25.10.02
システム開発の見積もり方法|内訳・項目をサンプル付きで解説

システム開発を外部に発注する際、プロジェクトの成否を左右するのが「見積もり」です。
しかし、専門的な項目が多く、その妥当性を判断するのは容易ではありません。
この記事では、システム開発における見積もりの基本的な考え方から、ソフトウェアの見積もり方法、見積書の内訳・項目まで、サンプルをイメージしながら具体的に解説します。
発注担当者が正確な費用感を把握し、適切な開発会社を選定するための一助となる情報を提供します。
システム開発における見積もりとは?その重要性を解説
システム開発の見積書サンプルで見る内訳と費用項目
要件定義にかかる費用
システムの設計にかかる費用
プログラミングなどの開発作業にかかる費用
品質を担保するためのテストにかかる費用
プロジェクト進行を管理するための費用
システム導入後の運用・保守にかかる費用
インフラ構築や機器購入などその他の費用
システム開発費用の主な見積もり算出方法7選
見積書を受け取ったら確認すべき8つのチェックポイント
見積もり金額の妥当性を判断するための3つの方法
まとめ
システム開発における見積もりは、費用を算出するだけでなく、プロジェクトの範囲やスケジュール、成果物について発注者と開発会社が合意を形成するための重要なプロセスです。
ユーザーが求めるシステムと開発会社が提供するものの間に認識のズレがあると、予算超過や納期遅延といったリスクに直結します。
特にソフトウェアという無形の製品を開発する場合、完成形が見えにくいため費用算出が難しい側面があります。
そのため、透明性の高い見積もりを通じて、プロジェクトの全体像を共有し、リスクを管理することが成功の鍵となります。
システム開発の見積もりは、プロジェクトの進行に合わせて精度を高めていくため、一般的に2段階のプロセスで進められます。
まず、企画や構想といった初期段階で、大まかな要件を基に算出されるのが「概算見積もり」です。
このタイミングでは精度は低いものの、予算確保の判断材料や開発会社を選定する際の比較資料として活用されます。
次に、要件定義が完了し、開発するシステムの具体的な仕様が固まった段階で、詳細な作業項目を洗い出して作成するのが「詳細見積もり」です。
この流れを踏むことで、プロジェクトの不確実性を段階的に減らしながら、より正確な費用を把握していくことができます。
システム開発の見積書には、プロジェクト全体にかかる費用が様々な項目に分けて記載されています。
これらの内訳を理解することは、提示された金額の妥当性を判断する上で不可欠です。
費用を構成する主な要素は、システムの企画段階から開発、そして運用保守に至るまでの各工程に対応しています。
ここでは、一般的な見積書で提示される主要な内訳と費用項目について解説し、それぞれの項目がどのような作業を含んでいるのかを明らかにします。
要件定義は、開発するシステムにどのような機能や性能が必要かを明確にする、プロジェクトの土台となる工程です。
この費用は主に、発注担当者へのヒアリングや業務フローの分析、そして決定事項を要件定義書として文書化する作業に対する人件費で構成されます。
担当するのはシステムエンジニアやITコンサルタントなど、上流工程を専門とする技術者です。
プロジェクトの方向性を決定づける極めて重要なフェーズであり、ここで定義された内容が後続の設計や開発の品質に直接影響するため、安易に費用を削減すべき項目ではありません。
設計は、要件定義で決定した仕様を基に、システムの具体的な構造や動作を決定する工程です。
このフェーズは、ユーザーが直接目にする画面のレイアウトや操作方法などを定義する「基本設計(外部設計)」と、プログラムの内部構造やデータの流れといった技術的な仕様を固める「詳細設計(内部設計)」に分かれます。
費用は、これらの設計書を作成するシステムエンジニアの人件費が中心となります。
特に、利用者の使いやすさを左右する画面設計はシステムの満足度に大きく関わるため、重要な作業と位置づけられます。
開発作業は、設計書に基づいて実際にプログラミングを行い、システムを形にしていく工程であり、「実装」や「製造」とも呼ばれます。
この費用は、プログラマーの人件費が大部分を占め、システム開発全体のコストの中で最も大きな割合を占めることが一般的です。
費用は、開発する機能の数や複雑さ、採用するプログラミング言語、そして開発チームの技術力や生産性など、様々な要因によって変動します。
見積もりでは、各機能の実装に必要な作業時間(工数)を積み上げて算出されるケースが多く、この工程の精度が全体の費用を大きく左右します。
テストは、開発したシステムが設計書通りに正しく動作するかを検証し、不具合(バグ)がないかを確認する品質保証の工程です。
プログラム単体の動きをチェックする「単体テスト」、複数の機能を連携させた際の動作を確認する「結合テスト」、そしてシステム全体を通して要件を満たしているかを検証する「総合テスト」など、複数の段階に分かれています。
この費用には、テスト計画の策定、テストの実施、結果の分析と報告などを行うテスターや品質管理担当者の人件費が含まれます。
リリース後のトラブルを未然に防ぐために不可欠なコストです。
プロジェクト管理費は、開発プロジェクト全体が計画通りに円滑に進むよう、品質・コスト・納期(QCD)を管理するために必要な費用です。
