すべきポイント



外注先とのコミュニケーションや開発体制の可視化においても、フローチャートは重要な役割を果たします。
外部企業にアプリ開発を依頼する場合、要件定義や仕様説明などで意思疎通に時間がかかりがちです。
フローチャートを用いると、技術的な背景知識が異なる相手にも簡単に流れを伝えられます。

また、契約前後のやりとりでプロセス全体を可視化しておけば、発注者と開発側の認識のずれを減らせるメリットがあります。
プロジェクト管理ツールと組み合わせることで、進捗状況を客観的に評価しやすくなります。
加えて、要件変更やトラブル対応時にも、フローチャートがあると迅速な判断が可能です。
プロジェクト期間中、継続的にフローチャートを更新し、常に最新のプロセスを共有しておくことをおすすめします。

まとめ:フローチャートを効果的に取り入れアプリ開発を成功させよう



フローチャートは、アプリ開発における要件定義・設計・実装・運用までの全工程で活用できる強力な可視化ツールです。
開発プロセスを明確にすることで、認識のズレや手戻りを防ぎ、品質とスピードの両立が可能になります。

インプルでは、React NativeやFlutterなどの先進技術を駆使した豊富なアプリ開発実績をもとに、「先進技術で革命を起こす」という企業理念のもと、要件定義から設計・開発・運用まで、フローチャートを活用した丁寧なプロジェクト推進を支援しています。

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そんな方は、ぜひお気軽にインプルへご相談ください。
アプリ開発における無料ご相談は こちら

25.10.02

中小企業向けシステム開発を成功させる全知識|依頼の進め方・費用相場・選び方

中小企業向けのシステム開発は、業務効率化や生産性向上を実現し、経営課題を解決する重要な手段です。
しかし、何から始めれば良いか、費用はどのくらいか、どの会社に依頼すべきかなど、多くの疑問が生じます。

この記事では、システムやソフトウェア開発を初めて検討する方や過去に失敗経験のある担当者に向けて、依頼の進め方から費用相場、開発会社の選び方まで、成功に導くための知識を網羅的に解説します。

目次


中小企業がシステム開発で解決できる経営課題
【規模別】中小企業のシステム開発にかかる費用の目安
システム開発の費用をできるだけ抑える3つのコツ
失敗しないシステム開発会社の選び方5つのチェックポイント
中小企業がシステム開発で陥りやすい3つの失敗パターン
問い合わせから納品後まで|システム開発を依頼する全手順
まとめ

中小企業がシステム開発で解決できる経営課題



多くの中小企業は、人手不足や業務の属人化、市場競争の激化といった多様な経営課題を抱えています。
システム開発は、これらの課題に対する有効な解決策となり得ます。
手作業で行っていた業務を自動化したり、組織全体で情報を共有する仕組みを構築したりすることで、生産性の向上や新たな事業機会の創出が期待できます。

ここでは、システム開発によって解決できる代表的な経営課題を紹介します。

慢性的な人手不足を解消し業務を効率化する


中小企業が直面する慢性的な人手不足は、システム化によって大幅に改善できます。
これまで手作業で行っていたデータ入力や請求書作成、在庫管理といった定型業務を自動化することで、従業員の作業時間を大幅に削減し、人的ミスを防止することが可能です。
業務プロセス全体を見直し、非効率な部分をシステム化すれば、限られた人員でも効率的に業務を遂行できる体制が整います。
これにより、従業員は単純作業から解放され、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになり、組織全体の生産性向上に貢献します。

属人化している業務を標準化して生産性を高める


特定の担当者しか業務内容や進め方を把握していない「属人化」は、その担当者の不在時に業務が滞るリスクを抱えています。
システムを導入する過程で業務フローを整理し、標準化された手順をシステムに組み込むことで、誰が担当しても一定の品質で業務を遂行できる環境が構築されます。
これにより、業務の引き継ぎがスムーズになるだけでなく、組織全体でノウハウや顧客情報などのデータを一元管理・共有できるようになります。
業務プロセスが可視化されるため、問題点の発見や改善も容易になり、組織全体の生産性向上に貢献します。

新しいサービス展開で事業の競争力を強化する


システム開発は、既存業務の効率化だけでなく、新しいサービスや事業を創出するための強力な武器にもなります。
例えば、独自の予約システムやオンライン注文が可能なECサイト、顧客の利便性を高めるアプリケーションといったソフトウェアを開発することで、新たな収益源を確保し、事業の競争力を強化できます。
市場のニーズや顧客の行動データを分析し、それを反映したサービスを迅速に提供することで、顧客満足度の向上や新規顧客の獲得につながります。
デジタル技術を活用した事業展開は、競合他社との差別化を図る上で重要な戦略となります。

【規模別】中小企業のシステム開発にかかる費用の目安



システム開発の費用は、開発するシステムの規模や機能の複雑さによって大きく変動します。
小規模な業務ツールの開発から、複数の業務を管理する中規模の基幹システム、さらには外部サービスとの連携を含む大規模な開発まで、その範囲は多岐にわたります。

ここでは、開発規模ごとにかかる費用の目安を解説します。
自社が検討しているシステムの規模と照らし合わせ、予算を策定する際の参考にしてください。

50万~300万円:小規模な業務ツールやWebサイトの開発


50万から300万円の予算範囲では、特定の部署や業務に特化した比較的小規模なシステム開発が可能です。
例えば、手作業で行っているデータ集計を自動化するツール、シンプルな予約機能を持つWebサイト、基本的な情報のみを管理する顧客リストなどが該当します。
また、既存のパッケージソフトウェアやクラウドサービスをベースに、一部の機能をカスタマイズするような案件もこの価格帯で実現できる場合があります。
開発期間は数週間から3ヶ月程度が目安となり、限定的な課題をピンポイントで解決したい場合に適した規模感です。

300万~1,000万円:基幹システムや顧客管理システムの開発


300万から1,000万円の価格帯では、企業の中心的な業務を支える本格的なシステムの開発が視野に入ります。
販売管理、在庫管理、購買管理といった複数の業務データを一元管理する基幹システムや、マーケティング・営業活動を支援する多機能な顧客管理システム(CRM)の構築が代表例です。
この規模になると、企業の独自の業務フローに合わせてゼロから設計するオーダーメイド開発が中心となり、より複雑な要件にも対応できます。
開発期間は半年から1年程度を見込む必要があり、全社的な業務効率化を目指す場合に検討される価格帯です。

1,000万円以上:複数のシステム連携を含む大規模な開発


開発費用が1,000万円を超えるプロジェクトは、複数のシステムを連携させたり、最新技術を取り入れたりする大規模な開発が中心です。
例えば、会計システム、人事給与システム、販売管理システムといった社内の複数の基幹システムを統合し、データ連携を自動化するようなケースが該当します。
また、外部の決済サービスや物流システムとAPIで連携するECサイト、AIを活用したデータ分析基盤の構築などもこの規模に含まれます。
プロジェクトの規模が大きくなるため、開発期間は1年以上に及ぶことも珍しくなく、高度な技術力とプロジェクト管理能力が求められます。

システム開発費用の大部分を占める人件費の内訳


システム開発の見積もりにおいて、費用の大部分を占めるのは人件費です。
人件費は、開発に必要な人員のスキル単価と、開発にかかる期間(工数)を掛け合わせた「人月」という単位で算出されるのが一般的です。
例えば、月額80万円のシステムエンジニアが3ヶ月稼働する場合、人件費は240万円となります。
開発プロジェクトには、全体の進行を管理するプロジェクトマネージャー、システムの設計を行うシステムエンジニア、実際にプログラミングを行うプログラマーなど、様々な役割の技術者が関わります。
技術者のスキルや経験年数によって単価は変動するため、高度な技術を要するシステムほど人件費は高くなる傾向にあります。

システム開発の費用をできるだけ抑える3つのコツ



システム開発には相応の投資が必要ですが、工夫次第で費用を適切にコントロールすることが可能です。
ここでは、開発費用を抑えるための具体的なコツを3つ紹介します。

①本当に必要な機能の優先順位を明確にする


システム開発の費用は、実装する機能の数や複雑さに比例して増加します。
そのため、費用を抑えるためには、本当に必要な機能を見極め、優先順位を明確にすることが不可欠です。
「あれもこれも」と多機能性を求めると、開発工数が増大し、予算を大幅に超過する原因となります。
まずは、システム導入によって解決したい最も重要な課題は何かを考え、「この機能がなければ業務が成り立たない」というコア機能に絞り込みましょう。
その他の「あれば便利」といった機能は、運用を開始してから必要に応じて追加する第二、第三のフェーズとして計画することで、初期投資を抑えつつ効果的なシステム導入が実現できます。

②国や自治体が提供するIT導入補助金を活用する


中小企業のIT投資を支援するため、国や地方自治体は様々な補助金制度を用意しています。
その代表例が「IT導入補助金」で、ソフトウェアの購入費用やクラウドサービスの利用料、導入に関連する専門家への経費などが補助の対象となります。
自社の課題解決に合致するツールやシステムを導入する場合に活用でき、開発費用の一部を補助金で賄うことで、初期投資の負担を大幅に軽減できます。
ただし、補助金には申請期間や対象となる事業者・ツールの要件が定められているため、常に最新の情報を確認する必要があります。
活用を検討する際は、補助金申請の支援実績があるシステム開発会社に相談するのも一つの方法です。

MVP開発で最小限の機能からスモールスタートする


MVP(MinimumViableProduct)とは、ユーザーに価値を提供できる最小限の機能のみを実装したプロダクトを指します。
最初から全ての機能を盛り込むのではなく、まずは核となる機能だけでシステムを開発し、早期に市場へ投入する開発手法です。
このアプローチの最大のメリットは、少ない初期投資で素早く開発・リリースできる点にあります。
実際にユーザーに使ってもらい、そのフィードバックを基に必要な機能を追加・改善していくため、需要のない機能を開発してしまうリスクを避けられます。
費用を抑えながら、市場の反応を見て柔軟に開発方針を修正できるため、特に新規事業向けのシステム開発に適しています。

失敗しないシステム開発会社の選び方5つのチェックポイント

システム開発の成功は、パートナーとなるシステム開発会社選びで決まるといっても過言ではありません。
数多く存在するシステム会社の中から、自社のプロジェクトに最適な一社を見つけ出すためには、技術力だけでなく、様々な観点から評価する必要があります。

ここでは、開発会社選びで失敗しないために、契約前に必ず確認すべき5つのチェックポイントを解説します。
これらのポイントを参考に、信頼できるパートナーを選定してください。

【チェックポイント①】自社の業界や業務内容に関する開発実績が豊富か


システム開発会社を選ぶ際、まず確認すべきなのが、自社が属する業界や、解決したい業務課題に関連する開発実績の有無です。
例えば、製造業であれば生産管理システム、小売業であれば在庫管理やPOS連携システムの開発実績が豊富な会社が望ましいです。
業界特有の商習慣や法律、専門用語に関する知識を持つ開発会社であれば、コミュニケーションが円滑に進み、課題の本質を的確に捉えた提案が期待できます。
公式サイトの導入事例などを確認し、自社と類似した企業のプロジェクトを手がけた経験があるか、どのような成果を出したのかを具体的にチェックすることで、ミスマッチのリスクを減らせます。

【チェックポイント②】課題解決につながる最適なシステムを提案してくれるか


優れた開発会社は発注者の要望をそのまま受け入れるだけでなく、真の課題解決に向けて専門的な視点から最適な提案をしてくれます。
ヒアリングの段階で現状の業務プロセスやシステム導入の背景にある課題を深く掘り下げ、より効果的な解決策や将来の事業展開を見据えた拡張性のある設計を提示してくれるかどうかが重要な判断基準です。
例えば依頼した機能が本当に必要か、別の方法でより安価に実現できないかといった提案をしてくれる会社は信頼できます。
単なる作業者ではなく、ビジネスの成功を共に目指すパートナーとしての姿勢を持っているかを見極める必要があります。

【チェックポイント③】専門用語を使わず分かりやすく説明してくれるか


システム開発の打ち合わせでは、多くの専門用語が飛び交います。
ITに詳しくない担当者に対しても、専門用語を避け、図や具体例を交えながら分かりやすく説明してくれるかどうかは、非常に重要なポイントです。
こちらの質問に対して丁寧に答え、認識の齟齬がないかを確認しながら対話を進めてくれる会社であれば、安心してプロジェクトを任せられます。
逆に、説明が一方的で専門用語を多用する会社の場合、仕様の認識違いや意図が伝わらないまま開発が進んでしまい、完成したシステムが求めていたものと違うといったトラブルに発展するリスクが高まります。

【チェックポイント④】開発中も進捗状況をこまめに報告してくれるか


開発プロセスにおけるコミュニケーションの頻度と質も、開発会社を選ぶ上で重要な要素です。
契約後、開発期間中は定期的に進捗状況を報告し、課題や確認事項を共有してくれる体制が整っているかを確認しましょう。
例えば、週に一度の定例ミーティングを設定したり、チャットツールで日々のやり取りができたりするなど、コミュニケーションの手段や頻度を事前にすり合わせておくことが重要です。
進捗が可視化されていると、予期せぬ問題が発生した場合でも早期に発見・対処でき、仕様変更の要望なども伝えやすくなります。
開発の透明性を確保し、安心してプロジェクトの進行を任せられる会社を選びましょう。

【チェックポイント⑤】納品後の運用保守やサポート体制は万全か


システムは完成して終わりではなく、導入後の安定稼働が極めて重要です。
そのため、開発会社の選定時には、納品後の運用保守やサポート体制がどのようになっているかを必ず確認する必要があります。
システムに不具合が発生した際の対応フローや対応時間、サーバーの監視体制、データのバックアップ方針など、具体的なサポート内容を契約前に書面で明確にしておきましょう。
また、事業の変化に伴う将来的な機能追加や法改正への対応など、長期的な視点でシステムの改修や改善を相談できるパートナーであるかどうかも見極めるべきポイントです。

中小企業がシステム開発で陥りやすい3つの失敗パターン

システム開発は大きな投資であるため、失敗は避けたいものです。
ここでは、特に中小企業が陥りがちな代表的な失敗パターンを3つ紹介し、その対策を考えます。

①要件定義が曖昧で想定外の追加費用が発生してしまう


システム開発で最も多い失敗の一つが、要件定義の曖昧さに起因するトラブルです。
開発の初期段階で、どのような課題を解決するために、どのような機能が必要なのかを具体的に定義できていないと、開発途中で「この機能も必要だった」「仕様が想定と違う」といった問題が次々と発生します。
こうした手戻りや仕様変更は、当初の計画にはない追加の作業となるため、別途費用が発生したり、納品が大幅に遅れたりする直接的な原因となります。
発注側も丸投げにせず、開発会社と密に連携を取り、必要な機能や業務フローを徹底的に洗い出すプロセスが不可欠です。

