• Home
  • Blog
  • アプリ開発のリスクとは?セキュリティ対策とマネジメント手法を解説
25.10.03

アプリ開発のリスクとは?セキュリティ対策とマネジメント手法を解説

アプリ開発のリスクとは?セキュリティ対策とマネジメント手法を解説
アプリ開発はビジネスに多くの機会をもたらしますが、同時に多様なリスクも内包しています。特にソフトウェア開発の過程で警戒すべきは、ユーザーの安全を脅かすセキュリティの問題と、プロジェクトの成否を左右するマネジメントの課題です。
システム開発におけるリスクを正しく理解し、適切な対策と管理手法を導入することが、プロジェクト成功の基盤となります。

目次


アプリ開発に潜む2つの主要なリスクとは
 ①ユーザーを危険に晒すセキュリティ上のリスク
 ②プロジェクト失敗につながる開発上のリスク
アプリ開発で注意すべきセキュリティリスクの具体例
 【具体例①】個人情報が流出する情報漏洩の危険性
 【具体例②】悪意のあるプログラムに感染するマルウェアの脅威
 【具体例③】アプリの設計や実装段階で生じる脆弱性
 【具体例④】認証機能の不備による不正アクセスの問題
情報漏洩やサイバー攻撃を防ぐための具体的なセキュリティ対策
 【対策①】脆弱性診断と侵入テストでアプリの弱点を発見する
 【対策②】安全なコードを書く「セキュアコーディング」を徹底する
 【対策③】多要素認証などでユーザー認証とアクセス制御を強化する
 【対策④】通信経路や保存データを暗号化して情報を保護する
失敗しないためのアプリ開発リスクマネジメントの手順
 ステップ1:潜在的なリスクをすべて洗い出す
 ステップ2:リスクの発生確率と影響度を分析し優先順位を決める
 ステップ3:優先順位の高いリスクへの対応策を計画する
 ステップ4:プロジェクト進行中もリスクを継続的に監視する
アプリ開発のリスクを最小限に抑えるためのポイント
 【ポイント①】開発会社と密にコミュニケーションを取る
 【ポイント②】見積もりを精査し十分な予算を確保する
 【ポイント③】実現不可能な短い納期を設定しない
 【ポイント④】要件定義を明確にして仕様変更を減らす
 【ポイント⑤】開発実績やセキュリティ体制で信頼できる外注先を選ぶ
まとめ

アプリ開発に潜む2つの主要なリスクとは



アプリ開発プロジェクトが直面するリスクは多岐にわたりますが、その性質から大きく二つに分類できます。
一つは情報漏洩やサイバー攻撃といった「セキュリティ上のリスク」であり、もう一つは納期遅延や予算超過などの「開発上のリスク」です。
これらはシステム開発のリスクの中でもアプリで顕著に見られる課題であり、それぞれ異なるアプローチでの対策が求められます。

①ユーザーを危険に晒すセキュリティ上のリスク


セキュリティ上のリスクは、アプリの脆弱性を悪用されることで発生し、ユーザーを直接的な危険に晒します。
具体的には、不正アクセスによる個人情報の窃取、マルウェア感染による端末の乗っ取り、フィッシング詐欺への誘導などが挙げられます。

こうしたトラブルは、ユーザーに金銭的な被害やプライバシーの侵害をもたらすだけでなく、アプリ提供企業の信用の失墜や、場合によっては損害賠償請求といった深刻な事態に発展します。一度失った信頼を回復することは極めて困難であり、事業の継続そのものを脅かす可能性も秘めています。

②プロジェクト失敗につながる開発上のリスク


開発上のリスクとは、プロジェクトが計画通りに進行せず、最終的に失敗に終わる可能性を指します。
具体的には、要件定義の不備による度重なる仕様変更、見積もりの甘さからくる予算超過、非現実的なスケジュール設定による納期遅延、技術的な課題の発生、開発チーム内のコミュニケーション不足などが主な要因です。
これらのリスクが顕在化すると、開発コストが増大するだけでなく、品質が低下したアプリが完成したり、最悪の場合はプロジェクト自体が頓挫したりします。
市場投入のタイミングを逃し、ビジネスチャンスを失うことにもつながります。

アプリ開発で注意すべきセキュリティリスクの具体例



アプリ開発において潜在するセキュリティリスクは、非常に具体的かつ多様です。
例えば、アプリに存在する脆弱性が原因で、情報漏洩や不正利用といった深刻な問題が発生する可能性があります。