プロジェクトマネージャー(PM)が中心となり、進捗管理、課題管理、メンバー間の調整、発注者への報告など、多岐にわたる管理業務を行います。
この費用は、開発工数全体に対して一定の割合(例:10%〜20%)で計上されることが多く、「PM費」や「ディレクション費」といった項目で記載されます。
プロジェクトの規模が大きく、関わる人員や開発期間が増えるほど、管理業務の重要性と費用は増大します。
システムは開発して終わりではなく、リリース後に安定して稼働させるための運用・保守が必要です。
この費用には、サーバーやネットワークの監視、定期的なバックアップ、障害発生時の調査・復旧対応、OSやミドルウェアのアップデート対応などが含まれます。
また、軽微な機能改善や操作に関する問い合わせ対応なども保守契約の範囲となる場合があります。
既存システムからのデータ移行作業がここに含まれることもあります。
費用形態は月額固定制が一般的で、開発費用の一定割合が年間の保守費用として設定されるケースが多く見られます。
システムを稼働させるための基盤となるインフラ環境の構築に関連する費用です。
これには、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの購入費やレンタル料、AWSやAzureなどのクラウドサービスの利用料が含まれます。
また、OS、データベース管理システム(DBMS)、セキュリティソフトといったミドルウェアや、有償のソフトウェアライセンスの購入費用もこの項目に該当します。
自社内にサーバーを設置するオンプレミス型か、クラウドを利用するかによって、費用の内訳や金額は大きく異なるため、事前に構成を確認しておく必要があります。
システム開発費用の見積もりには、プロジェクトの特性や要件の明確度に応じて様々な算出方法が用いられます。
開発会社がどの手法を採用しているかを理解することは、提示された見積もりの根拠を把握し、その妥当性を判断する上で役立ちます。
代表的な見積方には、過去の実績を参考にするものや、作業を細かく分解して積み上げるものなど、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
ここでは、実務でよく使われる7つの見積もり算出手法について、その特徴を解説します。
類推見積もり法は、開発会社が過去に手掛けた類似のシステム開発プロジェクトの実績を基に、費用や工数を算出する手法です。
この方法は、まだ要件が詳細に固まっていない企画段階や、迅速に概算費用を把握したい場合に特に有効です。
少ない情報からスピーディーに見積もりを提示できる点が大きなメリットですが、その精度は担当者の経験や知見に大きく依存します。
過去の案件と機能の複雑さや技術的な前提条件が異なる場合、実際の費用との間に大きな乖離が生じるリスクがあるため、あくまで初期段階の参考値として捉えるべきです。
ボトムアップ法は、システム開発に必要なタスクを機能単位や工程単位で可能な限り細かく分解し、それぞれの作業にかかる工数を見積もり、それらを積み上げて全体の費用を算出する手法です。
WBSという手法でタスクを洗い出すことが一般的です。
各作業の根拠が明確であるため、見積もりの透明性が高く、精度も高くなる傾向にあります。
要件定義が完了し、必要な作業を詳細に特定できる段階で用いられることが多く、詳細見積もりの作成に適しています。
ただし、作業の洗い出しに漏れがあると、それがそのまま見積もり全体の誤差につながります。
ファンクションポイント(FP)法は、システムの機能をユーザー視点で分類し、その数とそれぞれの難易度(複雑さ)を基に、システム全体の規模を「ファンクションポイント」という単位で数値化して費用を算出する客観的な見積もり手法です。
この方法の大きな特徴は、使用するプログラミング言語や開発者のスキルに左右されず、システムの規模を定量的に評価できる点にあります。
国際的な標準も存在し、発注者と開発者の間で共通の物差しとして利用できます。
一方で、FPを正確に算出するには専門的な知識と経験が必要であり、非機能要件の評価が難しいという側面も持っています。
プログラムステップ法は、開発するソフトウェアのソースコードの行数(ステップ数)を予測し、その数値に1行あたりの開発単価を掛け合わせて費用を算出する方法です。
LOC(LinesofCode)法とも呼ばれます。
過去のプロジェクトデータから、言語ごとのステップ数や生産性に関する統計を用いて予測するのが一般的です。
計算ロジックが単純で分かりやすいというメリットがありますが、同じ機能でもプログラミング言語や開発者のスキルによってコードの行数が大きく異なるため、見積もり精度が不安定になりやすいという課題があります。
現在では主流の見積もり方法とは言えません。
パラメトリック法は、過去のプロジェクトで蓄積された実績データから導き出した計算式やモデルを用いて、統計的に工数や費用を見積もる手法です。
代表的なモデルに「COCOMO(ConstructiveCostModel)」があり、開発規模(ソースコード行数など)を基本とし、開発者のスキルや要求される信頼性といった複数のパラメータ(係数)で補正をかけて算出します。
客観的なデータに基づくため、属人性を排除しやすいのがメリットです。
ただし、この手法を有効に活用するには、自社の状況に合った信頼性の高い実績データが大量に必要となり、専用の見積もりツールを要する場合もあります。