②見積もりの安さだけで選んでしまい品質が低くなる


システム開発の費用を抑えたいという思いから、提示された見積金額の安さだけで開発会社を選んでしまうのは危険です。
相場よりも極端に安い見積もりには、何らかの理由が隠れている可能性があります。
例えば、テスト工程を簡略化していたり、経験の浅いエンジニアをアサインしていたりすることで、コストを下げているケースです。
その結果、納品されたシステムに不具合が多発したり、操作性が悪く現場で使われなかったり、将来の機能追加が困難な設計になっていたりする恐れがあります。
安易な価格比較だけでなく、提案内容や実績、担当者のスキルなどを総合的に評価し、品質とのバランスを考慮して選定する必要があります。

社内にIT担当者がおらず導入後にシステムを活用できない


高機能なシステムを導入しても、社内にITの知識を持つ担当者がいない場合、その価値を十分に引き出せないまま形骸化してしまうことがあります。
従業員からの操作に関する質問に対応できなかったり、軽微なエラーが発生した際に原因が分からず業務が停止してしまったりするケースです。
また、システムを運用する中で出てくる改善要望を具体的にまとめ、開発会社に的確に伝える役割を担う人材も必要です。
システム導入を成功させるには、開発を依頼するだけでなく、導入後の運用を見据えた社内体制の構築が欠かせません。
もし専任の担当者を置くのが難しい場合は、操作研修やヘルプデスクといった導入後のサポートが手厚い開発会社を選ぶことが重要です。

問い合わせから納品後まで|システム開発を依頼する全手順

システム開発を成功させるためには、計画的に手順を踏んで進めることが重要です。
ここでは、開発会社への問い合わせからシステム導入、そして運用開始までの一般的な流れを5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:RFP(提案依頼書)で開発の目的や要望を整理する


システム開発を検討し始めたら、まずはRFP(提案依頼書)の作成から着手しましょう。
RFPとは、開発会社に対して、システム導入の背景や目的、解決したい経営課題、実装してほしい機能の要望、予算感、希望納期といった情報をまとめた文書のことです。
RFPを作成する過程で、自社の要求や目的が明確になり、関係者間の認識を統一できます。
また、各開発会社に同じ条件で提案を依頼できるため、複数の提案を公平に比較・検討することが可能になります。
詳細なRFPを用意することで、開発会社からの提案の精度が高まり、その後のやり取りがスムーズに進みます。

ステップ2:複数の開発会社から見積もりと提案内容を比較する


作成したRFPを基に、3~5社程度の開発会社を選定し、提案と見積もりを依頼します。
各社から提出された提案書を比較検討する際は、見積金額の安さだけで判断してはいけません。
自社の課題をどれだけ深く理解しているか、その解決策としてどのようなシステムを具体的に提案しているか、開発体制やスケジュールは現実的か、といった点を総合的に評価することが重要です。
また、提案内容に関する質疑応答や打ち合わせを通じて、担当者の人柄やコミュニケーションの取りやすさも確認しましょう。
長期的な付き合いになる可能性もあるため、信頼して相談できるパートナーかどうかを見極める必要があります。

ステップ3:要件定義で実装する機能を具体的に決定する


発注先の開発会社を決定したら、プロジェクトで最も重要な工程である「要件定義」に進みます。
要件定義では、RFPの内容をさらに掘り下げ、開発会社と協力しながらシステムに実装する機能や性能、画面デザイン、操作方法などを一つひとつ具体的に決めていきます。
ここで定義した内容は「要件定義書」というドキュメントにまとめられ、以降の設計や開発工程の全ての基礎となります。
この段階で認識の齟齬があると、完成品がイメージと異なるものになるため、発注側も主体的に打ち合わせに参加し、細部まで仕様を確認することが極めて重要です。

ステップ4:設計・開発・テストの工程は開発会社に任せる


要件定義が固まると、実際の開発工程に移ります。
このフェーズは、システムの全体像を決める「設計」、設計書に基づいてプログラムを作成する「開発(プログラミング)」、そして作成したプログラムが正しく動作するかを確認する「テスト」の順で進められます。
これらの専門的な作業は、基本的に開発会社の責任において進められます。
発注側としては、プロジェクトの進捗を管理し、定期的な報告会で進捗状況を確認する役割を担います。
また、開発の途中段階で、試作品(プロトタイプ)の動作確認を依頼されたり、テストへの協力を求められたりする場合もあります。

ステップ5:納品されたシステムを検収し運用を開始する


開発会社内での全てのテスト工程が完了すると、システムが納品されます。
発注側は、納品されたシステムが要件定義書で定めた仕様や機能を全て満たしているか、実際の業務データを使って問題なく動作するかを最終確認します。
この作業を「検収」または「受け入れテスト」と呼びます。
検収で問題がないことが確認できれば、システム導入は完了です。
その後、開発会社から操作マニュアルの提供や従業員向けの操作研修を受け、実際の業務での運用をスタートさせます。
システムを安定して稼働させるために、ここから運用保守のフェーズへと移行します。

まとめ

中小企業がシステム開発を成功させるには、まず自社の経営課題を明確にし、解決すべき目的を定めることが起点となります。
その上で、開発規模に応じた費用感を把握し、必要な機能に優先順位をつけることで、現実的な予算計画を立てることが可能です。
開発会社の選定においては、価格だけでなく、業界知識や提案力、コミュニケーションの質を多角的に評価し、長期的なパートナーとなりうるかを見極める必要があります。
RFPの作成から要件定義、検収に至る各ステップを発注側も主体的に関与し、導入後の運用体制までを視野に入れてプロジェクトを推進することが、投資対効果の高いシステム開発を実現します。

インプルでは、中小企業向けのシステム開発支援を多数手がけており、要件整理から補助金活用、開発会社選定まで一貫してサポートしています。
「何から始めればいいかわからない」「費用や進め方を相談したい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
中小企業向けシステム開発の無料相談はこちら。

25.10.02

システム開発の補助金【2025年最新】アプリ開発で使える種類を一覧解説

2025年最新の情報を基に、システム開発やアプリ開発で利用可能な補助金・助成金について解説します。
新規事業や業務効率化のためにシステム導入を検討しているものの、高額なシステム開発費が課題となっている企業は少なくありません。

この記事では、代表的な補助金の種類から、申請時の注意点、メリット・デメリットまでを網羅的に解説し、自社に最適な補助金選びをサポートします。

目次


2025年にシステム開発で活用できる補助金の種類一覧
【目的別】システム開発に使える主要な補助金3つの特徴
システム開発の補助金申請前に押さえておきたい3つの注意点
システム開発に補助金を活用するメリット
システム開発で補助金を利用する際のデメリット
複雑な補助金申請は専門家への相談も検討しよう
まとめ

2025年にシステム開発で活用できる補助金の種類一覧



システム開発に利用できる補助金には、国が主導するものから地方自治体が独自に実施するものまで様々な種類が存在します。
特に中小企業が活用しやすい代表的な補助金として、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「IT導入補助金」が挙げられます。

これらの補助金は、それぞれ目的や対象となる経費が異なるため、自社の事業計画や開発したいシステムの内容に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。

【目的別】システム開発に使える主要な補助金3つの特徴



システム開発で活用される代表的な補助金として、中小企業庁などが管轄する「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「IT導入補助金」の3つがあります。
これらの補助金は、それぞれ支援の目的や対象となる事業内容、経費の範囲が異なります。
自社のシステム開発が「革新的なサービス開発」「新規事業への挑戦」「業務効率化」のどれに当てはまるかを明確にし、それぞれの特徴を理解した上で申請する補助金を選択する必要があります。

革新的なサービス開発を支援する「ものづくり補助金」


ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業などが行う革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を支援する制度です。
システム開発の文脈では、新しい技術を活用したアプリケーション開発や、競争力強化に資する独自の業務管理システムの構築などが対象となり得ます。
補助上限額が比較的高く設定されている一方で、事業計画には高い革新性や市場での優位性が求められます。
単なる既存システムの導入ではなく、自社の創意工夫によって生産性を向上させる取り組みを具体的に示すことが採択のポイントになります。

新規事業のシステム開発を後押しする「事業再構築補助金」


事業再構築補助金は、社会経済の変化に対応するため、中小企業が取り組む新分野展開や事業転換、業種転換といった思い切った事業再構築を支援する制度です。
システム開発においては、既存事業とは異なる新たな市場へ進出するためのECサイト構築や、製造業が新たにサブスクリプションサービスを始める際の顧客管理システムの開発などが対象となります。
この補助金は、単なる業務効率化ではなく、企業の事業ポートフォリオを大きく変えるような挑戦的な取り組みを後押しする点に特徴があります。
そのため、事業計画には市場のニーズや事業の実現可能性を明確に示すことが求められます。

業務効率化システムの導入に使える「IT導入補助金」


IT導入補助金は、中小企業が抱える課題を解決し、生産性を向上させるためのITツール導入を支援する制度です。
会計ソフトや受発注システム、勤怠管理システムといった、あらかじめ事務局に登録されたソフトウェアやクラウドサービスの利用料などが補助対象となります。
ゼロから独自のシステムを開発する費用は原則として対象外ですが、デジタル化による業務効率化を目的としてパッケージ化されたツールを導入する際に活用できます。
特にインボイス制度対応など、喫緊の課題解決に向けたソフトウェア導入を検討している場合に適しており、他の補助金と比較して申請のハードルが低い傾向にあります。

システム開発の補助金申請前に押さえておきたい3つの注意点



システム開発で補助金を活用する際には、事前に理解しておくべき重要な注意点があります。
特に、補助金が原則として後払いであること、採択の可否を左右する事業計画書の重要性、そして申請から事業完了報告までの厳密なスケジュール管理の3点は必ず押さえておく必要があります。

これらの点を軽視すると、資金繰りの悪化や、そもそも補助金が受け取れないといった事態に陥りかねません。
公募要領は変更されることもあるため、常に最新の情報を確認することが不可欠です。

【注意点①】補助金は採択・事業実施後の「後払い」が原則


補助金を申請する上で最も注意すべき点の一つが、支払いのタイミングです。
補助金は、採択が決定した直後に振り込まれるわけではなく、原則として「後払い(精算払い)」となります。
具体的には、まず補助事業の計画が採択された後、申請者がシステム開発会社への支払いを全額自己資金で立て替えて事業を完了させます。
その後、事業実績報告書と経費の証拠書類を提出し、事務局による確定検査を経て、問題がなければ指定された口座に補助金が振り込まれるという流れです。
したがって、補助金が実際に入金されるまでの間の資金繰り計画を事前にしっかりと立てておくことが極めて重要です。

【注意点②】事業の成長性や革新性を示す計画書が採択の鍵


補助金の採択審査において、その可否を大きく左右するのが事業計画書の内容です。
なぜそのシステム開発が必要なのか、開発によってどのような経営課題が解決され、企業の成長にどうつながるのかを具体的かつ論理的に説明する必要があります。
審査員は、その事業が持つ将来性や市場での優位性、社会的な意義などを評価するため、数値目標を明確に設定し、その達成に向けた具体的なプロセスを示すことが重要です。
特に革新性が問われる補助金では、既存の技術やサービスとの違いを明確にし、自社の取り組みがいかに独自で優れているかを客観的なデータに基づいて説得力をもって記述することが採択の鍵となります。

【注意点③】申請から事業完了までのスケジュール管理が必須


補助金事業は、申請の公募期間から事業実施期間、完了後の実績報告期限まで、すべてのプロセスに厳格なスケジュールが定められています。
特に、システム開発は補助事業として定められた期間内に、発注から納品、検収、支払いの全てを完了させなければなりません。
この期限を1日でも過ぎてしまうと、補助金の交付が受けられなくなるという厳しいルールが適用されます。
システム開発プロジェクトは仕様変更やトラブルなどで遅延が発生しやすいため、開発会社と緊密に連携し、余裕を持たせた現実的なスケジュールを立てることが不可欠です。
申請準備段階から事業完了までを見通し、全体の工程を管理する体制を整えることが求められます。

システム開発に補助金を活用するメリット



システム開発に補助金を活用することには、金銭的な支援を受けられる以上のメリットが存在します。
最も大きな利点は、開発にかかる初期投資を抑え、自己資金の負担を大幅に軽減できる点にあります。
これにより、資金的な制約から躊躇していたような大規模な開発や、挑戦的なシステム導入にも踏み出しやすくなります。

さらに、国の審査を経て事業が採択されることで、その計画の妥当性や将来性が客観的に認められたことになり、企業の対外的な信頼性向上にもつながります。

【メリット①】開発にかかる自己資金の負担を軽減できる


システム開発、特に自社の業務に合わせたオーダーメイドのシステムを構築する場合、その費用は数百万円から数千万円に及ぶことも少なくありません。
この高額な初期投資は、特に中小企業にとって大きな経営上の負担となります。
補助金を活用することで、開発費用のうち補助率(例えば2分の1や3分の2など)に応じた金額が国から補填されるため、企業の自己資金負担を大幅に軽減できます。
これにより、資金的な制約から断念していた高度な機能を持つシステムの開発や、より広範囲な業務のデジタル化に取り組むことが可能になります。
削減できた自己資金を、マーケティング費用や人材育成など、他の重要な事業投資に回せる点も大きな利点です。

【メリット②】事業の信頼性が向上し金融機関からの融資を受けやすくなる


補助金の採択は、国や公的機関による厳格な審査を経て、事業計画の新規性や成長性、実現可能性が客観的に認められたことを意味します。
この「国からのお墨付き」は、企業の社会的な信用力を大きく向上させる効果を持ちます。
特に金融機関からの評価は高まり、融資審査において有利に働くことが少なくありません。
補助事業に必要な自己負担分の資金調達や、その後の運転資金に関する融資相談がスムーズに進みやすくなる傾向があります。
また、採択されたという事実は、取引先や顧客、潜在的なパートナー企業からの信頼獲得にもつながり、事業を円滑に進める上での追い風となり得ます。

システム開発で補助金を利用する際のデメリット



多くのメリットがある一方で、システム開発で補助金を利用する際には看過できないデメリットも存在します。
特に、申請書類の作成に専門的な知識と多くの時間を要する点や、補助金が後払いのために開発費用を一時的に全額立て替えなければならない点は大きな負担となり得ます。