ここでは、開発プロジェクトを進める上で特に注意すべきセキュリティリスクの例を挙げ、それぞれの危険性について解説します。

【具体例①】個人情報が流出する情報漏洩の危険性


アプリが扱うデータの中でも、氏名、住所、連絡先、クレジットカード番号といった個人情報は、攻撃者にとって価値の高い標的です。情報漏洩が発生する主な理由として、データベースを管理するサーバーへの不正アクセスや、アプリ自体に存在する脆弱性を突いた攻撃が挙げられます。

一度情報が流出すると、個々のユーザーが詐欺やなりすましといった二次被害に遭う危険性が高まります。企業側も、ブランドイメージの著しい低下、ユーザーからの信頼失墜、そして多額の損害賠償責任を負うことになり、その影響は計り知れません。

【具体例②】悪意のあるプログラムに感染するマルウェアの脅威


マルウェアとは、ウイルスやスパイウェア、ランサムウェアなど、デバイスやシステムに害を及ぼす悪意のあるソフトウェアの総称です。
アプリがマルウェアに感染すると、ユーザーの端末内の個人情報が盗み出されたり、端末が遠隔操作されたり、他のシステムへの攻撃の踏み台として悪用されたりする可能性があります。
公式ストアで配布されているアプリであっても、アップデートを装って不正なコードを追加されるケースも報告されており、常に危険は潜んでいます。
ユーザーの知らないうちに被害が拡大する恐れがあるため、開発段階からマルウェア対策を講じることが不可欠です。

【具体例③】アプリの設計や実装段階で生じる脆弱性


脆弱性とは、プログラムの設計ミスや実装上の不具合に起因するセキュリティ上の欠陥を指します。特に新規開発のプロジェクトでは、セキュアな設計・実装に関するノウハウが不足していると、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといった典型的な脆弱性が作り込まれがちです。

また、OSの機能を直接利用するネイティブアプリの場合、プラットフォーム固有のセキュリティ仕様を正しく理解していないと、意図しない脆弱性を生み出す原因となります。
これらの欠陥はリリース後に攻撃の糸口となるため、開発ライフサイクルの早期段階から発見・修正する取り組みが重要です。

【具体例④】認証機能の不備による不正アクセスの問題


ユーザー認証は、正規の利用者であることを確認するための重要な機能ですが、実装に不備があると不正アクセスの温床となります。
例えば、推測されやすいパスワードを許可していたり、ログイン試行回数に制限がなかったりすると、総当たり攻撃などによって容易に突破される可能性があります。

また、セッション管理が不適切であれば、他人のアカウントになりすますことも可能です。
このような不正アクセスを許すと、ユーザーの個人情報が閲覧されたり、不正な取引に利用されたりする危険があります。
これを防ぐためには、堅牢な認証機能を設計し、適切に運用する体制を整える必要があります。

情報漏洩やサイバー攻撃を防ぐための具体的なセキュリティ対策



増え続けるサイバー攻撃の脅威からアプリとユーザーを守るためには、多角的なセキュリティ対策を講じる必要があります。単一の対策に頼るのではなく、複数の防御策を組み合わせる「多層防御」の考え方が基本となります。

ここでは、脆弱性診断からデータの暗号化まで、情報漏洩や不正アクセスを防ぐための具体的な手法を解説します。
万一のインシデントに備え、サイバー保険への加入を検討することも有効なリスクヘッジです。

【対策①】脆弱性診断と侵入テストでアプリの弱点を発見する


脆弱性診断は、専門のツールやセキュリティ専門家の知見を用いて、開発したアプリに潜むセキュリティ上の弱点(脆弱性)を網羅的に洗い出す検査です。リリース前にこの診断を実施し、発見された問題を修正することで、攻撃を受けるリスクを大幅に低減できます。

さらに、実際の攻撃者の視点に立ってシステムへの侵入を試みるペネトレーションテスト(侵入テスト)を組み合わせることで、より実践的な観点からセキュリティ強度を評価し、対策の有効性を確認できます。新たな脅威は日々生まれるため、定期的な診断の実施が推奨されます。

【対策②】安全なコードを書く「セキュアコーディング」を徹底する


セキュアコーディングとは、開発プロセスの初期段階からセキュリティを意識し、脆弱性が生まれないように配慮しながらプログラミングを行う手法です。
具体的には、入力値の検証(バリデーション)を徹底したり、SQLインジェクションなどの既知の攻撃パターンを想定した防御的なコードを記述したりします。

OWASP(OpenWebApplicationSecurityProject)が公開しているガイドラインやチェックリストを参考に、組織内でコーディング規約を定め、コードレビューの際に遵守されているかを確認する体制を整えることで、開発段階での脆弱性の混入を効果的に防ぎます。