標準タスク法は、システム開発における一連の作業を、あらかじめ定義された標準的なタスクに分解し、それぞれのタスクに設定された標準工数を割り当てて、それらを合計して全体の工数と費用を算出する方法です。
ボトムアップ法と似ていますが、個々のタスク工数を都度見積もるのではなく、標準化された数値を用いる点が異なります。
これにより、見積もり担当者の経験や主観によるブレを抑制し、安定した精度の見積もりを効率的に作成できるメリットがあります。
この手法を適用するには、自社の開発プロセスに基づいた標準タスクと標準工数を事前に整備し、継続的に更新していく必要があります。
プライスツーウィン法は、技術的な積み上げではなく、発注者の予算上限や希望金額を先に設定し、その予算内で実現可能な機能範囲や品質を開発会社が提案するアプローチです。
特に競争入札やコンペティションにおいて、競合他社に勝つための戦略的な価格設定として用いられることがあります。
発注者にとっては予算超過のリスクがないという大きなメリットがありますが、一方で、予算を優先するあまり、本来必要だった機能が削られたり、品質やテストが不十分になったりする危険性もはらんでいます。
開発会社にとっては、利益を度外視した受注につながるリスクもあります。
開発会社から見積書が提示された際、合計金額だけを確認して発注先を決めるのは危険です。
後々のトラブルを回避するためには、その内容を細部まで精査し、自社の要求が正しく反映されているかを確認する必要があります。
見積条件や作業範囲、責任の所在など、発注者と開発会社の間で認識のズレが生じやすいポイントがいくつか存在します。
ここでは、見積書を受け取った際に必ず確認すべき8つの注意点とチェックポイントを具体的に解説します。
見積書に記載されている作業範囲(スコープ)が、自社が依頼したい内容をすべて網羅しているかを確認することは、最も基本的なチェックポイントです。
RFP(提案依頼書)や打ち合わせで伝えた要件が、漏れなく見積もりに反映されているかを精査します。
例えば、データ移行作業、ユーザーへのトレーニング、マニュアル作成、インフラ構築といった付随的な作業がスコープに含まれているか、あるいは対象外なのかを明確にする必要があります。
もし、依頼したい作業が含まれていない場合、それは後から追加費用として請求される可能性が高いです。
契約前に作業範囲の認識を完全に一致させることが重要です。
見積もりは特定の前提条件の上で成り立っています。
この前提条件に発注者と開発会社の間で認識のズレがあると、後々トラブルの原因となります。
見積書の備考欄などに記載されていることが多い前提条件の項目を必ず確認しましょう。
例えば、必要なサーバー環境は発注者側で用意する、コンテンツの文章や画像素材は発注者から提供される、といった条件が記載されている場合があります。
また、対応するOSやブラウザのバージョン、開発体制、役割分担など、細かい点まで目を通し、自社の認識と相違がないかを確認することが不可欠です。
見積書の内訳を確認し、各項目の金額が作業内容に対して妥当な水準であるかを検討します。
特に金額の大きい項目や、内容が不明瞭な項目については、その算出根拠を開発会社に説明を求めましょう。
なぜその工数や単価になるのか、具体的な理由を確認することで、見積もりの透明性が高まります。
特定の機能の開発費だけが突出して高い場合、技術的な難易度や特殊なライブラリの利用など、納得できる理由があるかを確認します。
相見積もりを取得している場合は他社の金額と比較したり、業界の相場観と照らし合わせたりすることも、金額の妥当性を判断する上で有効です。
システム開発プロジェクトでは、途中で仕様の変更や機能の追加が発生することは珍しくありません。
そうした場合に、どのような条件下で追加費用が発生するのかが、見積書や契約書に明確に記載されているかを確認します。
例えば、「要件定義完了後の仕様変更は別途見積もりとする」「月2回までの定例会議は費用に含むが、3回目以降は追加料金が発生する」といった具体的な条件が示されているかチェックしましょう。
追加費用の算出方法や、変更要求の手続きについても事前に合意しておくことで、プロジェクト終盤での予算超過といった金銭的なトラブルを防げます。
プロジェクトを円滑に進めるためには、発注側と開発会社、それぞれの役割分担と責任範囲を明確に定義しておくことが不可欠です。
見積書や提案書において、各作業の責任の所在が曖昧になっていないかを確認します。
例えば、開発したシステムの受け入れテストはどちらが主体となって実施するのか、リリース後のサーバー障害発生時の一次対応は誰が行うのか、といった点を具体的にしておきます。
特に、複数のベンダーが関わるプロジェクトや、外部のクラウドサービスと連携するシステムの場合、問題発生時の切り分けと対応責任者を事前に明確にしておくことが重要です。
システムは開発して終わりではなく、導入後も継続的に費用が発生します。
初期の開発費用(イニシャルコスト)だけでなく、運用・保守にかかるランニングコストについても見積書に記載があるかを確認しましょう。
具体的には、サーバーやクラウドサービスの利用料、ドメインの維持費用、ソフトウェアのライセンス更新料、そしてシステムの保守サポート費用などが該当します。
これらのランニングコストを見落としていると、導入後に想定外の出費で予算を圧迫することになりかねません。
月額や年額でどの程度の費用が必要になるのかを事前に把握し、トータルコストで評価することが大切です。