これらのデメリットを事前に理解し、社内のリソースや資金繰りを考慮した上で、計画的に申請準備を進めることが、補助金活用の成否を分ける重要なポイントとなります。

申請書類の準備に専門的な知識と時間が必要


補助金の申請手続きは、書類を提出すればよいというものではありません。
公募要領を隅々まで読み込み、審査項目を理解した上で、自社の強みや事業の将来性をアピールする説得力のある事業計画書を作成する必要があります。
この計画書には、経営課題の分析、開発するシステムの具体的な内容、導入によって得られる定量的・定性的な効果、そして費用対効果の算出など、多岐にわたる項目を詳細に記述することが求められます。
これらの専門的な内容を盛り込んだ書類を、通常業務と並行しながら作成するには、膨大な時間と労力を要するため、社内のリソース配分を慎重に検討しなければなりません。

補助金が振り込まれるまで資金を立て替える必要がある


補助金制度の大きなデメリットとして、資金繰りの問題が挙げられます。
前述の通り、補助金は事業完了後の後払いが原則であるため、採択が決定してもすぐには入金されません。
システム開発にかかる費用は、まず自社で全額を開発会社へ支払う必要があります。
例えば、補助額が1,000万円であっても、開発費用が1,500万円であれば、一旦その全額を自社で用意しなければなりません。
補助金が実際に振り込まれるのは、事業が完了し、実績報告と確定検査を経た後になるため、数ヶ月以上の期間、資金を立て替えることになります。
この間のキャッシュフローを圧迫しないよう、十分な自己資金を準備するか、金融機関からのつなぎ融資を検討する必要があります。

複雑な補助金申請は専門家への相談も検討しよう



補助金の申請手続きは公募要領の解読や事業計画書の作成など、専門的な知識と多大な労力を要します。
自社のリソースだけで対応することが難しいと感じた場合は、外部の専門家に相談することも有効な選択肢です。
中小企業診断士や行政書士、国から認定を受けた「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」、または補助金申請支援を専門とするコンサルティング会社などが挙げられます。

これらの専門家は、各種補助金制度の最新情報や審査のポイントを熟知しており、採択率を高めるための事業計画書作成をサポートしてくれます。
支援を依頼するには費用が発生しますが、申請にかかる手間や時間を大幅に削減できるだけでなく、採択の可能性を高められるため、結果的に高い費用対効果が期待できるケースも少なくありません。

まとめ



システム開発において活用できる補助金には、革新的な開発を支援する「ものづくり補助金」、新規事業を後押しする「事業再構築補助金」、業務効率化を目的とした「IT導入補助金」など、様々な種類が存在します。 これらの制度を利用することで、開発費用の自己負担を軽減し、企業の信用力を高めるといったメリットが得られます。

しかしその一方で、申請書類の作成には専門知識と時間が必要であり、経費は事業完了後の後払いとなるため一時的な資金の立て替えが発生します。
補助金の申請を成功させるには、これらの特性を十分に理解し、自社の事業目的に合った補助金を選定した上で、説得力のある事業計画書と徹底したスケジュール管理をもって臨むことが必要です。

インプルでは、補助金制度の活用を前提としたシステム開発のご相談や、申請支援のパートナー紹介も行っています。
「どの補助金が使えるか知りたい」「申請に不安がある」「補助金を活用して開発を進めたい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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25.10.02

システム開発の見積もり方法|内訳・項目をサンプル付きで解説

システム開発を外部に発注する際、プロジェクトの成否を左右するのが「見積もり」です。
しかし、専門的な項目が多く、その妥当性を判断するのは容易ではありません。

この記事では、システム開発における見積もりの基本的な考え方から、ソフトウェアの見積もり方法、見積書の内訳・項目まで、サンプルをイメージしながら具体的に解説します。
発注担当者が正確な費用感を把握し、適切な開発会社を選定するための一助となる情報を提供します。

目次


システム開発における見積もりとは?その重要性を解説
システム開発の見積書サンプルで見る内訳と費用項目
要件定義にかかる費用
システムの設計にかかる費用
プログラミングなどの開発作業にかかる費用
品質を担保するためのテストにかかる費用
プロジェクト進行を管理するための費用
システム導入後の運用・保守にかかる費用
インフラ構築や機器購入などその他の費用
システム開発費用の主な見積もり算出方法7選
見積書を受け取ったら確認すべき8つのチェックポイント
見積もり金額の妥当性を判断するための3つの方法
まとめ

システム開発における見積もりとは?その重要性を解説



システム開発における見積もりは、費用を算出するだけでなく、プロジェクトの範囲やスケジュール、成果物について発注者と開発会社が合意を形成するための重要なプロセスです。
ユーザーが求めるシステムと開発会社が提供するものの間に認識のズレがあると、予算超過や納期遅延といったリスクに直結します。

特にソフトウェアという無形の製品を開発する場合、完成形が見えにくいため費用算出が難しい側面があります。
そのため、透明性の高い見積もりを通じて、プロジェクトの全体像を共有し、リスクを管理することが成功の鍵となります。

概算見積もりと詳細見積もりの2段階で進めるのが一般的


システム開発の見積もりは、プロジェクトの進行に合わせて精度を高めていくため、一般的に2段階のプロセスで進められます。
まず、企画や構想といった初期段階で、大まかな要件を基に算出されるのが「概算見積もり」です。
このタイミングでは精度は低いものの、予算確保の判断材料や開発会社を選定する際の比較資料として活用されます。

次に、要件定義が完了し、開発するシステムの具体的な仕様が固まった段階で、詳細な作業項目を洗い出して作成するのが「詳細見積もり」です。
この流れを踏むことで、プロジェクトの不確実性を段階的に減らしながら、より正確な費用を把握していくことができます。

システム開発の見積書サンプルで見る内訳と費用項目



システム開発の見積書には、プロジェクト全体にかかる費用が様々な項目に分けて記載されています。
これらの内訳を理解することは、提示された金額の妥当性を判断する上で不可欠です。

費用を構成する主な要素は、システムの企画段階から開発、そして運用保守に至るまでの各工程に対応しています。
ここでは、一般的な見積書で提示される主要な内訳と費用項目について解説し、それぞれの項目がどのような作業を含んでいるのかを明らかにします。

要件定義にかかる費用


要件定義は、開発するシステムにどのような機能や性能が必要かを明確にする、プロジェクトの土台となる工程です。
この費用は主に、発注担当者へのヒアリングや業務フローの分析、そして決定事項を要件定義書として文書化する作業に対する人件費で構成されます。
担当するのはシステムエンジニアやITコンサルタントなど、上流工程を専門とする技術者です。
プロジェクトの方向性を決定づける極めて重要なフェーズであり、ここで定義された内容が後続の設計や開発の品質に直接影響するため、安易に費用を削減すべき項目ではありません。

システムの設計にかかる費用


設計は、要件定義で決定した仕様を基に、システムの具体的な構造や動作を決定する工程です。
このフェーズは、ユーザーが直接目にする画面のレイアウトや操作方法などを定義する「基本設計(外部設計)」と、プログラムの内部構造やデータの流れといった技術的な仕様を固める「詳細設計(内部設計)」に分かれます。
費用は、これらの設計書を作成するシステムエンジニアの人件費が中心となります。
特に、利用者の使いやすさを左右する画面設計はシステムの満足度に大きく関わるため、重要な作業と位置づけられます。

プログラミングなどの開発作業にかかる費用


開発作業は、設計書に基づいて実際にプログラミングを行い、システムを形にしていく工程であり、「実装」や「製造」とも呼ばれます。
この費用は、プログラマーの人件費が大部分を占め、システム開発全体のコストの中で最も大きな割合を占めることが一般的です。
費用は、開発する機能の数や複雑さ、採用するプログラミング言語、そして開発チームの技術力や生産性など、様々な要因によって変動します。
見積もりでは、各機能の実装に必要な作業時間(工数)を積み上げて算出されるケースが多く、この工程の精度が全体の費用を大きく左右します。

品質を担保するためのテストにかかる費用


テストは、開発したシステムが設計書通りに正しく動作するかを検証し、不具合(バグ)がないかを確認する品質保証の工程です。
プログラム単体の動きをチェックする「単体テスト」、複数の機能を連携させた際の動作を確認する「結合テスト」、そしてシステム全体を通して要件を満たしているかを検証する「総合テスト」など、複数の段階に分かれています。
この費用には、テスト計画の策定、テストの実施、結果の分析と報告などを行うテスターや品質管理担当者の人件費が含まれます。
リリース後のトラブルを未然に防ぐために不可欠なコストです。

プロジェクト進行を管理するための費用


プロジェクト管理費は、開発プロジェクト全体が計画通りに円滑に進むよう、品質・コスト・納期(QCD)を管理するために必要な費用です。
プロジェクトマネージャー(PM)が中心となり、進捗管理、課題管理、メンバー間の調整、発注者への報告など、多岐にわたる管理業務を行います。
この費用は、開発工数全体に対して一定の割合(例:10%〜20%)で計上されることが多く、「PM費」や「ディレクション費」といった項目で記載されます。
プロジェクトの規模が大きく、関わる人員や開発期間が増えるほど、管理業務の重要性と費用は増大します。

システム導入後の運用・保守にかかる費用


システムは開発して終わりではなく、リリース後に安定して稼働させるための運用・保守が必要です。
この費用には、サーバーやネットワークの監視、定期的なバックアップ、障害発生時の調査・復旧対応、OSやミドルウェアのアップデート対応などが含まれます。
また、軽微な機能改善や操作に関する問い合わせ対応なども保守契約の範囲となる場合があります。
既存システムからのデータ移行作業がここに含まれることもあります。
費用形態は月額固定制が一般的で、開発費用の一定割合が年間の保守費用として設定されるケースが多く見られます。

インフラ構築や機器購入などその他の費用


システムを稼働させるための基盤となるインフラ環境の構築に関連する費用です。
これには、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの購入費やレンタル料、AWSやAzureなどのクラウドサービスの利用料が含まれます。
また、OS、データベース管理システム(DBMS)、セキュリティソフトといったミドルウェアや、有償のソフトウェアライセンスの購入費用もこの項目に該当します。
自社内にサーバーを設置するオンプレミス型か、クラウドを利用するかによって、費用の内訳や金額は大きく異なるため、事前に構成を確認しておく必要があります。

システム開発費用の主な見積もり算出方法7選



システム開発費用の見積もりには、プロジェクトの特性や要件の明確度に応じて様々な算出方法が用いられます。
開発会社がどの手法を採用しているかを理解することは、提示された見積もりの根拠を把握し、その妥当性を判断する上で役立ちます。

代表的な見積方には、過去の実績を参考にするものや、作業を細かく分解して積み上げるものなど、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
ここでは、実務でよく使われる7つの見積もり算出手法について、その特徴を解説します。

①過去の類似案件から算出する「類推見積もり法」


類推見積もり法は、開発会社が過去に手掛けた類似のシステム開発プロジェクトの実績を基に、費用や工数を算出する手法です。
この方法は、まだ要件が詳細に固まっていない企画段階や、迅速に概算費用を把握したい場合に特に有効です。
少ない情報からスピーディーに見積もりを提示できる点が大きなメリットですが、その精度は担当者の経験や知見に大きく依存します。
過去の案件と機能の複雑さや技術的な前提条件が異なる場合、実際の費用との間に大きな乖離が生じるリスクがあるため、あくまで初期段階の参考値として捉えるべきです。

②作業工数を積み上げて算出する「ボトムアップ法」


ボトムアップ法は、システム開発に必要なタスクを機能単位や工程単位で可能な限り細かく分解し、それぞれの作業にかかる工数を見積もり、それらを積み上げて全体の費用を算出する手法です。
WBSという手法でタスクを洗い出すことが一般的です。
各作業の根拠が明確であるため、見積もりの透明性が高く、精度も高くなる傾向にあります。
要件定義が完了し、必要な作業を詳細に特定できる段階で用いられることが多く、詳細見積もりの作成に適しています。
ただし、作業の洗い出しに漏れがあると、それがそのまま見積もり全体の誤差につながります。

③機能の複雑さから算出する「ファンクションポイント法」


ファンクションポイント(FP)法は、システムの機能をユーザー視点で分類し、その数とそれぞれの難易度(複雑さ)を基に、システム全体の規模を「ファンクションポイント」という単位で数値化して費用を算出する客観的な見積もり手法です。
この方法の大きな特徴は、使用するプログラミング言語や開発者のスキルに左右されず、システムの規模を定量的に評価できる点にあります。
国際的な標準も存在し、発注者と開発者の間で共通の物差しとして利用できます。
一方で、FPを正確に算出するには専門的な知識と経験が必要であり、非機能要件の評価が難しいという側面も持っています。

④ソースコードの行数から算出する「プログラムステップ法」


プログラムステップ法は、開発するソフトウェアのソースコードの行数(ステップ数)を予測し、その数値に1行あたりの開発単価を掛け合わせて費用を算出する方法です。
LOC(LinesofCode)法とも呼ばれます。
過去のプロジェクトデータから、言語ごとのステップ数や生産性に関する統計を用いて予測するのが一般的です。
計算ロジックが単純で分かりやすいというメリットがありますが、同じ機能でもプログラミング言語や開発者のスキルによってコードの行数が大きく異なるため、見積もり精度が不安定になりやすいという課題があります。
現在では主流の見積もり方法とは言えません。

⑤特定の係数を用いて算出する「パラメトリック法」


パラメトリック法は、過去のプロジェクトで蓄積された実績データから導き出した計算式やモデルを用いて、統計的に工数や費用を見積もる手法です。
代表的なモデルに「COCOMO(ConstructiveCostModel)」があり、開発規模(ソースコード行数など)を基本とし、開発者のスキルや要求される信頼性といった複数のパラメータ(係数)で補正をかけて算出します。
客観的なデータに基づくため、属人性を排除しやすいのがメリットです。
ただし、この手法を有効に活用するには、自社の状況に合った信頼性の高い実績データが大量に必要となり、専用の見積もりツールを要する場合もあります。

⑥標準化されたタスクから算出する「標準タスク法」


標準タスク法は、システム開発における一連の作業を、あらかじめ定義された標準的なタスクに分解し、それぞれのタスクに設定された標準工数を割り当てて、それらを合計して全体の工数と費用を算出する方法です。
ボトムアップ法と似ていますが、個々のタスク工数を都度見積もるのではなく、標準化された数値を用いる点が異なります。
これにより、見積もり担当者の経験や主観によるブレを抑制し、安定した精度の見積もりを効率的に作成できるメリットがあります。
この手法を適用するには、自社の開発プロセスに基づいた標準タスクと標準工数を事前に整備し、継続的に更新していく必要があります。