【対策③】多要素認証などでユーザー認証とアクセス制御を強化する


パスワードに頼る認証は、漏洩や推測のリスクが常に伴います。IDとパスワードに加えて、SMSで送られるワンタイムコードや指紋・顔などの生体情報といった、複数の要素を組み合わせて本人確認を行う多要素認証(MFA)を導入することが極めて有効です。
この方法には、万が一パスワードが突破されても不正ログインを防げるという大きなメリットがあります。

また、ユーザーの役割に応じてアクセスできる機能やデータを厳密に制限するアクセス制御を適切に設計し、必要最小限の権限のみを与える「最小権限の原則」を徹底することも、セキュリティ強化の基本です。

【対策④】通信経路や保存データを暗号化して情報を保護する


ユーザーのスマートフォンとサーバー間でやり取りされるデータは、第三者に盗聴されるリスクがあります。これを防ぐため、通信はSSL/TLSといったプロトコルを用いて常に暗号化する必要があります。

また、サーバーのデータベースやユーザーのデバイス内に保存される個人情報やパスワードなどの機密データも、そのままの形式ではなく暗号化して保管することが重要です。
これにより、万が一データが外部に流出したとしても、攻撃者がその内容を解読することを困難にします。
今後、技術の進歩で現在の暗号が解読される可能性も考慮し、より強力な暗号技術への移行も視野に入れるべきです。

失敗しないためのアプリ開発リスクマネジメントの手順



アプリ開発プロジェクトを成功させるには、技術的な課題だけでなく、スケジュールや予算、仕様変更といった様々なリスクを計画的に管理するプロセスが不可欠です。
体系的なリスク管理を導入することで、潜在的な問題を早期に特定し、事前に対策を講じることが可能になります。ここで紹介する手順は、様々な案件に応用でき、プロジェクトの失敗確率を大きく引き下げます。

ステップ1:潜在的なリスクをすべて洗い出す


リスクマネジメントの第一歩は、プロジェクトに影響を与えうる潜在的なリスクをすべてリストアップすることです。
技術的な問題、予算不足、スケジュールの遅延、人員の離脱、仕様変更、さらには市場やユーザーニーズの変化といった外部要因まで、あらゆる観点からリスクを洗い出します。
この作業は開発チームだけでなく、企画や営業など、プロジェクトに関わる様々な立場のメンバーが参加し、ブレインストーミングなどの手法を用いて行うことが効果的です。
先入観を持たず、考えられる限りのリスクを出し切ることが重要です。

ステップ2:リスクの発生確率と影響度を分析し優先順位を決める


洗い出したすべてのリスクに対して、その「発生確率」と、発生した場合にプロジェクトに与える「影響の大きさ」をそれぞれ評価します。評価は「高・中・低」といった定性的な指標や、具体的な数値を用いた定量的な指標で行い、技術的なトレンドなども加味して判断します。

この「発生確率」と「影響度」を掛け合わせることで、各リスクの重要度を可視化し、どのリスクから優先的に対応すべきかを決定します。
リソースは限られているため、影響が甚大で発生確率も高い、最も警戒すべきリスクから対策を検討するのが合理的です。

ステップ3:優先順位の高いリスクへの対応策を計画する


優先順位付けが完了したら、重要度の高いリスクから順に、具体的な対応策を計画します。
リスクへの対応には、主に4つの戦略があります。

リスクの発生要因を取り除き発生確率を下げる「低減」、発生した際の影響を最小限に抑える準備をしておく「軽減」、保険の加入などでリスクを他者に移す「転嫁」、そしてリスクが比較的小さく対策コストが見合わない場合に受け入れる「受容」です。

どの戦略を取るかを決定し、「誰が」「いつまでに」「何をするか」を具体的にアクションプランに落とし込み、担当者を明確にします。

ステップ4:プロジェクト進行中もリスクを継続的に監視する


リスク管理は、プロジェクト開始時に一度だけ行うものではありません。プロジェクトが進行する中で状況は常に変化し、新たなリスクが生まれたり、既存のリスクの重要度が変わったりします。
そのため、週次や月次の定例会議などでリスクリストを定期的に見直し、状況の変化を反映させることが不可欠です。
計画した対応策が有効に機能しているかを監視し、必要に応じて計画を修正します。
この継続的な監視と見直しのサイクルは、開発中はもちろん、リリース後の保守・運用のフェーズにおいても同様に続けるべき重要な活動です。

アプリ開発のリスクを最小限に抑えるためのポイント



これまで見てきた体系的なリスクマネジメントに加えて、プロジェクトを円滑に進めるためには、発注者側が日頃から意識すべき実践的なポイントがあります。

これらのポイントは、主に開発会社との関係性や、プロジェクトの初期段階における計画の立て方に関わるものです。
これらを実践することで、多くの潜在的なトラブルを未然に防ぎ、リスクの発現を抑えることが期待できます。