費用の支払い条件やスケジュールも、契約前に必ず確認すべき重要な項目です。
一般的には、「契約時」「中間」「納品時」といった形で分割払いとなるケースが多いですが、そのタイミングと金額が自社の支払いサイクルと合っているかを確認します。
また、「納品」や「検収完了」の定義も重要です。
どのような状態になれば納品物として認められ、検収が完了するのか、その基準と期間を双方で明確に合意しておく必要があります。
検収基準が曖昧だと、支払いのタイミングを巡ってトラブルに発展する可能性があるため、成果物の定義を具体的に定めておきましょう。
複数の会社から見積もりを取った際に、一社だけ極端に安い金額を提示してくる場合があります。
コストを抑えられるのは魅力的ですが、安易に飛びつくのは危険です。
安さの背景には、必要なテスト工程が省略されていたり、経験の浅いエンジニアが担当することで品質が低下したり、あるいは作業範囲が極端に狭く、後から次々と追加費用を請求されたりするリスクが潜んでいる可能性があります。
なぜその価格で実現できるのか、品質保証の体制は十分かなど、安い理由を納得できるまで確認することが重要です。
価格だけでなく、品質やサポート体制を総合的に評価して判断しましょう。
開発会社から提示された見積書。その金額が適正なのか、初めてシステム開発を発注する担当者にとっては判断が難しいものです。
しかし、いくつかの客観的な方法を用いることで、見積もり金額の妥当性を検証することは可能です。
専門的な知識がなくても、これから紹介する3つの方法を実践することで、金額に対する納得感を高め、より良い発注先の選定につなげられます。
ここでは、見積もりの妥当性を判断するための具体的なアプローチを解説します。
見積もりの妥当性を判断する上で最も基本的かつ効果的な方法が、複数の開発会社から相見積もりを取得することです。
一般的に3社以上から見積もりを取ることで、そのプロジェクトのおおよその費用相場が見えてきます。
比較する際には、単に総額だけを見るのではなく、各社の提案内容、作業範囲、前提条件、算出根拠などを詳細に比較検討します。
これにより、特定の項目だけが突出して高額であったり、逆に必要な作業が漏れていたりすることに気づけます。
各社の強みや考え方の違いも明らかになり、自社のプロジェクトに最適なパートナーを見極めるための重要な判断材料となります。
自社が開発を依頼したいシステムの種類や規模について、業界の一般的な費用相場を事前にリサーチしておくことも有効です。
Webサイト制作、ECサイト構築、業務アプリケーション開発など、開発する対象によって費用感は大きく異なります。
また、実装する機能の数や複雑さといった開発規模によっても相場は変動します。
開発会社の実績紹介ページや、システム開発に関する情報サイトなどを参考に、大まかな価格帯を把握しておきましょう。
この相場観を持つことで、提示された見積もり金額が著しく乖離していないかを判断する一つの基準となり、価格交渉の際の根拠としても活用できます。
もし自社や関連会社で過去に類似のシステムを開発した経験があれば、その時の見積書や実績費用は非常に有力な比較材料となります。
過去の事例と比較することで、今回のプロジェクトにおける費用の妥当性をある程度推し量ることが可能です。
ただし、開発時期が異なれば、人件費の単価や技術のトレンドも変化しているため、その点を考慮して比較する必要があります。
また、見積もりを依頼している開発会社に、過去の類似案件の実績やその際の費用感について尋ねてみるのも一つの手です。
あくまで参考情報ですが、金額の妥当性を判断する一助となります。
システム開発における見積りは、単なる価格提示ではなく、プロジェクトの成功に向けた発注者と開発会社の重要な合意形成プロセスです。 見積書に記載される内訳や項目、そしてその算出方法を理解することは、提示された金額の妥当性を判断し、適切な開発パートナーを選ぶ上で不可欠です。
見積書を受け取った際には、金額だけでなく、作業範囲や前提条件、追加費用が発生するケースなどを入念に確認し、疑問点は必ず解消しておきましょう。 相見積りを活用したり、業界相場を把握したりといった客観的な視点を持つことで、納得感のあるプロジェクト推進が可能になります。
インプルでは、要件整理から見積もりの精査、開発会社選定のアドバイスまで、発注担当者の不安に寄り添ったサポートを行っています。
「提示された見積もりが適正か判断できない」「見積もり段階から相談したい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
システム開発の見積もり相談は こちら。
しかし、専門的な項目が多く、その妥当性を判断するのは容易ではありません。
この記事では、システム開発における見積もりの基本的な考え方から、ソフトウェアの見積もり方法、見積書の内訳・項目まで、サンプルをイメージしながら具体的に解説します。
発注担当者が正確な費用感を把握し、適切な開発会社を選定するための一助となる情報を提供します。
目次
システム開発における見積もりとは?その重要性を解説
システム開発の見積書サンプルで見る内訳と費用項目
要件定義にかかる費用
システムの設計にかかる費用
プログラミングなどの開発作業にかかる費用
品質を担保するためのテストにかかる費用
プロジェクト進行を管理するための費用
システム導入後の運用・保守にかかる費用
インフラ構築や機器購入などその他の費用