⑦顧客の予算に合わせて算出する「プライスツーウィン法」


プライスツーウィン法は、技術的な積み上げではなく、発注者の予算上限や希望金額を先に設定し、その予算内で実現可能な機能範囲や品質を開発会社が提案するアプローチです。
特に競争入札やコンペティションにおいて、競合他社に勝つための戦略的な価格設定として用いられることがあります。
発注者にとっては予算超過のリスクがないという大きなメリットがありますが、一方で、予算を優先するあまり、本来必要だった機能が削られたり、品質やテストが不十分になったりする危険性もはらんでいます。
開発会社にとっては、利益を度外視した受注につながるリスクもあります。

見積書を受け取ったら確認すべき8つのチェックポイント



開発会社から見積書が提示された際、合計金額だけを確認して発注先を決めるのは危険です。
後々のトラブルを回避するためには、その内容を細部まで精査し、自社の要求が正しく反映されているかを確認する必要があります。
見積条件や作業範囲、責任の所在など、発注者と開発会社の間で認識のズレが生じやすいポイントがいくつか存在します。

ここでは、見積書を受け取った際に必ず確認すべき8つの注意点とチェックポイントを具体的に解説します。

【ポイント①】依頼したい作業範囲がすべて含まれているか


見積書に記載されている作業範囲(スコープ)が、自社が依頼したい内容をすべて網羅しているかを確認することは、最も基本的なチェックポイントです。
RFP(提案依頼書)や打ち合わせで伝えた要件が、漏れなく見積もりに反映されているかを精査します。
例えば、データ移行作業、ユーザーへのトレーニング、マニュアル作成、インフラ構築といった付随的な作業がスコープに含まれているか、あるいは対象外なのかを明確にする必要があります。
もし、依頼したい作業が含まれていない場合、それは後から追加費用として請求される可能性が高いです。
契約前に作業範囲の認識を完全に一致させることが重要です。

【ポイント②】前提となる条件に認識のズレがないか


見積もりは特定の前提条件の上で成り立っています。
この前提条件に発注者と開発会社の間で認識のズレがあると、後々トラブルの原因となります。
見積書の備考欄などに記載されていることが多い前提条件の項目を必ず確認しましょう。
例えば、必要なサーバー環境は発注者側で用意する、コンテンツの文章や画像素材は発注者から提供される、といった条件が記載されている場合があります。
また、対応するOSやブラウザのバージョン、開発体制、役割分担など、細かい点まで目を通し、自社の認識と相違がないかを確認することが不可欠です。

【ポイント③】各項目の金額は妥当な水準か


見積書の内訳を確認し、各項目の金額が作業内容に対して妥当な水準であるかを検討します。
特に金額の大きい項目や、内容が不明瞭な項目については、その算出根拠を開発会社に説明を求めましょう。
なぜその工数や単価になるのか、具体的な理由を確認することで、見積もりの透明性が高まります。
特定の機能の開発費だけが突出して高い場合、技術的な難易度や特殊なライブラリの利用など、納得できる理由があるかを確認します。
相見積もりを取得している場合は他社の金額と比較したり、業界の相場観と照らし合わせたりすることも、金額の妥当性を判断する上で有効です。

【ポイント④】追加費用が発生する条件は明記されているか


システム開発プロジェクトでは、途中で仕様の変更や機能の追加が発生することは珍しくありません。
そうした場合に、どのような条件下で追加費用が発生するのかが、見積書や契約書に明確に記載されているかを確認します。
例えば、「要件定義完了後の仕様変更は別途見積もりとする」「月2回までの定例会議は費用に含むが、3回目以降は追加料金が発生する」といった具体的な条件が示されているかチェックしましょう。
追加費用の算出方法や、変更要求の手続きについても事前に合意しておくことで、プロジェクト終盤での予算超過といった金銭的なトラブルを防げます。

【ポイント⑤】プロジェクトにおける責任の所在が明確か


プロジェクトを円滑に進めるためには、発注側と開発会社、それぞれの役割分担と責任範囲を明確に定義しておくことが不可欠です。
見積書や提案書において、各作業の責任の所在が曖昧になっていないかを確認します。
例えば、開発したシステムの受け入れテストはどちらが主体となって実施するのか、リリース後のサーバー障害発生時の一次対応は誰が行うのか、といった点を具体的にしておきます。
特に、複数のベンダーが関わるプロジェクトや、外部のクラウドサービスと連携するシステムの場合、問題発生時の切り分けと対応責任者を事前に明確にしておくことが重要です。

【ポイント⑥】導入後に発生するランニングコストは記載されているか


システムは開発して終わりではなく、導入後も継続的に費用が発生します。
初期の開発費用(イニシャルコスト)だけでなく、運用・保守にかかるランニングコストについても見積書に記載があるかを確認しましょう。
具体的には、サーバーやクラウドサービスの利用料、ドメインの維持費用、ソフトウェアのライセンス更新料、そしてシステムの保守サポート費用などが該当します。
これらのランニングコストを見落としていると、導入後に想定外の出費で予算を圧迫することになりかねません。
月額や年額でどの程度の費用が必要になるのかを事前に把握し、トータルコストで評価することが大切です。

【ポイント⑦】検収や支払いのスケジュールは適切か


費用の支払い条件やスケジュールも、契約前に必ず確認すべき重要な項目です。
一般的には、「契約時」「中間」「納品時」といった形で分割払いとなるケースが多いですが、そのタイミングと金額が自社の支払いサイクルと合っているかを確認します。
また、「納品」や「検収完了」の定義も重要です。
どのような状態になれば納品物として認められ、検収が完了するのか、その基準と期間を双方で明確に合意しておく必要があります。
検収基準が曖昧だと、支払いのタイミングを巡ってトラブルに発展する可能性があるため、成果物の定義を具体的に定めておきましょう。

【ポイント⑧】極端に安すぎる見積もり金額ではないか


複数の会社から見積もりを取った際に、一社だけ極端に安い金額を提示してくる場合があります。
コストを抑えられるのは魅力的ですが、安易に飛びつくのは危険です。
安さの背景には、必要なテスト工程が省略されていたり、経験の浅いエンジニアが担当することで品質が低下したり、あるいは作業範囲が極端に狭く、後から次々と追加費用を請求されたりするリスクが潜んでいる可能性があります。
なぜその価格で実現できるのか、品質保証の体制は十分かなど、安い理由を納得できるまで確認することが重要です。
価格だけでなく、品質やサポート体制を総合的に評価して判断しましょう。

見積もり金額の妥当性を判断するための3つの方法



開発会社から提示された見積書。その金額が適正なのか、初めてシステム開発を発注する担当者にとっては判断が難しいものです。
しかし、いくつかの客観的な方法を用いることで、見積もり金額の妥当性を検証することは可能です。
専門的な知識がなくても、これから紹介する3つの方法を実践することで、金額に対する納得感を高め、より良い発注先の選定につなげられます。

ここでは、見積もりの妥当性を判断するための具体的なアプローチを解説します。

①複数の開発会社から相見積もりを取得する


見積もりの妥当性を判断する上で最も基本的かつ効果的な方法が、複数の開発会社から相見積もりを取得することです。
一般的に3社以上から見積もりを取ることで、そのプロジェクトのおおよその費用相場が見えてきます。
比較する際には、単に総額だけを見るのではなく、各社の提案内容、作業範囲、前提条件、算出根拠などを詳細に比較検討します。
これにより、特定の項目だけが突出して高額であったり、逆に必要な作業が漏れていたりすることに気づけます。
各社の強みや考え方の違いも明らかになり、自社のプロジェクトに最適なパートナーを見極めるための重要な判断材料となります。

②業界や開発規模ごとの費用相場を把握する


自社が開発を依頼したいシステムの種類や規模について、業界の一般的な費用相場を事前にリサーチしておくことも有効です。
Webサイト制作、ECサイト構築、業務アプリケーション開発など、開発する対象によって費用感は大きく異なります。
また、実装する機能の数や複雑さといった開発規模によっても相場は変動します。
開発会社の実績紹介ページや、システム開発に関する情報サイトなどを参考に、大まかな価格帯を把握しておきましょう。
この相場観を持つことで、提示された見積もり金額が著しく乖離していないかを判断する一つの基準となり、価格交渉の際の根拠としても活用できます。

③過去の類似した開発事例と比較検討する


もし自社や関連会社で過去に類似のシステムを開発した経験があれば、その時の見積書や実績費用は非常に有力な比較材料となります。
過去の事例と比較することで、今回のプロジェクトにおける費用の妥当性をある程度推し量ることが可能です。
ただし、開発時期が異なれば、人件費の単価や技術のトレンドも変化しているため、その点を考慮して比較する必要があります。
また、見積もりを依頼している開発会社に、過去の類似案件の実績やその際の費用感について尋ねてみるのも一つの手です。
あくまで参考情報ですが、金額の妥当性を判断する一助となります。

まとめ



システム開発における見積りは、単なる価格提示ではなく、プロジェクトの成功に向けた発注者と開発会社の重要な合意形成プロセスです。
見積書に記載される内訳や項目、そしてその算出方法を理解することは、提示された金額の妥当性を判断し、適切な開発パートナーを選ぶ上で不可欠です。

見積書を受け取った際には、金額だけでなく、作業範囲や前提条件、追加費用が発生するケースなどを入念に確認し、疑問点は必ず解消しておきましょう。
相見積りを活用したり、業界相場を把握したりといった客観的な視点を持つことで、納得感のあるプロジェクト推進が可能になります。

インプルでは、要件整理から見積もりの精査、開発会社選定のアドバイスまで、発注担当者の不安に寄り添ったサポートを行っています。
「提示された見積もりが適正か判断できない」「見積もり段階から相談したい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

システム開発の見積もり相談は こちら。

25.10.02

webシステム開発とは?流れや使う言語、仕組みをわかりやすく解説

Webシステム開発とは、Webブラウザを通じて利用できるサービスや業務システムを構築することです。

この記事では、Webシステムの開発の仕組みや具体的な開発の流れ、使用されるプログラミング言語、開発方法の選択肢について、初心者にも分かりやすく解説します。
自社での導入や外注を検討している担当者の方にも役立つ、開発会社を選ぶ際のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次


そもそもWebシステム開発とは?初心者にもわかりやすく解説
Webシステムが動く基本的な仕組みを理解しよう
Webシステムで実現できることの具体例
WebサイトやWebアプリケーションとの違いは?
Webシステム開発の一般的な流れを7つのステップで紹介
Webシステム開発で使われる主要なプログラミング言語
【フロントエンド】ユーザーが直接触れる画面側の言語
【サーバーサイド】システムの裏側を支える言語
Webシステムを開発するための3つの方法
失敗しないWebシステム開発会社の選び方
まとめ

そもそもWebシステム開発とは?初心者にもわかりやすく解説



Webシステム開発とは、インターネットを介して利用する仕組み、つまりWebシステムを構築する作業全般を指します。
ECサイトでの商品購入やSNSでの情報発信、オンラインでの座席予約など、私たちが日常的に利用する多くのサービスがWebシステムによって成り立っています。
システム開発とは、特定の目的を達成するためにプログラムを組み合わせて、実用的な仕組みを作り上げる一連の工程のことです。
その中でもWeb技術に特化したものがWebシステム開発と言えます。

Webシステムが動く基本的な仕組みを理解しよう


Webシステムの多くは、利用者が操作する「クライアント」、処理を実行する「サーバー」、データを保存する「データベース」の3要素で構成されています。
利用者がブラウザから何かを要求すると、そのリクエストがネットワークを通じてサーバーに送信されます。
サーバーはリクエストに応じて必要な処理を行い、データベースから情報を取得したり、情報を書き込んだりします。

そして、処理結果をクライアントに返し、ブラウザ上に表示させるという流れが基本です。
このような役割分担は「3層構造」と呼ばれ、プレゼンテーション層(クライアント)、アプリケーション層(サーバー)、データ層(データベース)に分けることで、効率的で柔軟なシステム開発を可能にしています。

Webシステムで実現できることの具体例


Webシステムは、私たちの生活やビジネスの様々な場面で活用されています。

例えば、オンラインで商品を売買できる「ECサイト」、不特定多数のユーザーと交流できる「SNS」、店舗や施設の予約ができる「予約システム」などが代表的です。
ビジネス用途では、顧客情報を一元管理する「CRM(顧客管理システム)」や、従業員の勤怠を記録する「勤怠管理システム」、社内の情報共有を円滑にする「グループウェア」などがあります。
これらはすべて、Webブラウザさえあれば場所やデバイスを問わずに利用できるという共通点を持っており、業務の効率化や新たなサービスの創出に貢献しています。

WebサイトやWebアプリケーションとの違いは?