【ポイント①】開発会社と密にコミュニケーションを取る


発注元企業と開発会社の円滑なコミュニケーションは、プロジェクト成功の生命線です。
定期的な進捗会議はもちろん、日常的な疑問や懸念をすぐに共有できる関係性を築くことが重要です。仕様の意図や背景を丁寧に伝えることで、開発会社はより的確な提案や実装が可能になります。

逆に、認識のズレや情報の不足を放置すると、後工程で大規模な手戻りが発生し、納期遅延やコスト増大の原因となります。
密な連携は、問題の早期発見と迅速な解決を可能にし、プロジェクトのリスクを大幅に低減させます。

【ポイント②】見積もりを精査し十分な予算を確保する


複数の開発会社から見積もりを取る際は、単に総額の安さだけで判断するべきではありません。各項目の工数や単価が妥当か、テストやセキュリティ対策に必要な費用が適切に計上されているかなど、その内訳を詳細に確認することが肝心です。

また、プロジェクトには予期せぬ仕様変更やトラブルが付き物であるため、それらに対応するための予備費(バッファ)をあらかじめ確保しておくことが、安定したプロジェクト運営につながります。
過度なコスト削減は、品質の低下を招き、結果的により大きな損失を生むリスクをはらんでいます。

【ポイント③】実現不可能な短い納期を設定しない


ビジネス上の理由から早いリリースを目指したいという意向は理解できますが、開発規模に対して非現実的な短納期を設定することは、多くのリスクを生み出します。無理なスケジュールは、設計やテストの時間を圧迫し、結果としてバグの多発やセキュリティ脆弱性の見落としにつながります。
開発者の疲弊は品質の低下を招き、長期的にはプロジェクトの失敗確率を高めます。
開発会社と十分に協議し、実装する機能の量や複雑さに見合った、現実的で余裕のあるスケジュールを設定することが、最終的に高品質なアプリのリリースにつながります。

【ポイント④】要件定義を明確にして仕様変更を減らす


アプリ開発プロジェクトにおける失敗の多くは、要件定義の曖昧さに起因します。「どのようなユーザーに」「どのような価値を提供するためのアプリなのか」という目的を明確にし、実装すべき機能を具体的に定義する作業が極めて重要です。

この初期段階での定義が不十分だと、開発途中で仕様変更が頻発し、スケジュール遅延や予算超過、開発チームの混乱を招きます。
要件定義の段階で時間をかけ、関係者間の認識を完全にすり合わせておくことが、手戻りのリスクを最小限に抑えるための最善策です。

【ポイント⑤】開発実績やセキュリティ体制で信頼できる外注先を選ぶ


アプリ開発の成否は、パートナーとなる開発会社の能力に大きく左右されます。選定にあたっては、作りたいアプリと類似のジャンルでの開発実績が豊富かどうかを確認することが重要です。

また、情報セキュリティに関する国際規格(ISMS認証など)の取得状況や、社内にセキュリティに関する専門部署や規定があるかなど、企業のセキュリティ体制も必ず確認すべき項目です。技術力はもちろん、プロジェクトを円滑に推進する管理能力やコミュニケーション能力も含め、総合的に信頼できるパートナーを選ぶことがリスク回避の第一歩です。

まとめ



アプリ開発には、セキュリティ上の脅威やプロジェクト進行上の課題など、さまざまなリスクが伴います。これらを未然に防ぎ、安全かつ確実にプロジェクトを成功へ導くには、技術力とマネジメント力を兼ね備えた開発パートナーの存在が不可欠です。

インプルでは、React NativeやFlutterなどの先進技術を駆使した豊富な開発実績に加え、セキュアコーディングや脆弱性診断などのセキュリティ対策にも力を入れた開発体制を整えています。
さらに、「先進技術で革命を起こす」という企業理念のもと、札幌本社と全国のフルリモートエンジニアが連携し、多様な視点と柔軟な体制で、リスクに強いアプリ開発を支援しています。

「セキュリティを重視した開発を相談したい」「リスク管理まで含めて任せたい」といった場合は、ぜひお気軽にインプルへご相談ください。
アプリ開発のご相談は こちら。
Contact

Contact

お問い合わせ

システム開発、ニアショア・ラボ開発、各種サービスについてお問い合わせがございましたら、お問い合わせフォームまたはお電話にてお気軽にご連絡ください。

Recruit

採用情報

上場への体制強化に向けてさまざまなポジションを募集しております。

Recruit Detailarrow