システム開発費用の主な見積もり算出方法7選
見積書を受け取ったら確認すべき8つのチェックポイント
見積もり金額の妥当性を判断するための3つの方法
まとめ
システム開発における見積もりとは?その重要性を解説
システム開発における見積もりは、費用を算出するだけでなく、プロジェクトの範囲やスケジュール、成果物について発注者と開発会社が合意を形成するための重要なプロセスです。
ユーザーが求めるシステムと開発会社が提供するものの間に認識のズレがあると、予算超過や納期遅延といったリスクに直結します。
特にソフトウェアという無形の製品を開発する場合、完成形が見えにくいため費用算出が難しい側面があります。
そのため、透明性の高い見積もりを通じて、プロジェクトの全体像を共有し、リスクを管理することが成功の鍵となります。
概算見積もりと詳細見積もりの2段階で進めるのが一般的
システム開発の見積もりは、プロジェクトの進行に合わせて精度を高めていくため、一般的に2段階のプロセスで進められます。
まず、企画や構想といった初期段階で、大まかな要件を基に算出されるのが「概算見積もり」です。
このタイミングでは精度は低いものの、予算確保の判断材料や開発会社を選定する際の比較資料として活用されます。
次に、要件定義が完了し、開発するシステムの具体的な仕様が固まった段階で、詳細な作業項目を洗い出して作成するのが「詳細見積もり」です。
この流れを踏むことで、プロジェクトの不確実性を段階的に減らしながら、より正確な費用を把握していくことができます。
システム開発の見積書サンプルで見る内訳と費用項目
システム開発の見積書には、プロジェクト全体にかかる費用が様々な項目に分けて記載されています。
これらの内訳を理解することは、提示された金額の妥当性を判断する上で不可欠です。
費用を構成する主な要素は、システムの企画段階から開発、そして運用保守に至るまでの各工程に対応しています。
ここでは、一般的な見積書で提示される主要な内訳と費用項目について解説し、それぞれの項目がどのような作業を含んでいるのかを明らかにします。
要件定義にかかる費用
要件定義は、開発するシステムにどのような機能や性能が必要かを明確にする、プロジェクトの土台となる工程です。
この費用は主に、発注担当者へのヒアリングや業務フローの分析、そして決定事項を要件定義書として文書化する作業に対する人件費で構成されます。
担当するのはシステムエンジニアやITコンサルタントなど、上流工程を専門とする技術者です。
プロジェクトの方向性を決定づける極めて重要なフェーズであり、ここで定義された内容が後続の設計や開発の品質に直接影響するため、安易に費用を削減すべき項目ではありません。
システムの設計にかかる費用
設計は、要件定義で決定した仕様を基に、システムの具体的な構造や動作を決定する工程です。
このフェーズは、ユーザーが直接目にする画面のレイアウトや操作方法などを定義する「基本設計(外部設計)」と、プログラムの内部構造やデータの流れといった技術的な仕様を固める「詳細設計(内部設計)」に分かれます。
費用は、これらの設計書を作成するシステムエンジニアの人件費が中心となります。
特に、利用者の使いやすさを左右する画面設計はシステムの満足度に大きく関わるため、重要な作業と位置づけられます。
プログラミングなどの開発作業にかかる費用
開発作業は、設計書に基づいて実際にプログラミングを行い、システムを形にしていく工程であり、「実装」や「製造」とも呼ばれます。
この費用は、プログラマーの人件費が大部分を占め、システム開発全体のコストの中で最も大きな割合を占めることが一般的です。
費用は、開発する機能の数や複雑さ、採用するプログラミング言語、そして開発チームの技術力や生産性など、様々な要因によって変動します。
見積もりでは、各機能の実装に必要な作業時間(工数)を積み上げて算出されるケースが多く、この工程の精度が全体の費用を大きく左右します。
品質を担保するためのテストにかかる費用
テストは、開発したシステムが設計書通りに正しく動作するかを検証し、不具合(バグ)がないかを確認する品質保証の工程です。
プログラム単体の動きをチェックする「単体テスト」、複数の機能を連携させた際の動作を確認する「結合テスト」、そしてシステム全体を通して要件を満たしているかを検証する「総合テスト」など、複数の段階に分かれています。
この費用には、テスト計画の策定、テストの実施、結果の分析と報告などを行うテスターや品質管理担当者の人件費が含まれます。
リリース後のトラブルを未然に防ぐために不可欠なコストです。
プロジェクト進行を管理するための費用
プロジェクト管理費は、開発プロジェクト全体が計画通りに円滑に進むよう、品質・コスト・納期(QCD)を管理するために必要な費用です。
プロジェクトマネージャー(PM)が中心となり、進捗管理、課題管理、メンバー間の調整、発注者への報告など、多岐にわたる管理業務を行います。
この費用は、開発工数全体に対して一定の割合(例:10%〜20%)で計上されることが多く、「PM費」や「ディレクション費」といった項目で記載されます。
プロジェクトの規模が大きく、関わる人員や開発期間が増えるほど、管理業務の重要性と費用は増大します。
システム導入後の運用・保守にかかる費用
システムは開発して終わりではなく、リリース後に安定して稼働させるための運用・保守が必要です。