Webシステムと似た言葉にWebサイトやWebアプリケーションがあります。
一般的に、Webサイトは企業情報やニュース記事のように、主に情報の閲覧を目的とした静的なコンテンツで構成されるものを指します。

一方、WebシステムやWebアプリケーションは、ユーザーの操作に応じて動的に表示内容が変化し、データベースとの連携や複雑な処理を行う機能を持っています。
例えば、ログイン機能、検索機能、決済機能などがそれに該当します。

WebアプリケーションはWebシステムの一種と捉えられることが多く、両者の間に明確な境界線はありませんが、プログラムによる動的な機能を持つかどうかが、静的なwebサイトとの大きな違いです。

Webシステム開発の一般的な流れを7つのステップで紹介



Webシステム開発は、企画からリリース、その後の運用まで、いくつかの段階的な手順を踏んで進められます。
一般的には「要件定義」でシステムの全体像を決定し、「設計」「開発」「テスト」という工程を経て、最後に「リリース」と「運用・保守」が行われます。

各ステップを順序立てて丁寧に進めることで、品質の高いシステムを効率的に構築することが可能になります。
この一連の流れはウォーターフォールモデルと呼ばれる代表的な開発手法に基づいています。

STEP1:要件定義|どんなシステムを作りたいか決める


要件定義は、開発プロジェクトの最初のステップであり、最も重要な工程の一つです。
ここでは、システムを開発する目的を明確にし、クライアントが抱える課題や要望をヒアリングします。
その上で、システムに搭載すべき機能、性能、セキュリティレベル、予算、開発スケジュールなどを具体的に定義し、関係者間で合意形成を図ります。

この段階で決定した内容は「要件定義書」というドキュメントにまとめられ、以降の設計や開発工程における全ての判断基準となります。
要件定義が曖昧だと、後工程で手戻りが発生し、プロジェクトの遅延やコスト増加の原因となります。

STEP2:外部設計|ユーザーから見える部分を設計する


外部設計は、要件定義で定められた内容を基に、ユーザーの視点から見たシステムの仕様を決定する工程です。
ユーザーが直接操作する画面のレイアウトやデザイン、ボタンの配置、画面間の遷移、データの入力・出力形式などを具体的に設計します。

このフェーズは、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の設計とも呼ばれ、システムの使いやすさを大きく左右します。
作成される成果物には、画面設計書や帳票設計書などがあり、これらをもとにクライアントと認識をすり合わせ、システムの全体像を固めていきます。

STEP3:内部設計|システム内部の動きを設計する


内部設計は、外部設計で定めた機能をどのように実現するか、システム内部の構造や動作を詳細に決める工程です。
プログラマーや開発者向けの設計であり、ユーザーからは直接見えない部分が対象となります。

具体的には、データの処理方法、データベースの構造、サーバーの構成、各機能間の連携方法などを定義します。
この工程で作成される詳細な設計書は、後続の開発・実装フェーズにおけるプログラミングの指針となるため、正確性と網羅性が求められます。
システムの性能や拡張性、保守性は、この内部設計の品質に大きく依存します。

STEP4:開発・実装|設計書をもとにプログラミングを行う


開発・実装は、内部設計書に基づいて、プログラマーが実際にプログラミング言語を用いてソースコードを記述していく工程です。
このステップで、これまで設計図として描かれてきたシステムが、実際に動作する形として作り上げられます。
作り方としては、システム全体を機能ごとにモジュールとして分割し、それぞれを分担して開発を進めるのが一般的です。

フロントエンドとサーバーサイドで担当を分けて作業を進めることもあります。
設計書の内容を正確にコードに落とし込み、各機能が意図した通りに動作するよう実装することが目標です。

STEP5:テスト|システムが正常に動くか確認する


テストは、開発・実装されたシステムが設計書通りに正しく動作するか、不具合がないかを確認するための重要な工程です。
テストにはいくつかの段階があり、個々のプログラムが単体で正常に機能するかを検証する「単体テスト」、それらを組み合わせた際に連携がうまくいくかを見る「結合テスト」、システム全体が要件を満たしているかを確認する「総合テスト」などがあります。

近年では、テストの品質と効率を向上させるために、自動化ツールを導入するケースも増えています。
ここで十分に不具合を検出しておくことが、リリース後の安定稼働につながります。

STEP6:リリース|開発したシステムを公開する


リリースとは、テスト工程をクリアしたWebシステムを、ユーザーが利用できる本番環境へ展開し、公開する作業を指します。
具体的には、完成したプログラムやファイルをサーバーに配置(デプロイ)し、ドメインやネットワークの設定を行います。

また、旧システムからの移行が必要な場合は、データの移行作業もこのタイミングで実施されます。
リリース作業は慎重に行う必要があり、万が一の事態に備えて、問題が発生した際にすぐに元の状態に戻せるような切り戻し計画を準備しておくことが一般的です。
無事に公開された後、ユーザーはWebブラウザを通じてシステムを利用できるようになります。

STEP7:運用・保守|システムを安定して動かし続ける


システムのリリースはゴールではなく、安定して稼働させ続けるためのスタートです。
運用・保守フェーズでは、システムが正常に動作しているかを常に監視し、サーバーの管理やデータのバックアップを行います。
万が一、障害が発生した際には、迅速に原因を特定し復旧作業にあたります。

また、OSやソフトウェアのアップデートへの対応、セキュリティ対策の実施、ユーザーからの問い合わせ対応、利用状況に応じた機能の改善や追加なども保守の重要な業務です。
これらの継続的な活動によって、ユーザーはいつでも安心してシステムを利用することができます。

Webシステム開発で使われる主要なプログラミング言語



Webシステム開発には、目的や機能に応じて様々なプログラミング言語が用いられます。
開発は大きく分けて、ユーザーが直接目にする画面部分を担当する「フロントエンド」と、データの処理や保存といった裏側の仕組みを担う「サーバーサイド」に分かれており、それぞれで異なる言語やスキルが求められます。
システムに求められる要件や開発環境によって最適な言語を選択することが、効率的で質の高い開発の鍵となります。

【フロントエンド】ユーザーが直接触れる画面側の言語


フロントエンド開発では、主にHTML、CSS、JavaScriptの3つの言語が基本となります。
HTMLはWebページの骨格となるテキストや画像などの要素を定義し、CSSはそれらの配置や色、フォントといったデザインを指定します。
JavaScriptは、ユーザーのアクションに応じて表示を動的に変更したり、アニメーションをつけたり、サーバーと非同期通信を行ったりするなど、ページに「動き」を与える役割を担います。
近年では、ReactやVue.jsといったJavaScriptのフレームワークやライブラリを活用することで、より複雑で高機能なユーザーインターフェースを効率的に開発するのが主流です。

【サーバーサイド】システムの裏側を支える言語


サーバーサイド開発では、多種多様なプログラミング言語が使われています。
例えば、PHPはWeb開発で古くから広く利用されており、多くのレンタルサーバーで標準的にサポートされています。
Rubyは、Ruby on Railsというフレームワークと共に使われることが多く、迅速な開発を得意とします。
Pythonは、Web開発だけでなくAIやデータ分析の分野でも人気が高く、豊富なライブラリが魅力です。
その他、大規模なシステム開発で採用されることが多いJavaや、比較的新しく高速な処理が可能なGoなど、システムの要件や開発チームのスキルセットに応じて最適な言語が選択されます。

Webシステムを開発するための3つの方法



Webシステムを導入・開発しようとする際、その実現方法にはいくつかの選択肢があります。
自社のエンジニアで開発する「内製」、完成されたサービスを利用する「SaaSの活用」、専門企業に委託する「外注」が主な方法です。

それぞれにメリット・デメリットがあり、開発したいシステムの規模や複雑さ、予算、納期、そして自社が持つ技術的な知識やリソースの状況によって、最適な方法は異なります。
各方法の特徴を理解し、自社の状況に合った選択をすることが重要です。

①自社のリソースで内製する


社内にエンジニアや開発チームが存在する場合、自社でシステムを開発(内製)する方法があります。
この方法の最大のメリットは、仕様変更や機能追加に対して迅速かつ柔軟に対応できる点です。
開発プロセスを完全にコントロールできるため、自社の業務フローに最適化されたシステムを構築できます。

また、開発を通じて社内に技術的なノウハウが蓄積されるため、将来的な資産となります。
一方で、専門的なスキルを持つ人材の確保や育成にコストと時間がかかるほか、開発チームのリソースが限られている場合は大規模な開発が難しいという側面も持ち合わせます。

②SaaSなどの既存サービスを活用する


SaaS(Software as a Service)とは、ベンダーが提供するソフトウェアをインターネット経由で利用するサービス形態のことです。
自社でシステムを開発するのではなく、月額料金などを支払って既存のサービスを利用します。

この方法のメリットは、開発にかかる時間やコストを大幅に削減でき、スピーディーに導入できる点にあります。
インフラの管理やメンテナンスもベンダー側で行われるため、運用負荷も軽減されます。
ただし、提供されている機能の範囲内でしか利用できず、自社の特殊な業務要件に合わせた細かいカスタマイズが難しいという制約があります。

③専門の開発会社に外注する


社内に開発リソースがない場合や、より専門的な技術が必要な場合には、Webシステム開発を専門とする外部の会社に委託する方法が一般的です。
開発会社が持つ高い技術力や豊富な経験、専門知識を活用できるため、高品質なシステムの構築が期待できます。
自社の社員は本来のコア業務に集中できるというメリットもあります。

ただし、内製に比べて開発費用が高額になる傾向があり、要件や仕様を正確に伝えるためのコミュニケーションコストも発生します。
信頼できるパートナー企業を選定することが、プロジェクト成功の鍵となります。

失敗しないWebシステム開発会社の選び方



Webシステム開発を外注する場合、パートナーとなる開発会社の選定はプロジェクトの成否を大きく左右します。
数多くの開発会社の中から、自社の要望に合致し、信頼してプロジェクトを任せられる一社を見極めることは容易ではありません。
会社の技術力や実績はもちろんのこと、コミュニケーションの取りやすさや見積もりの妥当性など、複数の視点から総合的に評価し、慎重に選定する必要があります。

①開発実績が豊富で自社の要望と合っているか


開発会社を選ぶ際、まず確認すべきはその会社の実績です。
公式ウェブサイトの制作事例やポートフォリオをチェックし、どのような業種や規模のシステム開発を手掛けてきたかを確認します。

特に、自社が開発したいシステムと類似する分野での実績が豊富であれば、業界特有の知識や業務フローへの理解が期待でき、スムーズな開発が見込めます。
実績の数だけでなく、そのクオリティや、どのような技術を用いて開発されたかといった点にも注目し、自社のプロジェクトを任せられる技術力があるかを判断することが重要です。

②コミュニケーションが円滑に進むか


システム開発は、発注側と開発側が密に連携を取りながら進める共同作業です。
そのため、担当者とのコミュニケーションが円滑に進むかどうかは非常に重要なポイントとなります。
問い合わせへのレスポンスの速さや、こちらの意図を正確に汲み取ってくれるか、専門的な内容を分かりやすく説明してくれるかなどを、打ち合わせの段階で見極めましょう。
定期的な進捗報告の体制や、質問しやすい雰囲気があるかどうかも確認が必要です。
長期的なパートナーシップを築ける、信頼感のある対応をしてくれる会社を選ぶことが、プロジェクトを成功に導きます。

③見積もりの内容が明確で適切か


開発会社から提示される見積書は、その会社の信頼性を判断する材料の一つです。

単に総額だけが記載されているのではなく、「要件定義」「設計」「開発」「テスト」といった各工程ごとに、どのような作業にどれくらいの工数(人日・人月)がかかるのか、その単価はいくらか、といった内訳が詳細に明記されているかを確認しましょう。

不明瞭な項目がないか、他社と比較して極端に高額または安価でないかもチェックが必要です。
複数の会社から相見積もりを取り、金額だけでなく作業範囲や内容を比較検討することで、その見積もりが妥当であるかを判断しやすくなります。

まとめ



Webシステムは、インターネットを介して機能する仕組みであり、ECサイトや業務システムなど多岐にわたります。
Webシステムの開発は、一般的に要件定義から設計、開発、テスト、リリース、運用・保守という流れで進められます。
開発にはフロントエンドとサーバーサイドで異なるプログラミング言語が用いられ、実現方法には内製、SaaS活用、外注といった選択肢が存在します。
外注を選ぶ際には、開発実績、コミュニケーションの円滑さ、見積もりの明確さを基準に、信頼できるパートナーを見極めることがプロジェクト成功の鍵となります。

インプルでは、要件整理から開発会社選定、プロジェクトマネジメントまで一貫した支援を行っています。
「自社に合った開発方法がわからない」「外注先を探している」「まずは相談したい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
Webシステム開発の無料相談はこちら。

25.10.02

システム開発会社のおすすめ比較!大手からベンチャーまで徹底解説

システム開発を外部に依頼する際、多数の会社の中から自社のプロジェクトに最適な一社を見つけ出すことは容易ではありません。
本記事では、おすすめのシステム開発会社を比較検討するための具体的なポイントを解説します。

大手からベンチャーまで、それぞれの特徴や選び方のコツを紹介する会社一覧も掲載しており、発注先の選定に役立つ情報を提供します。
適切なパートナー選びが、ビジネスの成功に直結するため、慎重な比較が不可欠です。

目次


失敗しないシステム開発会社選びがビジネスの成否を分ける理由
自社に最適なシステム開発会社を選ぶ5つの比較ポイント
【会社の規模別】おすすめのシステム開発会社の特徴
システム開発にかかる費用の目安とコストを抑えるコツ
システム開発会社への依頼で後悔しないための注意点
まとめ

失敗しないシステム開発会社選びがビジネスの成否を分ける理由



システム開発会社の選定は、単にITツールを導入する以上の意味を持ちます。
選んだパートナーの技術力やプロジェクト管理能力が、開発されるシステムの品質や納期を直接左右するためです。

もし自社の課題や要望を正確に理解しない会社に依頼した場合、完成したシステムが使いにくかったり、必要な機能が不足していたりする事態に陥りかねません。
このようなミスマッチは、業務効率の低下や顧客満足度の悪化を招くだけでなく、追加改修による予算超過やプロジェクトの遅延といった経営上のリスクに直結します。
信頼できるパートナーと組むことで、競争優位性を確立し、持続的な事業成長の基盤を築くことが可能になります。

自社に最適なシステム開発会社を選ぶ5つの比較ポイント



システム開発会社とは、企業の課題をIT技術で解決する専門家集団です。
しかし、会社によって得意な技術や業界は千差万別であるため、自社の目的や要望に合致したパートナーを見つけることがプロジェクト成功の鍵となります。

ここで紹介する5つの比較ポイントを押さえ、多角的な視点から各社を評価し、最適な一社を選び出すための選び方を実践してください。
このプロセスを通じて、技術力だけでなく、長期的な関係を築ける信頼できる会社を見極めることができます。

ポイント①:開発したいシステムと会社の得意分野が合っているか


システム開発会社は、それぞれ得意とする技術領域や業界が存在します。
例えば、金融機関向けの高度なセキュリティが求められるシステム開発に強みを持つ会社や、メーカーの生産管理を効率化するソリューション提供を得意とする企業など様々です。

また、最新の技術を用いたWebシステム開発を専門とする会社もあります。
自社が実現したいことを明確にし、それに合致した専門性を持つ会社を選ぶことが重要です。
依頼したいシステムが、その会社の得意分野と一致しているかを確認することで、より質の高いITソリューションの提供が期待でき、プロジェクトの成功確率が高まります。

ポイント②:希望する分野での開発実績は豊富か


開発会社の技術力や信頼性を判断する上で、過去の実績は重要な指標となります。

会社のホームページに掲載されている開発事例や導入実績を確認し、自社が開発したいシステムと類似するプロジェクトの経験があるかを見極めましょう。
特に、同業他社での導入事例があれば、業界特有の課題や商習慣への理解が期待できます。

また、顧客からのレビューや評価も参考になります。 会社概要だけでは分からない、具体的なプロジェクト内容や規模、そこで果たした役割などを詳しく調べることで、その会社の本当の実力を把握できます。
豊富な実績は、安定したプロジェクト進行と高品質な成果物につながる可能性を示唆します。

ポイント③:提示された見積もり費用は予算の範囲内か


システム開発の費用は、プロジェクトの規模や複雑さによって大きく変動します。
小規模なもので数百万円、大規模な基幹システムの刷新などでは1億、3億、場合によっては10億を超えるケースも少なくありません。

まず、複数の会社から相見積もりを取得し、提示された金額が自社の予算と合致するかを確認します。 その際、単に総額の安さだけで判断するのは危険です。
見積もりの内訳を詳細に確認し、各工程の工数や単価が妥当であるかを精査する必要があります。