この費用には、サーバーやネットワークの監視、定期的なバックアップ、障害発生時の調査・復旧対応、OSやミドルウェアのアップデート対応などが含まれます。
また、軽微な機能改善や操作に関する問い合わせ対応なども保守契約の範囲となる場合があります。
既存システムからのデータ移行作業がここに含まれることもあります。
費用形態は月額固定制が一般的で、開発費用の一定割合が年間の保守費用として設定されるケースが多く見られます。
インフラ構築や機器購入などその他の費用
システムを稼働させるための基盤となるインフラ環境の構築に関連する費用です。
これには、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの購入費やレンタル料、AWSやAzureなどのクラウドサービスの利用料が含まれます。
また、OS、データベース管理システム(DBMS)、セキュリティソフトといったミドルウェアや、有償のソフトウェアライセンスの購入費用もこの項目に該当します。
自社内にサーバーを設置するオンプレミス型か、クラウドを利用するかによって、費用の内訳や金額は大きく異なるため、事前に構成を確認しておく必要があります。
システム開発費用の主な見積もり算出方法7選
システム開発費用の見積もりには、プロジェクトの特性や要件の明確度に応じて様々な算出方法が用いられます。
開発会社がどの手法を採用しているかを理解することは、提示された見積もりの根拠を把握し、その妥当性を判断する上で役立ちます。
代表的な見積方には、過去の実績を参考にするものや、作業を細かく分解して積み上げるものなど、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
ここでは、実務でよく使われる7つの見積もり算出手法について、その特徴を解説します。
①過去の類似案件から算出する「類推見積もり法」
類推見積もり法は、開発会社が過去に手掛けた類似のシステム開発プロジェクトの実績を基に、費用や工数を算出する手法です。
この方法は、まだ要件が詳細に固まっていない企画段階や、迅速に概算費用を把握したい場合に特に有効です。
少ない情報からスピーディーに見積もりを提示できる点が大きなメリットですが、その精度は担当者の経験や知見に大きく依存します。
過去の案件と機能の複雑さや技術的な前提条件が異なる場合、実際の費用との間に大きな乖離が生じるリスクがあるため、あくまで初期段階の参考値として捉えるべきです。
②作業工数を積み上げて算出する「ボトムアップ法」
ボトムアップ法は、システム開発に必要なタスクを機能単位や工程単位で可能な限り細かく分解し、それぞれの作業にかかる工数を見積もり、それらを積み上げて全体の費用を算出する手法です。
WBSという手法でタスクを洗い出すことが一般的です。
各作業の根拠が明確であるため、見積もりの透明性が高く、精度も高くなる傾向にあります。
要件定義が完了し、必要な作業を詳細に特定できる段階で用いられることが多く、詳細見積もりの作成に適しています。
ただし、作業の洗い出しに漏れがあると、それがそのまま見積もり全体の誤差につながります。
③機能の複雑さから算出する「ファンクションポイント法」
ファンクションポイント(FP)法は、システムの機能をユーザー視点で分類し、その数とそれぞれの難易度(複雑さ)を基に、システム全体の規模を「ファンクションポイント」という単位で数値化して費用を算出する客観的な見積もり手法です。
この方法の大きな特徴は、使用するプログラミング言語や開発者のスキルに左右されず、システムの規模を定量的に評価できる点にあります。
国際的な標準も存在し、発注者と開発者の間で共通の物差しとして利用できます。
一方で、FPを正確に算出するには専門的な知識と経験が必要であり、非機能要件の評価が難しいという側面も持っています。
④ソースコードの行数から算出する「プログラムステップ法」
プログラムステップ法は、開発するソフトウェアのソースコードの行数(ステップ数)を予測し、その数値に1行あたりの開発単価を掛け合わせて費用を算出する方法です。
LOC(LinesofCode)法とも呼ばれます。
過去のプロジェクトデータから、言語ごとのステップ数や生産性に関する統計を用いて予測するのが一般的です。
計算ロジックが単純で分かりやすいというメリットがありますが、同じ機能でもプログラミング言語や開発者のスキルによってコードの行数が大きく異なるため、見積もり精度が不安定になりやすいという課題があります。
現在では主流の見積もり方法とは言えません。
⑤特定の係数を用いて算出する「パラメトリック法」
パラメトリック法は、過去のプロジェクトで蓄積された実績データから導き出した計算式やモデルを用いて、統計的に工数や費用を見積もる手法です。
代表的なモデルに「COCOMO(ConstructiveCostModel)」があり、開発規模(ソースコード行数など)を基本とし、開発者のスキルや要求される信頼性といった複数のパラメータ(係数)で補正をかけて算出します。
客観的なデータに基づくため、属人性を排除しやすいのがメリットです。
ただし、この手法を有効に活用するには、自社の状況に合った信頼性の高い実績データが大量に必要となり、専用の見積もりツールを要する場合もあります。
⑥標準化されたタスクから算出する「標準タスク法」
標準タスク法は、システム開発における一連の作業を、あらかじめ定義された標準的なタスクに分解し、それぞれのタスクに設定された標準工数を割り当てて、それらを合計して全体の工数と費用を算出する方法です。
ボトムアップ法と似ていますが、個々のタスク工数を都度見積もるのではなく、標準化された数値を用いる点が異なります。
これにより、見積もり担当者の経験や主観によるブレを抑制し、安定した精度の見積もりを効率的に作成できるメリットがあります。
この手法を適用するには、自社の開発プロセスに基づいた標準タスクと標準工数を事前に整備し、継続的に更新していく必要があります。
⑦顧客の予算に合わせて算出する「プライスツーウィン法」
プライスツーウィン法は、技術的な積み上げではなく、発注者の予算上限や希望金額を先に設定し、その予算内で実現可能な機能範囲や品質を開発会社が提案するアプローチです。
特に競争入札やコンペティションにおいて、競合他社に勝つための戦略的な価格設定として用いられることがあります。
発注者にとっては予算超過のリスクがないという大きなメリットがありますが、一方で、予算を優先するあまり、本来必要だった機能が削られたり、品質やテストが不十分になったりする危険性もはらんでいます。
開発会社にとっては、利益を度外視した受注につながるリスクもあります。
見積書を受け取ったら確認すべき8つのチェックポイント
開発会社から見積書が提示された際、合計金額だけを確認して発注先を決めるのは危険です。
後々のトラブルを回避するためには、その内容を細部まで精査し、自社の要求が正しく反映されているかを確認する必要があります。
見積条件や作業範囲、責任の所在など、発注者と開発会社の間で認識のズレが生じやすいポイントがいくつか存在します。
ここでは、見積書を受け取った際に必ず確認すべき8つの注意点とチェックポイントを具体的に解説します。
【ポイント①】依頼したい作業範囲がすべて含まれているか
見積書に記載されている作業範囲(スコープ)が、自社が依頼したい内容をすべて網羅しているかを確認することは、最も基本的なチェックポイントです。
RFP(提案依頼書)や打ち合わせで伝えた要件が、漏れなく見積もりに反映されているかを精査します。
例えば、データ移行作業、ユーザーへのトレーニング、マニュアル作成、インフラ構築といった付随的な作業がスコープに含まれているか、あるいは対象外なのかを明確にする必要があります。
もし、依頼したい作業が含まれていない場合、それは後から追加費用として請求される可能性が高いです。
契約前に作業範囲の認識を完全に一致させることが重要です。
【ポイント②】前提となる条件に認識のズレがないか
見積もりは特定の前提条件の上で成り立っています。
この前提条件に発注者と開発会社の間で認識のズレがあると、後々トラブルの原因となります。
見積書の備考欄などに記載されていることが多い前提条件の項目を必ず確認しましょう。
例えば、必要なサーバー環境は発注者側で用意する、コンテンツの文章や画像素材は発注者から提供される、といった条件が記載されている場合があります。
また、対応するOSやブラウザのバージョン、開発体制、役割分担など、細かい点まで目を通し、自社の認識と相違がないかを確認することが不可欠です。
【ポイント③】各項目の金額は妥当な水準か
見積書の内訳を確認し、各項目の金額が作業内容に対して妥当な水準であるかを検討します。
特に金額の大きい項目や、内容が不明瞭な項目については、その算出根拠を開発会社に説明を求めましょう。
なぜその工数や単価になるのか、具体的な理由を確認することで、見積もりの透明性が高まります。
特定の機能の開発費だけが突出して高い場合、技術的な難易度や特殊なライブラリの利用など、納得できる理由があるかを確認します。
相見積もりを取得している場合は他社の金額と比較したり、業界の相場観と照らし合わせたりすることも、金額の妥当性を判断する上で有効です。
【ポイント④】追加費用が発生する条件は明記されているか
システム開発プロジェクトでは、途中で仕様の変更や機能の追加が発生することは珍しくありません。
そうした場合に、どのような条件下で追加費用が発生するのかが、見積書や契約書に明確に記載されているかを確認します。
例えば、「要件定義完了後の仕様変更は別途見積もりとする」「月2回までの定例会議は費用に含むが、3回目以降は追加料金が発生する」といった具体的な条件が示されているかチェックしましょう。
追加費用の算出方法や、変更要求の手続きについても事前に合意しておくことで、プロジェクト終盤での予算超過といった金銭的なトラブルを防げます。
【ポイント⑤】プロジェクトにおける責任の所在が明確か
プロジェクトを円滑に進めるためには、発注側と開発会社、それぞれの役割分担と責任範囲を明確に定義しておくことが不可欠です。
見積書や提案書において、各作業の責任の所在が曖昧になっていないかを確認します。
例えば、開発したシステムの受け入れテストはどちらが主体となって実施するのか、リリース後のサーバー障害発生時の一次対応は誰が行うのか、といった点を具体的にしておきます。
特に、複数のベンダーが関わるプロジェクトや、外部のクラウドサービスと連携するシステムの場合、問題発生時の切り分けと対応責任者を事前に明確にしておくことが重要です。
【ポイント⑥】導入後に発生するランニングコストは記載されているか
システムは開発して終わりではなく、導入後も継続的に費用が発生します。
初期の開発費用(イニシャルコスト)だけでなく、運用・保守にかかるランニングコストについても見積書に記載があるかを確認しましょう。