費用と品質のバランスを見極め、納得感のある価格を提示している会社を選びましょう。 なお、稀なケースですがM&Aにより開発チームごと獲得する選択肢も存在します。

ポイント④:リリース後の保守・運用サポート体制は万全か


システムはリリースしたら終わりではなく、その後の安定稼働が極めて重要です。
開発を依頼する際には、公開後の保守・運用に関するサポート体制がどのようになっているかを必ず確認しましょう。

具体的には、サーバーの監視、定期的なメンテナンス、障害発生時の対応フロー、機能追加や改修の相談窓口などが挙げられます。
質の高い保守サポートが提供されることで、セキュリティリスクの低減やシステムの陳腐化を防ぐことができます。
契約前に、サポートの範囲や対応時間、費用体系を明確にしておくことで、リリース後も安心してシステムを運用し続けることが可能になります。

ポイント⑤:担当者と円滑なコミュニケーションが取れるか


システム開発は、発注者と開発会社のチームが一体となって進める共同作業です。
そのため、担当者とのコミュニケーションの質がプロジェクトの成否を大きく左右します。
打ち合わせの際に、こちらの要望を正確に理解し、専門的な内容を分かりやすく説明してくれるか、また、質問に対するレスポンスは迅速かつ丁寧か、といった点を確認しましょう。

開発チームのメンバーと良好な関係を築けるかは、プロジェクトを円滑に進める上で不可欠な要素です。
共に課題解決に取り組むパートナーとして、信頼できる担当者がいる会社を選ぶことが重要であり、長期的なワークスを成功させる基盤となります。

【会社の規模別】おすすめのシステム開発会社の特徴



システム開発会社は、企業の規模によってその特徴や強みが大きく異なります。

例えば、大規模で複雑なプロジェクトを得意とする大手企業から、最新技術に迅速に対応できるフットワークの軽いベンチャー企業まで様々です。
自社のプロジェクトの性質や予算、求めるサポート体制などを考慮し、どの規模の会社が最適かを見極めることが重要になります。

ここでは、会社の規模を「大手」と「ベンチャー」に分け、それぞれのメリットや得意な領域について解説します。

信頼性と総合力で選ぶ大手システム開発会社


大手システム開発会社は、豊富な資金力と人材を背景に、大規模かつ複雑なプロジェクトに対応できる総合力が最大の強みです。
特に、金融や公共分野など、高い信頼性やセキュリティレベルが求められるシステムの構築において豊富な実績を持ちます。

株式会社富士通のように、グループ全体で多様なソリューションを提供できる企業も多く、コンサルティングから開発、運用・保守まで一貫して任せることが可能です。
多くの大手企業を顧客に持ち、確立された開発プロセスと品質管理体制が整っているため、安定したプロジェクト進行が期待できます。

また、特定分野に特化した優秀な子会社を擁していることもあり、専門性の高いニーズにも応えることができます。

柔軟な対応力とスピード感が魅力のベンチャー開発会社


ベンチャーや中小規模の開発会社は、小回りの利く組織体制を活かした柔軟な対応力と、開発スピードの速さが大きな魅力です。
最新のテックトレンドに対する感度が高く、新しい技術を積極的に取り入れた開発を得意とします。
意思決定のプロセスが短いため、仕様変更や追加要望にも迅速に対応しやすい傾向があります。

また、特定の技術領域や業界に特化した専門性の高い企業も多く、まるで社内に研究開発部門(ラボ)を設けたかのような深い知見を提供してくれることもあります。
スタートアップ企業や、新規事業をスピーディーに立ち上げたいと考えている企業にとって、強力なパートナーとなり得るでしょう。

システム開発にかかる費用の目安とコストを抑えるコツ



システム開発を発注する上で、費用は最も重要な検討事項の一つです。
開発費用は、システムの規模や機能の複雑さ、開発手法など様々な要因によって大きく変動します。
あらかじめ費用の目安を把握し、コストを適切に管理するための知識を身につけることが、予算内でプロジェクトを成功させる鍵となります。

また、地方の拠点を活用するニアショア開発のような手法を取り入れることで、品質を維持しつつコストを抑える工夫も可能です。

開発したいシステムの種類ごとの費用相場


システム開発の費用相場は、構築するシステムの種類や規模によって大きく異なります。
例えば、小規模なWebサイトやLP制作であれば数十万円から、顧客管理システム(CRM)やECサイトの構築になると数百万から1,000万円以上が目安となります。
さらに、企業の基幹業務を担う大規模なシステム開発では、数千万円から億単位の費用がかかることも珍しくありません。

また、開発を依頼する会社の所在地によっても人件費単価が変動します。
一般的に東京や大阪などの大都市圏は高く、福岡、千葉、名古屋、広島といった地方都市や愛知県などでは比較的コストを抑えられる傾向があります。
あくまで目安として捉え、複数の会社から見積もりを取ることが重要です。

発注費用をできるだけ安く抑えるための3つの方法


システム開発の費用をさえるためには、いくつかの工夫が考えられます。

まず一つ目は、開発の要件を可能な限り具体化し、優先順位を明確にすることです。
曖昧な要求は手戻りを生み、余計な工数を発生させます。

二つ目は、最初から全ての機能を盛り込むのではなく、必要最小限の機能でスタートし、段階的に拡張していくスモールスタートの手法を取り入れることです。

三つ目は、ゼロから開発するのではなく、既存のパッケージソフトウェアやクラウドサービスをカスタマイズして活用する方法です。
開発費用はエンジニア1人あたりの単価と開発期間を掛け合わせた人月で計算されるため、開発工数を削減するこれらの工夫が直接的なコスト削減につながります。

システム開発会社への依頼で後悔しないための注意点



システム開発会社への依頼を成功させるためには、契約前の準備と認識合わせが非常に重要です。
開発プロセスや費用、スケジュールに関する理解が不足していると、後からトラブルに発展し、プロジェクトが失敗に終わるリスクが高まります。

ここでは、発注後に後悔しないために、事前に押さえておくべき3つの注意点を具体的に解説します。
これらのポイントを意識することで、開発会社との良好な関係を築き、プロジェクトを円滑に進めることが可能になります。

要件変更による追加費用が発生する可能性を理解しておく


システム開発プロジェクトにおいて、途中で仕様や要件の変更が発生することは少なくありません。
しかし、安易な変更は開発スケジュールの遅延や追加費用の発生に直結します。
契約時に合意した要件定義書が、開発のスコープ(範囲)の基準となるため、それを超える変更や追加は別途見積もりとなるのが一般的です。

特に、5G関連技術の活用など新しい要素を取り入れる場合、開発を進める中で仕様が固まることもあります。
そのため、契約前に仕様変更が発生した場合の対応フローや料金体系について、開発会社と明確に取り決めをしておくことが、後のトラブルを避けるために不可欠です。

無理のない開発スケジュールを設定する


短すぎる納期設定は、品質の低下を招く大きな要因となります。
開発会社にプレッシャーをかけることで、必要なテスト工程が省略されたり、十分なデバッグが行われないままリリースされたりするリスクが高まります。
結果として、システム障害が頻発し、手直しのためにかえって時間とコストがかかることになりかねません。

発注側と開発側が協議の上、各工程に適切な期間を設け、予期せぬトラブルに対応するためのバッファを持たせた、現実的なスケジュールを組むことが重要です。
組織戦略を考える上で用いられる7Sのようなフレームワークを参考に、自社の体制も考慮に入れた計画を立てる視点が求められます。

実現したいことや解決したい課題を具体的に伝える


システム開発会社に依頼する際、単に「こんな機能を持ったシステムを開発してほしい」と伝えるだけでは不十分です。
最も重要なのは、「そのシステムを使って何を成し遂げたいのか」「現状のどの業務課題を解決したいのか」という背景や目的を具体的かつ明確に共有することです。

例えば、「手作業で行っている顧客管理を自動化し、営業担当者の負担を20%削減したい」といったように、具体的な目標を提示することで、開発会社はより的確な機能や技術を提案できます。
目的が共有されていれば、よりビジネスの成功に貢献するシステムが完成する可能性が高まります。

まとめ



本記事では、システム開発会社の選び方から費用相場、発注時の注意点までを網羅的に解説しました。
システム開発会社とは、単にプログラムを組む集団ではなく、企業のビジネス課題をITの力で解決に導く重要なパートナーです。
最適な会社を選ぶためには、得意分野や開発実績、費用、サポート体制、そして担当者との相性といった複数の要素を総合的に比較検討することが求められます。
自社のプロジェクトの目的を明確にし、本記事で紹介したポイントを参考に、信頼できるパートナーを選定してください。
慎重な会社選びが、システム開発プロジェクトを成功へと導く第一歩となります。

インプルでは、業界特化型の開発支援から、初めてのシステム導入に関するご相談まで、企業の課題に寄り添ったご提案を行っています。
「どの会社に依頼すべきか迷っている」「自社に合った開発体制を知りたい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
システム開発の無料相談は こちら。

25.10.02

システム開発の工程と流れをモデル別に図解。頻出略語も解説

システム開発の工程は、プロジェクトを成功に導くための設計図です。 この一連の流れを正しく理解することで、作業の全体像を把握し、円滑な進行が可能になります。

この記事では、システム開発における基本的なフローを、初心者にもわかりやすく図を交えながら解説します。
代表的な開発モデルごとの特徴や、現場で頻出する略語についても説明しており、システム開発の基礎知識を網羅的に学べる内容です。

目次


システム開発の全体像|基本となる10の工程
【モデル別】システム開発の代表的な3つの手法
システム開発の工程を正しく踏む3つのメリット
システム開発の各工程で使われる頻出略語一覧
まとめ

システム開発の全体像|基本となる10の工程



システム開発は、目的や要望を形にするための複数の作業工程(フェーズ)に分かれています。
この一連のステップは開発工程と呼ばれ、ソフトウェア開発の基本的な流れを形成します。
各工程で何を行うのか、そのポイントとなる知識を事前に得ることで、プロジェクトの全体像を把握しやすくなります。

ここでは、システムの開発工程の基本となる10のフェーズについて、それぞれの役割と目的を具体的に説明していきます。

【工程1】プロジェクト計画:開発の目的と体制を決定する


プロジェクト計画は、システム開発の方向性を定める最も初期段階の工程です。

まず、システム化によって解決したい課題や達成したい目的を明確にする企画から始めます。
その目的を達成するために、どのような機能が必要か、開発の範囲はどこまでかを定義し、プロジェクト全体のスコープを決定します。
続いて、必要なタスクを洗い出し、それぞれの担当者や役割分担を決め、チーム体制を構築します。
さらに、全体のスケジュールを作成し、各工程の期限や予算を設定することで、プロジェクトを計画通りに進めるための土台を築きます。

【工程2】要件定義:システムに実装する機能や性能を洗い出す


要件定義は、ユーザーがシステムに求める要望をヒアリングし、それを基にシステムが実現すべき機能や性能を具体的に定義する重要な工程です。
クライアントの業務内容や課題を深く理解し、「何を」「どこまで」システム化するのかを明確にします。
この段階で定義される内容には、システムの機能に関する「機能要件」と、性能やセキュリティ、運用方法など品質に関する「非機能要件」があります。
ここで作成される要件定義書は、以降の設計や開発の根幹となるため、関係者間で認識の齟齬がないよう、綿密なすり合わせが求められます。

【工程3】基本設計(外部設計):ユーザー視点でシステムの仕様を決める


基本設計は、要件定義で定められた内容を基に、システムの基本的な仕様を決定する工程です。
この設計はユーザーの視点から行われ、外部設計とも呼ばれます。
具体的には、画面のレイアウトや表示項目、操作方法といったユーザーインターフェース(UI)や、システムが外部の他システムとどのようにデータをやり取りするかのインターフェースなどを設計します。
ユーザーが直接触れる部分の仕様を固めるため、操作性や見やすさが重視されます。
この段階で作成される基本設計書は、ユーザーと開発者の間でシステムの完成イメージを共有するための重要な資料となります。

【工程4】詳細設計(内部設計):エンジニア視点で内部構造を設計する


詳細設計は、基本設計で決定した仕様を、エンジニアがプログラミング可能なレベルまで具体的に落とし込む工程です。
内部設計とも呼ばれ、ユーザーからは見えないシステムの内部構造を設計します。
具体的には、機能をどのようなモジュールに分割するか、データベースのテーブル構造はどうするか、処理の具体的なロジックなどを定義します。
この工程で作成される詳細設計書は、プログラマーが実装作業を行う際の直接的な指示書となるため、正確性と網羅性が求められます。
成果物となる資料の品質が、後の実装工程の効率やシステムの品質に大きく影響します。

【工程5】実装(プログラミング):設計書をもとにコードを記述する


実装は、詳細設計書に基づいて、プログラミング言語を用いて実際にコードを記述していく工程で、製造や構築とも呼ばれます。
SE(システムエンジニア)が作成した設計資料を基に、プログラマーがソフトウェアの各機能を一つずつ形にしていきます。
このフェーズでは、設計書の意図を正確に理解し、定められたコーディング規約に従って記述することが求められます。
単にプログラムが動くだけでなく、他の開発者が読んでも理解しやすい、保守性の高いコードを書くことも重要です。
大規模な開発では、複数のプログラマーが分担して作業を進めるのが一般的です。

【工程6】単体テスト:機能単位でプログラムが正しく動くか検証する


単体テストは、実装工程で作成されたプログラムを、機能や部品といった最小単位で検証する最初のテスト工程です。
個々のプログラムが設計書通りに正しく動作するか、意図した通りの結果を返すかを確認します。
例えば、特定のボタンをクリックした際に期待される処理が行われるか、異常なデータが入力された場合に適切なエラーを返すかといった観点でテストを実施します。
この段階で個々の機能の品質を確保しておくことで、後の結合テスト以降で発見される不具合を減らし、開発全体の効率を高める役割を果たします。

【工程7】結合テスト:複数の機能を連携させて動作を確認する


結合テストは、単体テストを完了した複数のモジュールやプログラムを組み合わせて、それらが正しく連携して動作するかを検証する工程です。
個々の機能は正しくても、それらを繋ぎ合わせた際にデータの受け渡しがうまくいかなかったり、予期せぬ不具合が発生したりすることがあります。
例えば、A画面で入力したデータが、B画面で正しく表示されるか、データベースに正常に保存されるかといった、機能間の連携部分を重点的に確認します。
このテストによって、システム全体の骨格が設計通りに機能することを保証します。

【工程8】システムテスト:開発したシステム全体が要件を満たすか試す


システムテストは、開発したシステム全体を一つの完成品として扱い、要件定義で定められた全ての要件を満たしているか総合的に検証する工程です。
ユーザーの視点に立ち、実際の業務の流れに沿ってシステムを操作し、機能や性能が要求仕様をクリアしているかを確認します。
具体的には、機能が漏れなく実装されているかの機能テスト、定められた時間内に処理が終わるかの性能テスト、大量のアクセスに耐えられるかの負荷テスト、セキュリティ上の脆弱性がないかのセキュリティテストなど、多角的な観点から評価を実施します。

【工程9】運用テスト:実際の業務環境で利用者が問題なく使えるか確かめる


運用テストは、リリース前の最終確認として、完成したシステムを実際の業務環境で利用者が操作し、問題なく使用できるかを確かめる工程です。
受け入れテストとも呼ばれ、開発側ではなく、システムを発注したクライアント側が主体となって実施します。
実際の業務データを使用し、業務フローに沿ってシステムを動かすことで、操作性や利便性、業務への適合性を評価します。
このテストで発見された問題点はリリース前に修正され、利用者がスムーズにシステムを使い始められる状態を目指します。

【工程10】リリース・保守運用:システムを公開し安定稼働をサポートする


リリースは、全てのテスト工程をクリアしたシステムを本番環境に展開し、ユーザーが利用できる状態にする作業です。
この際、既存システムからのデータ移行や、ユーザーへの操作説明会なども行われます。
システムが公開された後も開発は終わりではなく、保守運用のフェーズに入ります。
保守では、システム障害が発生した際の対応や原因調査、OSやソフトウェアのアップデートへの対応、法改正に伴う機能改修など、システムが安定して稼働し続けるためのサポートを行います。
これにより、システムは長期的に価値を提供し続けます。

【モデル別】システム開発の代表的な3つの手法



システム開発の進め方には、プロジェクトの特性や要件に応じていくつかの種類があります。
開発モデルと呼ばれるこれらの手法は、工程の進め方や考え方が異なります。
それぞれのモデルにメリット・デメリットがあるため、開発するシステムの規模や仕様変更の頻度などを考慮して、最適な手法を選択することが重要です。
ここでは、代表的な開発手法の例として「ウォーターフォール開発」「アジャイル開発」「スパイラル開発」の3つを紹介します。

①ウォーターフォール開発:計画通りに工程を順に進める手法


ウォーターフォール開発は、システム開発における最も標準的なモデルです。
その名の通り、水が上から下に流れるように、「計画」「要件定義」「設計」「実装」「テスト」といった各工程を順番に進めていきます。
原則として前の工程が完全に完了しないと次の工程には進まず、後戻りをしないことを前提としています。
最初に全体の計画を綿密に立てるため、進捗管理がしやすく、大規模なシステム開発に向いています。
一方で、開発途中で仕様変更が発生した場合、前の工程に戻って修正する必要があるため、柔軟な対応が難しいという側面も持ち合わせています。

②アジャイル開発:短いサイクルで開発とテストを繰り返す手法


アジャイル開発は、仕様変更や追加要求に柔軟に対応することを目的とした開発モデルです。
「アジャイル」とは「素早い」という意味を持ち、開発対象のシステムを機能単位の小さなサイクルに分割し、「計画→設計→実装→テスト」という一連の工程を繰り返して開発を進めます。
各サイクルの終了時に動作するソフトウェアをリリースし、ユーザーからのフィードバックやレビューを受けて次の開発サイクルに活かします。
これにより、優先度の高い機能から開発でき、市場やビジネスの変化に迅速に対応できるのが大きな特徴です。

③スパイラル開発:試作品を作りながら開発を進める手法


スパイラル開発は、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の特徴を併せ持つモデルです。

システム全体を機能ごとに分割し、重要な機能から「設計→プログラミング→テスト」というサイクルを繰り返しながら開発を進めます。
各サイクルの完了ごとに試作品(プロトタイプ)を作成し、ユーザーに評価してもらうことで、要求仕様を明確化しながら開発の精度を高めていきます。
まるで螺旋(スパイラル)を描くように開発を進めることからこの名がついています。
仕様が固まっていない新規事業のシステム開発や、技術的な実現可能性を検証しながら進めるプロジェクトに適した手法です。
ラボ環境での検証などを通じてリスクを低減できます。

システム開発の工程を正しく踏む3つのメリット



システム開発において、定められた工程を一つひとつ着実に進めることは、プロジェクトの成功に不可欠です。
工程を省略したり、順番を無視したりすると、後々大きな問題につながる可能性があります。
各工程にはそれぞれ明確な目的があり、それらを遵守することで、開発するシステムの品質やチームの生産性の向上といった多くのメリットが生まれます。
ここでは、システム開発の工程を正しく踏むことによる主要な3つのメリットについて解説します。

メリット①:開発するシステムの品質が高まる


システム開発の各工程を順番に踏むことは、最終的な成果物の品質向上に直結します。
例えば、要件定義や設計の段階で仕様を明確にし、関係者間で合意形成を行うことで、要求の漏れや認識のズレを防ぎます。
また、単体テスト、結合テスト、システムテストといった段階的なテスト工程を経ることで、プログラムの不具合やバグを早期に発見し、修正することが可能です。
各工程で成果物に対するレビューや検証を徹底することにより、手戻りを減らし、安定して動作する信頼性の高いシステムを構築できます。

メリット②:プロジェクトの進捗管理がしやすくなる


各工程が明確に定義されていると、プロジェクト全体の進捗管理が容易になります。

開発工程を細分化することで、それぞれのタスクで「何を」「いつまでに」行うべきかが明確になります。
これにより、各作業に必要な工数や期間の見積もり精度が向上し、現実的なスケジュールを立てることが可能です。
また、工程ごとに完了の定義がはっきりしているため、「予定通りに進んでいるか」「どこかで遅延が発生していないか」といった進捗状況を客観的に把握しやすくなります。
問題が発生した場合でも、どの工程に原因があるのかを特定しやすく、迅速な対応が可能になります。
工期を守る上でも、工程管理は極めて重要です。

メリット③:手戻りを防ぎ開発コストを抑制できる


開発工程を正しく踏むことは、手戻りのリスクを最小限に抑え、結果的に開発コストの抑制につながります。
システム開発では、後の工程で仕様変更や不具合が発覚するほど、修正にかかる時間とコストが増大する傾向にあります。
上流工程である要件定義や設計の段階で顧客との認識を十分にすり合わせ、仕様を固めておくことで、実装段階での大幅な変更を防ぎます。
正確な見積に基づいた契約を結ぶ上でも、各工程での成果物が重要な役割を果たします。
特に請負契約のような契約形態では、手戻りの発生は利益を圧迫する大きな要因となるため、工程遵守はコスト管理の観点からも非常に重要です。

システム開発の各工程で使われる頻出略語一覧



システム開発の現場では、コミュニケーションを円滑にするため、各工程や成果物の名称をアルファベットの略語で呼ぶことが頻繁にあります。
これらの専門用語を知らないと、会議やドキュメントの内容を正確に理解することが難しくなるかもしれません。
ここでは、システム開発の各フェーズで特によく使われる頻出の略語について、その正式名称と意味を一覧で解説します。
これらの基本的な略語を覚えておくと、プロジェクトへの理解がより一層深まります。

①SP(System Planning):システム企画


SPは「System Planning」の略で、システム企画を指します。
これはシステム開発の最も上流に位置する工程であり、経営課題や業務上の課題を解決するために、どのようなシステムが必要かを検討する段階です。
具体的には、システム化の目的、対象となる業務範囲、期待される効果、そして概算の費用や開発期間などを明確にします。
このSPの段階で作成される企画書が、その後のプロジェクト全体の方向性を決定づける重要な土台となります。
経営層の承認を得て、初めて具体的な開発プロジェクトがスタートします。

②SA(Systems Analysis):要求分析


SAは「Systems Analysis」の略で、要求分析を指します。
この工程では、システムを利用するユーザーや関係者にヒアリングを行い、システムに対する具体的な要望を収集・整理・分析します。
ユーザーが「どのような業務で困っているのか」「システムに何を期待しているのか」を深く理解し、本当に解決すべき課題は何かを見極めることが目的です。
SAの結果は、次のRD(要件定義)工程で、システムが備えるべき機能や性能を具体的に定義するための基礎情報となります。
ユーザーの潜在的なニーズまで引き出すことが、プロジェクトの成功につながります。

③RD(Requirements Definition):要件定義


RDは「RequirementsDefinition」の略で、要件定義を指します。
SA(要求分析)で明らかになったユーザーの要望をもとに、システムが実装すべき機能や達成すべき性能、満たすべき制約などを具体的かつ明確に定義する工程です。
ここで定義される内容には、システムの操作や処理に関する「機能要件」と、性能・信頼性・セキュリティといった品質面に関する「非機能要件」があります。
このRDで作成される要件定義書は、開発者と発注者の間で「何を作るか」を合意するための公式な文書となり、以降の全ての開発工程の基準となります。

④BD(Basic Design):基本設計


BDは「BasicDesign」の略で、基本設計を指します。
外部設計とも呼ばれ、要件定義で定められた内容を基に、システムの基本的な仕様を設計する工程です。
主にユーザーの視点からシステムの振る舞いを定義し、画面レイアウト、帳票設計、操作方法、メニュー構成など、ユーザーが直接触れる部分の仕様を決定します。
また、他のシステムとの連携が必要な場合は、そのインターフェース仕様もこの段階で設計します。
このBDで作成される基本設計書は、ユーザーと開発者の間でシステムの完成イメージを共有し、認識を合わせるための重要なドキュメントです。

⑤DD(Detail Design):詳細設計


DDはDetailDesignの略で、詳細設計を指します。
内部設計とも呼ばれ、BD(基本設計)で決定した仕様を、プログラマーが実装できるレベルまで詳細に落とし込む工程です。
ユーザーからは見えないシステム内部の構造や処理ロジックを設計します。
具体的には、プログラムをどのような部品(モジュール)に分割するか、各モジュールがどのような処理を行うか、データベースの物理的な設計などを定義します。
このDDで作成される詳細設計書は、プログラミング作業の直接的な指示書となるため、正確で詳細な記述が求められます。

⑥PG(Programming):プログラミング


PGは「Programming」の略で、プログラミングそのものを指す言葉です。
詳細設計書に基づいて、プログラミング言語を用いてソースコードを記述し、実際にコンピューター上で動作するプログラムを作成する作業です。
この工程は、実装や製造とも呼ばれます。
設計の意図を正確に汲み取り、定められたコーディング規約に沿って、効率的で保守性の高いコードを作成することが求められます。
システム開発プロジェクトにおいては、プログラマー(PG)という職種の略称としても使われることがありますが、工程を指す場合は作業そのものを意味します。

⑦CD(Coding):コーディング


CDは「Coding」の略で、コーディングを指します。
これはPG(プログラミング)とほぼ同じ意味で使われる言葉で、プログラミング言語を用いてソースコードを作成する行為そのものを指します。
詳細設計書に記載された処理内容やロジックを、コンピューターが解釈できる形式の命令文として記述していく作業です。
現場によっては、PGが設計から実装までの一連の流れを指すのに対し、CDは純粋にコードを書く作業のみを指すというように、ニュアンスを区別して使う場合もありますが、基本的には同義と捉えて問題ありません。

⑧UT(Unit Test):単体テスト


UTは「UnitTest」の略で、単体テストを指します。
プログラミングによって作成された個々のプログラム部品(モジュールや関数など)が、それぞれ意図した通りに正しく動作するかを検証するテスト工程です。
開発者自身が実施することが多く、品質保証の最初のステップとなります。
このUTの段階で個々の部品の品質をしっかりと確保しておくことで、それらを組み合わせた後の結合テスト(IT)やシステムテスト(ST)での不具合の発生を抑制し、手戻りを減らす効果があります。
プログラムの品質を担保する上で非常に重要な工程です。

⑨IT(Integration Test):結合テスト


ITは「IntegrationTest」の略で、結合テストを指します。
単体テスト(UT)をクリアした複数のプログラムやモジュールを組み合わせて、それらが互いに連携して正しく動作するかを検証するテスト工程です。
個々の部品が正しくても、それらを繋げた際にデータの受け渡しがうまくいかなかったり、想定外の動作をしたりすることがあります。
ITでは、そうしたモジュール間のインターフェース部分に問題がないか、データが意図通りに連携されるかなどを重点的に確認します。
システム全体の機能を段階的に結合しながらテストを進めていきます。

⑩ST(System Test):システムテスト


STは「SystemTest」の略で、システムテストを指します。
開発したシステム全体を一つの製品として扱い、要件定義で定められた要件をすべて満たしているかを総合的に検証するテスト工程です。
ユーザーの視点に立ち、機能が要求通りに動作するかはもちろんのこと、性能、信頼性、セキュリティ、操作性など、非機能要件についても評価します。
実際の業務に近い環境やデータを用いてテストを行い、システム全体としての品質を保証する最終段階のテストの一つです。
このテストに合格することで、システムがリリース可能な品質であることを証明します。

⑪OT(Operations Test):運用テスト


OTは「OperationsTest」の略で、運用テストを指します。
受け入れテスト(UAT)とも呼ばれ、システム開発の最終段階で実施されるテストです。
実際にシステムを利用するユーザーが、本番と同じ環境で業務の流れに沿ってシステムを操作し、実用上問題がないかを確認します。
開発側ではなく、発注者側が主体となって行い、システムが業務要件を満たしているか、操作性は問題ないかなどを最終判断します。
このOTで承認が得られて初めて、システムは本番稼働(リリース)へと進むことができます。

まとめ



システム開発の工程は、企画からリリース、そして保守運用に至るまで、多岐にわたるフェーズで構成されています。
各工程の役割と目的を理解することは、プロジェクトの全体像を把握し、関係者間の円滑なコミュニケーションを促進する上で不可欠です。 ウォーターフォールやアジャイルといった開発モデルの違いを知ることで、プロジェクトの特性に応じた最適な進め方を検討できます。
ここで解説した内容は、システム開発の基礎知識として、新人向けの教育や研修の場面でも役立つ情報です。 開発プロジェクトに関わるすべての人が共通の理解を持つことが、成功への第一歩となります。

インプルでは、業界特化型の開発支援から、初めてのシステム導入に関するご相談まで、幅広く対応しています。
「自社に合った進め方がわからない」「開発パートナーを探している」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
システム開発の無料相談は こちら。



25.10.01

システム開発の期間は?目安となるスケジュールを工程別に解説

システムの開発期間は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素です。
システム開発にかかる期間の目安を規模や工程別に把握し、適切なスケジュールを立てることが求められます。
開発期間はシステムの要件や開発手法によって変動するため、どのような要因がスケジュールに影響を与えるのかを事前に理解しておく必要があります。