具体的には、サーバーやクラウドサービスの利用料、ドメインの維持費用、ソフトウェアのライセンス更新料、そしてシステムの保守サポート費用などが該当します。
これらのランニングコストを見落としていると、導入後に想定外の出費で予算を圧迫することになりかねません。
月額や年額でどの程度の費用が必要になるのかを事前に把握し、トータルコストで評価することが大切です。
【ポイント⑦】検収や支払いのスケジュールは適切か
費用の支払い条件やスケジュールも、契約前に必ず確認すべき重要な項目です。
一般的には、「契約時」「中間」「納品時」といった形で分割払いとなるケースが多いですが、そのタイミングと金額が自社の支払いサイクルと合っているかを確認します。
また、「納品」や「検収完了」の定義も重要です。
どのような状態になれば納品物として認められ、検収が完了するのか、その基準と期間を双方で明確に合意しておく必要があります。
検収基準が曖昧だと、支払いのタイミングを巡ってトラブルに発展する可能性があるため、成果物の定義を具体的に定めておきましょう。
【ポイント⑧】極端に安すぎる見積もり金額ではないか
複数の会社から見積もりを取った際に、一社だけ極端に安い金額を提示してくる場合があります。
コストを抑えられるのは魅力的ですが、安易に飛びつくのは危険です。
安さの背景には、必要なテスト工程が省略されていたり、経験の浅いエンジニアが担当することで品質が低下したり、あるいは作業範囲が極端に狭く、後から次々と追加費用を請求されたりするリスクが潜んでいる可能性があります。
なぜその価格で実現できるのか、品質保証の体制は十分かなど、安い理由を納得できるまで確認することが重要です。
価格だけでなく、品質やサポート体制を総合的に評価して判断しましょう。
見積もり金額の妥当性を判断するための3つの方法
開発会社から提示された見積書。その金額が適正なのか、初めてシステム開発を発注する担当者にとっては判断が難しいものです。
しかし、いくつかの客観的な方法を用いることで、見積もり金額の妥当性を検証することは可能です。
専門的な知識がなくても、これから紹介する3つの方法を実践することで、金額に対する納得感を高め、より良い発注先の選定につなげられます。
ここでは、見積もりの妥当性を判断するための具体的なアプローチを解説します。
①複数の開発会社から相見積もりを取得する
見積もりの妥当性を判断する上で最も基本的かつ効果的な方法が、複数の開発会社から相見積もりを取得することです。
一般的に3社以上から見積もりを取ることで、そのプロジェクトのおおよその費用相場が見えてきます。
比較する際には、単に総額だけを見るのではなく、各社の提案内容、作業範囲、前提条件、算出根拠などを詳細に比較検討します。
これにより、特定の項目だけが突出して高額であったり、逆に必要な作業が漏れていたりすることに気づけます。
各社の強みや考え方の違いも明らかになり、自社のプロジェクトに最適なパートナーを見極めるための重要な判断材料となります。
②業界や開発規模ごとの費用相場を把握する
自社が開発を依頼したいシステムの種類や規模について、業界の一般的な費用相場を事前にリサーチしておくことも有効です。
Webサイト制作、ECサイト構築、業務アプリケーション開発など、開発する対象によって費用感は大きく異なります。
また、実装する機能の数や複雑さといった開発規模によっても相場は変動します。
開発会社の実績紹介ページや、システム開発に関する情報サイトなどを参考に、大まかな価格帯を把握しておきましょう。
この相場観を持つことで、提示された見積もり金額が著しく乖離していないかを判断する一つの基準となり、価格交渉の際の根拠としても活用できます。
③過去の類似した開発事例と比較検討する
もし自社や関連会社で過去に類似のシステムを開発した経験があれば、その時の見積書や実績費用は非常に有力な比較材料となります。
過去の事例と比較することで、今回のプロジェクトにおける費用の妥当性をある程度推し量ることが可能です。
ただし、開発時期が異なれば、人件費の単価や技術のトレンドも変化しているため、その点を考慮して比較する必要があります。
また、見積もりを依頼している開発会社に、過去の類似案件の実績やその際の費用感について尋ねてみるのも一つの手です。
あくまで参考情報ですが、金額の妥当性を判断する一助となります。
まとめ
システム開発における見積りは、単なる価格提示ではなく、プロジェクトの成功に向けた発注者と開発会社の重要な合意形成プロセスです。 見積書に記載される内訳や項目、そしてその算出方法を理解することは、提示された金額の妥当性を判断し、適切な開発パートナーを選ぶ上で不可欠です。
見積書を受け取った際には、金額だけでなく、作業範囲や前提条件、追加費用が発生するケースなどを入念に確認し、疑問点は必ず解消しておきましょう。 相見積りを活用したり、業界相場を把握したりといった客観的な視点を持つことで、納得感のあるプロジェクト推進が可能になります。
インプルでは、要件整理から見積もりの精査、開発会社選定のアドバイスまで、発注担当者の不安に寄り添ったサポートを行っています。
「提示された見積もりが適正か判断できない」「見積もり段階から相談したい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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