本記事では、システム開発の各工程と期間の目安、そしてスケジュールが変動する要因や期間を短縮するコツを解説します。

目次


システム開発期間の全体像|システムの規模別に目安を解説
システム開発の期間が変動する3つの主な要因
【手法別】開発期間はどう変わる?ウォーターフォールとアジャイルの特徴
システム開発の全工程とそれぞれの期間の目安
システム開発の期間を短縮するための3つのコツ
まとめ

システム開発期間の全体像|システムの規模別に目安を解説



システム開発にかかる期間は、開発するシステムの規模によって大きく変動します。

比較的小規模なシステム、例えば小規模なWebサイトや特定の業務を補助するツールなどの開発であれば、2ヶ月から3ヶ月程度が一般的な目安です。
中規模なシステムになると、平均して半年から1年ほどの期間が必要となります。 これには、複数の機能を持つ業務システムなどが該当します。

さらに大規模な開発、例えば基幹システムや複雑な機能を持つECサイトなどでは、1年以上の長期的なプロジェクトになることも少なくありません。

システム開発の期間が変動する3つの主な要因



システム開発の見積もり段階で提示される期間は、あくまで概算であり、プロジェクトの進行中に変動する可能性があります。
期間が変動する主な要因として、開発する機能の数や要件の複雑さ、採用する開発手法、そして開発チームのスキルや体制が挙げられます。
これらの要素がプロジェクトにどのように影響を与えるかを理解し、あらかじめリスクを想定しておくことで、スケジュールの遅延を防ぎ、より現実的な計画を立てることが可能になります。

開発する機能の数や要件の複雑度


開発する機能の数が多いほど、実装やテストに必要な工数が増加し、開発期間は長くなります。
特に、決済機能や外部システムとの連携、高度なセキュリティ要件など、複雑な機能を実装する場合には、設計やテストに多くの時間を要するため、全体のスケジュールに大きな影響を与えます。

また、要件定義が曖昧なまま開発を進めてしまうと、後工程で仕様の認識齟齬が発覚し、手戻りが発生する原因となります。
手戻りは大幅なスケジュールの遅延につながるため、開発初期の段階で要件を明確に固めておくことが極めて重要です。

採用する開発手法による進め方の違い


開発手法の違いも期間の計画や進捗の仕方に影響を与えます。
ウォーターフォール開発では、最初に全体の計画を綿密に立て、各工程を順番に進めていくため、全体のスケジュールや完了時期を予測しやすいという特徴があります。

一方で、途中の仕様変更には対応しにくく、手戻りが発生すると大幅な遅延につながる可能性があります。
対照的にアジャイル開発では、短期間のサイクルで開発を繰り返すため、仕様変更に柔軟に対応できますが、プロジェクト開始時点では全体の完了時期が明確になりにくいという側面を持ちます。

開発チームのスキルや体制


開発を担当するチームのスキルレベルや経験、発注者側との連携体制も、開発期間を左右する重要な要素です。
経験豊富なエンジニアが揃っていれば、効率的に開発を進めることができますが、プロジェクトで利用する技術に不慣れなメンバーが多い場合、調査や学習に時間がかかり、スケジュールに遅れが生じる可能性があります。

また、発注者側と開発会社とのコミュニケーションが不足していると、仕様の確認や意思決定に時間がかかり、開発が滞る原因となります。
円滑な連携体制を築き、迅速に課題を解決していくことが求められます。

【手法別】開発期間はどう変わる?ウォーターフォールとアジャイルの特徴



システム開発で用いられる代表的な手法に、ウォーターフォール開発とアジャイル開発があります。
それぞれ計画の立て方や進め方が異なり、開発期間の捉え方にも大きな違いが生じます。

ウォーターフォールは計画性が高く、アジャイルは柔軟性が高いという特徴を持ちます。
どちらの手法が自社のプロジェクトの性質や要件に適しているかを判断するためにも、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解しておくことが重要です。

ウォーターフォール開発:計画通りに進めやすいが手戻りが難しい


ウォーターフォール開発は、要件定義、設計、実装、テストといった工程を上流から下流へ順番に進めていく手法です。
プロジェクト開始時に全体の計画と仕様を詳細に決定するため、全体のスケジュールやコストを正確に見積もりやすいという利点があります。
各工程の完了目標が明確であるため、進捗管理もしやすいです。

しかし、原則として後の工程から前の工程へ戻る「手戻り」を想定していません。
そのため、開発途中で仕様変更や要件の追加が発生した場合、計画全体に大きな影響を及ぼし、スケジュールの大幅な遅延や追加コストの原因となる可能性があります。

アジャイル開発:短期間でリリースできるが全体の完了時期は見えにくい


アジャイル開発は、スプリントやイテレーションと呼ばれる短い開発期間のサイクルを繰り返しながら開発を進める手法です。
このサイクルごとに計画、設計、実装、テストを行い、動作するソフトウェアを少しずつ完成させていきます。
仕様変更や要求の追加に柔軟に対応できる点が大きなメリットであり、優先度の高い機能から開発して早期にリリースすることも可能です。

一方で、開発を進めながら仕様を具体化していくため、プロジェクト開始時点では全体のスコープが確定しておらず、最終的な完了時期や総コストを正確に予測することが難しい傾向にあります。

システム開発の全工程とそれぞれの期間の目安



システム開発は、一般的に要件定義からリリース・運用保守まで、複数の工程に分かれて進行します。
各工程で実施する内容と、それに要する期間の目安を把握することは、プロジェクト全体のスケジュール感を理解する上で不可欠です。
それぞれの工程がプロジェクト全体に占める期間の割合を知ることで、より現実的な計画立案が可能となります。

ここでは、開発の全工程を順番に追いながら、それぞれの役割と期間の割合について解説します。

①要件定義:システムで実現したいことを決める工程
要件定義は、発注者がシステムで何を実現したいのか、どのような課題を解決したいのかをヒアリングし、システムの目的、必要な機能、性能などを明確にする最初の工程です。
この段階で、発注者と開発者の間で認識をすり合わせ、システム化する範囲や仕様の骨子を固めます。
要件定義の内容が後続のすべての工程の基礎となるため、プロジェクトの成否を左右する非常に重要なフェーズと位置付けられています。
システム開発における要件定義の工数割合は、一般的に20%前後が目安とされており、この段階で定義した内容の精度が、後の手戻りを防ぐ鍵となります。

②設計:システムの仕様を具体的に落とし込む工程
設計工程では、要件定義で決定した内容を基に、システムの具体的な仕様を詳細に定義していきます。
この工程は、ユーザーインターフェースや画面レイアウトなどを決める「外部設計(基本設計)」と、プログラムの内部構造やデータの流れ、データベースの構造などを決める「内部設計(詳細設計)」に分かれます。
開発者はこの設計書に基づいてプログラミングを行うため、誰が見ても理解できる正確なドキュメントを作成することが求められます。
開発期間全体に占める割合は20%〜25%程度が目安となり、システムの品質を大きく左右する重要な工程です。

③実装(プログラミング):設計書を基にプログラムを作成する工程
実装は、設計工程で作成された設計書に基づいてプログラミング言語を用いて実際にコードを記述し、システムを形にしていく工程です。
一般的にプログラミングとも呼ばれ、システム開発の工程の中で多くの時間を要する部分です。開発する機能の数や複雑さ、開発チームのスキルによって作業時間は大きく変動します。
この工程の品質がシステムの安定性やパフォーマンスに直結するため、設計書を正確に理解し、効率的で保守性の高いコードを作成することが求められます。
開発期間全体に占める実装工程の割合は、一般的に30%〜35%程度が目安とされています。

④テスト:システムの品質を担保する工程
テストは、実装されたシステムが設計書通りに正しく動作するか、不具合がないかを確認し、品質を保証するための重要な工程です。
この工程を丁寧に行うことで、リリース後のトラブルを未然に防ぎ、ユーザーが安心して利用できるシステムを提供できます。
テストは目的や対象範囲に応じて複数の段階に分かれており、小さな単位から徐々に大きな範囲へと検証を進めていくのが一般的です。
開発期間全体に占める割合は20%〜25%程度が目安ですが、システムの信頼性が特に求められる場合は、さらに多くの時間をかけることもあります。

単体テスト:機能単位での動作を確認


単体テストは、プログラムの最小単位である関数やモジュールが、個別に正しく動作するかを検証するテストです。
主にプログラマー自身が実装直後に行い、作成したコードが意図した通りに機能するか、基本的なロジックに誤りがないかを確認します。

例えば、特定のデータを入力した際に、期待される計算結果が出力されるかなどをチェックします。
この段階で個々の部品の品質を確保しておくことで、後の工程である結合テスト以降で発見される不具合を減らし、手戻りのコストを抑制することにつながります。
品質保証の第一歩となる重要なテストです。

結合テスト:複数の機能を連携させて検証


結合テストは、単体テストを完了した複数のモジュールや機能を組み合わせて、それらが連携して正しく動作するかを検証する工程です。
個々の機能は問題なく動いても、それらを連携させるとデータの受け渡しがうまくいかなかったり、予期せぬ不具合が発生したりすることがあります。

例えば、商品登録機能と在庫管理機能が正しく連携し、登録された商品の情報が在庫データに反映されるかなどを確認します。
モジュール間のインターフェースの整合性をチェックし、システムとしての一連の流れがスムーズに行えるかを確かめる重要な段階です。

システムテスト:システム全体の動作をチェック


システムテストは、開発したシステム全体を一つの製品として捉え、要件定義で定められた機能や性能、品質要件をすべて満たしているかを総合的に検証する工程です。
実際の使用環境に近い状態でテストを行い、機能面だけでなく、セキュリティ、パフォーマンス(応答速度や負荷への耐性)、操作性などもチェックします。
このテストを通じて、システムが発注者の要求水準をクリアしているか、リリースできる品質にあるかを最終的に判断します。
開発会社側の責任で行われる最終的な品質保証のテストと位置付けられます。

受入テスト:実際の業務で利用できるか最終確認


受入テストは、開発されたシステムを納品する前の最終段階で、発注者側が主体となって実施するテストです。
ユーザーテストとも呼ばれ、実際の業務フローに沿ってシステムを操作し、要求した仕様がすべて満たされているか、実務で問題なく利用できるかを確認します。
このテストで問題がなければシステムは検収となり、リリースへと進みます。
もし要求と異なる点や重大な不具合が発見された場合は、開発会社に修正を依頼します。
発注者と開発者の間で、完成物の最終的な合意形成を行うための重要な工程です。

⑤リリースと運用保守:システムを公開し安定稼働させる工程
リリースは、すべてのテストをクリアした完成済みのシステムを本番環境に展開し、ユーザーが実際に利用できる状態にする作業を指します。
システムはリリースして終わりではなく、その後の安定稼働を支える運用保守が不可欠です。

運用保守には、サーバーの監視、データバックアップ、障害発生時の復旧対応、セキュリティアップデートの適用、ユーザーからの問い合わせ対応などが含まれます。
システムの価値を維持し続けるためには、継続的な保守が欠かせません。
開発期間とは別に、保守契約として長期的な計画を立てる必要があります。

システム開発の期間を短縮するための3つのコツ



システム開発の期間は様々な要因で変動しますが、いくつかの点を工夫することで短縮を目指すことが可能です。

ここでは、プロジェクトを効率的に進め、無駄な手戻りや遅延を防ぐための3つの具体的なコツを紹介します。
初期段階での計画の立て方から、開発中のコミュニケーションの取り方まで、発注者側が主体的に取り組める内容も含まれています。
これらのポイントを意識することで、開発会社との協力体制を強化し、スムーズなプロジェクト進行が期待できます。

MVP(最小限の機能)からスモールスタートする


最初からすべての機能を盛り込んだ大規模なシステムを目指すのではなく、ユーザーに価値を提供できる最小限の機能(MVP:Minimum Viable Product)でリリースし、市場の反応を見ながら段階的に機能を追加・改善していく手法は、開発期間の短縮に有効です。
このアプローチにより、初期開発のスコープを絞り込むことができるため、短期間での市場投入が可能になります。

また、実際にユーザーに使ってもらうことで、本当に必要な機能を見極めることができ、不要な機能の開発に時間とコストを費やすリスクを減らせます。
スモールスタートは、不確実性の高い新規事業などで特に効果的です。

要件定義の精度を高め手戻りを防ぐ


開発期間が延長する最大の原因の一つが、後工程での手戻りです。
手戻りの多くは、プロジェクトの初期段階である要件定義の曖昧さに起因します。
要件定義で発注者と開発者の間に認識のズレがあると、開発が進んだ段階で「思っていたものと違う」という事態になり、大規模な修正が必要となります。
これを防ぐためには、要件定義の段階で時間をかけ、必要な機能や仕様をできる限り具体的に、かつ明確に固めることが重要です。
なぜその機能が必要なのかという背景も含めて開発会社と共有し、双方の合意を形成しておくことが、結果的に全体の期間短縮につながります。

開発会社との円滑なコミュニケーションを心がける


プロジェクトを円滑に進めるためには、発注者と開発会社間の密なコミュニケーションが不可欠です。
仕様に関する疑問点の確認や進捗の共有、課題の相談などを迅速に行える体制を整えましょう。
定期的なミーティングを設けるだけでなく、チャットツールなどを活用して日頃から気軽に連絡を取り合える関係を築くことが理想的です。

特に、発注者側で確認や判断が必要な事項に対して迅速に回答することで、開発の手を止める時間を最小限に抑えられます。
課題を早期に共有し、協力して解決策を探る姿勢が、プロジェクト全体の効率を高め、結果として期間の短縮を実現します。

まとめ



システム開発の期間は、小規模なもので2ヶ月程度から、大規模なものになると1年以上と、その規模や要件の複雑さによって大きく異なります。
期間は主に、要件定義、設計、実装、テスト、リリースの工程に分けられ、特に実装とテストが多くの割合を占めます。
開発手法としてウォーターフォールを選ぶかアジャイルを選ぶかによっても、期間の考え方や管理方法は変わります。

開発期間を短縮するためには、要件定義の精度を高めて手戻りを防ぐこと、MVPでスモールスタートすること、そして開発会社と円滑なコミュニケーションを取ることが効果的です。
これらの要素を理解し、自社のプロジェクトに合った計画を立てることが求められます。

インプルでは、要件整理からスケジュール策定、開発会社選定まで一貫した支援を行っています。
「自社の希望納期に間に合うか相談したい」「開発期間の見積もりをしてほしい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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